山下敦弘監督作 『天然コケッコー』 WOWOW放映

d0109373_182533.jpgくらもちふさこさんの原作が大好きだったので、思い入れが強いですし、くらもち作品は人間が細やかに描かれているので、配役のイメージに厳しくなっちゃうんですが。
登場人物がほぼ原作のイメージを踏襲していたので、楽しめました。
そよちゃんも可愛いし。伊吹ちゃんもあっちゃんも髪型そっくり。
郵便局のシゲチャンなんて!いたんですねぇ似てる人。
さっちゃんも原作と髪型のボリュームまで同じだし、後ろ姿の可愛いこと可愛いこと!
そよちゃんのお父さんが佐藤浩市さんなのは、ちょっとカッコよすぎですけれど。

ただ大沢くん役は・・・どうしても厳しくなっちゃいます。
岡田将生さん自体はきれいだし良いんですが・・・。
それほど原作でこの不安定な男の子が鮮やかに描かれていました。
両親の離婚などの背景から中学生とは思えない大人びた雰囲気があって、斜に構えているようでいてあどけないところも残っていて。
都会に帰りたがっているのに、結構この田舎を好きになっていて。
母親がそよちゃんの父に贈ったバレンタインのチョコが自分の所に回ってきても(大沢の母→そよの父→そよの母→そよの弟→大沢くん)、いろいろあったんだって分かったよの一言で追求しない。
いろんなことを黙って自分の中だけで解決して、大人にならざるを得なかったコなんですよね。

大沢くんの母親(美都子)は、若い頃恋人同士だったそよちゃんの父親(一将)に様々アプローチしてきて困らせるんですが、これが複雑で残酷な女心を巧く表していて面白いんです。で、勤めている床屋に来た一将に粗品っぽく手作りチョコを渡す。周囲の手前、憮然と受取ったまま上着に入れっ放しなんで当然妻(衣東子)に見つかる。衣東子は勘付いているのかいないのか読者には判然とさせず、母親の立場を崩さず悠然と構えているように見せています。息子(そよの弟・浩太郎)にさも自分が用意した物のようにあげる。浩太郎は姉そよが複雑な思いの挙句、パイプチョコなんて渡してたのを慮って、このチョコをそよちゃんからだと大沢くんに渡すんです。浩太郎くん可愛い。それは昨日の朝、母親がラッピングしていたチョコ。そこへやって来たそよちゃん、余りに素っ気ないチョコにした理由を言いたくて切り出すんですが、そこで大沢くんが事情は分かってると答えたのには二重の意味があるわけで。
そよの思いと、母親とそよの父親の関係と。
加えて大沢はひとりっこなので、姉を思いやる弟の優しさも感じたであろうところも。
この少年が大人になる瞬間をチョコひとつで見せているところが秀逸です。(後日追記)



d0109373_1243279.jpg




ほのぼのした雰囲気が、子供たちだけでなく先生たちにもちゃんと在るんです。
原作通り、修学旅行の時の優しさとか、勉強を教えるだけでなく人間を育てている大人であるところがとても良かったです。

この、特に大きな事件も起きないのんびりした里山の暮らしのお話しを、よくぞ実写化。
前年に『かもめ食堂』があったのも大きかったのかと推察しました。
大人には些細なことが、里山の子供たちにはいかに一大事か。
そんな当たり前な日常を取り上げているところが、またいいんですよね。
でも考えたら、そうゆうのんびりした長閑な日常を描いた映画って昔からあったんですよね。
最近の流行り見たいについ感じてしまいますが。

連載中はどこが舞台になっているのか分からなくて。「行ってかえりまーす」ってどこの方言なんだろうと思って読んでいました。
食卓場面でTVに中国地方の天気図が書かれているコマがあって、やっと判明したんです。

長編なので、高校に進学したあとのお話しも映画化されないかしら。



低いところであっという間に沈む2日の月と木星
d0109373_2261143.jpg






d0109373_2222625.jpg

by august22moon | 2012-01-25 23:52 | 映画 | Comments(0)