2010年 02月 14日
森博嗣著 『トーマの心臓』
『それから一人の友人について』
私の本を読んでみようと思う切っ掛けは、書評であったりどなたかが面白いと言っていたりと様々です。
ただ、書店でこれを読んでみようと買った本は大概面白いと思えず失敗が多いです。
ですから、この本をと目的を持って行くように心掛けているのにも関わらず買ってしまったのが、この本。
・・・やっぱりダメでした。途中で読むのを止めました。
冒頭部分は少し読んだんですよ。店頭で。
まさかこうなっているとは。
読み進んで、なんかギムナジウムの雰囲気が伝わってこないなぁと訝しく感じたんです。
エーリクが登場してそれぞれの名前を「渾名」と言っていて、アレ?
「日本人じゃない?」云々で、は?
外出許可を取ったオスカーとエーリクが乗る電車内の描写がドイツらしくなくて、あら?
その後ようやく、舞台が日本に置き換えられていると知って、がっかり。
主要登場人物の性格は原作どおり書かれています。
原作にない描写やエピソードは盛り込まれていますが、イメージを崩すことなく進んでゆきます。
萩尾望都さんの素晴らしいところは、洗練された科白だと思っています。
奥底にある真情を滲ませる凝縮し厳選された言葉。
ネームを装飾する幻想的な‘詩’のBGM。
雄弁な表情と人物配置。
ノベライゼーションの入り込む余地はなかったのです。
私の中では。