出会った本、映画の感想。日々のこと。

by august22

若松節朗監督作 『沈まぬ太陽』

d0109373_525554.jpg週刊誌連載中から物議を醸したモデル小説であるだけに、映画化はかなりの困難を極めたようです。
原作は単行本で発売になってすぐに読みました。

主人公恩地を渡辺謙さんが演じることで作品に格調が出てみえました。
他にもオールスターキャストで豪華。
映画は原作をほぼ踏襲していましたが、冒頭「アフリカ編」があり、すぐに「御巣鷹山編」に突入することで、事故の日までのカウントダウン状態になることが避けられました。
事故場面は凝縮されてはいましたが当時の報道のままに演出されていました。
当時副機長席に座っていた機長役を小日向文世さんが演じています。
この場面では小日向さんがほんの一瞬2度ほどしか映りません。後はレーダー管制官たちが愕然とコックピットからの通信を聴いている映像。書籍や雑誌で何度も読んだ機長の声。公開されたブラックボックスの音声テープを初めて聴いた時は極限状態の中で必死に戦いながら冷静さを失なっていないように聴こえることに驚きましたが、小日向さんの声がまったく同じあのままの声でしたので、「ライトターン」と聞いた瞬間、涙が出ました。

「御巣鷹山編」で、渡辺謙さんは遺族に対しては懸命に向き合う男を誠実に演じていました。
頭を下げるという姿勢にとても心が籠っていました。
遺族が乗ったバスが到着するや走って、報道陣で混乱する中でバスから降りる遺族に頭を下げながら出迎え案内する姿。
棺が並んだ遺体安置所で遺族の側に立つ姿。
慰謝料を拒否する遺族の家を訪ね、開け放たれた窓越しに合掌する姿。
役柄を超えて追悼するように見えて胸を打たれました。
「アフリカ編」「会長室篇」に於いては、裏切り続ける会社から逃げず戦い続ける男の逞しさ強さを、貫録ある演技で表現していました。

どの遺族役も丁寧に演じていると感じましたが、特に印象に残ったのは、シフトを交代したために事故機勤務となった客室乗務員の母役の女優さんでした。墓参の後、実家に焼香にきた交代してもらった乗務員(松雪泰子さん)に、娘の思い出を語る場面でアップに映った時は誰なのか解りませんでしたが、烏丸せつこさんでした。
ほぼノーメイクで、会社側のにんげんなので遺族会に入ることも遠慮していたという、控え目な、農村にひっそりと暮らすこの女性の悲しみを言葉の端々にまで丁寧に演じて印象に残りました。

山崎豊子さんのモデル小説は実在の名前を少し変えますので、当時の三塚運輸大臣は「道塚」。因みに中曽根首相は「利根川」。金丸幹事長は「竹丸」。
道塚氏役は小野武彦さん。似ていない顔立ちになのなぜか似てみえました。
メガネが同じだったのかな?

組合書記長役・いつ撮影したの・香川照之さん(笑)は相変わらず精妙な巧さ。
静かにゆっくりと復讐していった男の、儚さが哀しい。
テーブルに何冊もの手帳を広げている場面で初めてその意味を知らしめた演出は面白いと思いました。

最後に地検・捜査員役で上川隆也さんが登場。

巨大企業の腐敗がテーマなので事故だけでなく、安全管理問題、懲罰人事を受けた社員やその家族の苦悩、経理汚職と盛りだくさん。
映像的に凝っているとは感じませんでしたが、珍しい10分のインターミッション付き3時間36分の長さは感じませんでした。
難しい問題を孕んだ大作を遂に完成させた努力に敬意。



予告編ではジョニー・デップ主演「パブリック・エネミーズ」。
あの『デリンジャー』リメイクだ~♪
顔立ちはウォーレン・オーツがそっくりでしたが、予告編を見る限りはカッチョいいギャング♪

で、ですね。後方の席で始まる前から身体を隣席に斜めに倒して寝ちゃっている方がいたんです。休憩時間にも起きない。上映終了して係員さんが起こしていたのですが、なんとその方、椅子から滑り落ちて床に寝てました。床に寝てる自分にびっくりしてましたが、みんなびっくりです(笑)

by august22moon | 2009-10-28 03:07 | 映画 | Comments(0)