2011年 12月 01日
ベネット・ミラー監督作 『マネーボール』
実はブラピ出演作って観たいと思える作品があまりなかったんですが、実話ということを差し引いてもとても面白かったです。
今でこそ松井選手の在籍する球団として知っていますが、02年当時のアスレチックスのメンバーも知らないし、無論GMのビリー・ビーンも知りませんでした。
ですから、ビリーの改革がどのように稼働してゆくかとか、ゲームがどうなってゆくかのめり込んで観られました。
「選手を買うんじゃなくて、勝利を買うべきだ」という自論を持つインディアンズのスタッフ、ピーター・ブランドと出会い、セイバーメトリクスというデータ統計学を駆使してチームを創り上げようとするGM。
ただ、これは弱小低迷チームを立て直したGMが主役なので、その再建策のために放出される選手があったことを思うと、選手を見ている観客側としてはその冷徹さに当惑もあります。
言う側も辛いんだという部分は描かれていますが、TEL1本でカードゲームのように選手をやりとりしている姿は、プロスポーツ界の厳しさと無情さを突き付けられます。
しかも監督にスカウトしてきた選手を登用させるため、選手をトレードに出しちゃうとか、各選手にプレーや気概までも支持して回ったり。MLBにおけるGMの権限の大きさが知れました。
パートナーとなるピーター・ブラントを演じた俳優さんはコメディ系の役が多い俳優さんだったようですが、ゲームオタクみたいなほのぼのした風貌で、控えめだけど、相手をきちんと見ている眼差しが良かったです。
アート・ハウ監督役のフィリップ・シーモア・ホフマンは、役作りと信じたい見事なお腹で。実際巨漢な方のようですがちょっとラソーダ監督並み。
連戦連勝に采配を讃えられ嬉々とした表情やGMに対する諦めた態度など、悠々と演じています。
イチローの「erea 51」もスマートでしたが、16連勝に「sweet 16」なんて、つくづくファンのプラカードはセンスがあって感心します。
イチローもメジャー初安打が対アスレチックス戦でしたので、モニターにばっちりアップで映りました。
肘の故障でキャッチャー生命が危ういのに、出塁率が高いというだけで空いた1塁手としてコンバートされるスコット・ハッテバーグ選手の危機を乗り越える姿が、唯一選手のドラマとして描かれます。
経験のない1塁守備を練習する時の横顔とかベテラン選手に調子を問われ「実は自分の方にボールが飛んでくるのが恐い」と不安な表情を見せることで引き付けておいて最後の打席でのドラマに繋げられていて。思わずバンザイしちゃいそうだったじゃないのっ
『ベンジャミン・バトン』での来日インタビューで、愛は永遠かという質問へ禅問答のように応えていた時のような表情が、演技でも見られる時があればいいな。