出会った本、映画の感想。日々のこと。

by august22

原田眞人監督作 『魍魎の匣』

d0109373_6545161.jpg07年公開。『姑獲烏の夏』に続く百鬼夜行シリーズ第二弾の映画化。
何度も放映しているのに見忘れたり予約録画忘れたりでしたが、漸く見られました。

800頁超えるドカ弁みたいで読み進むと開き難くくなってきそうで上下2巻になぜ分けないのってほど分厚い新書版のあの長さ(厚さ)を133分にするのですから、かなり端折ってアレンジはあるのでしょうね。未読なので詳細が分かりませんが。
台詞で一気に推理を説明されるのですが、堤さんは台詞に説得力と求心力があるけれど聞きとり難い単語があって集中を要しました。

前作はお話しもセットの印象もミニマムで、堤さんの京極堂振りを楽しむだけでした。
明らかにミスキャストもありましたし。
TVの金田一シリーズ見てるみたいで映画である必要性ないんじゃないかって印象でした。
今作は監督も脚本も代わって中禅寺の‘凶悪’な仏頂面もソフトになって。
大がかりなロケとVFXで見応えがありました。上海の市街地オープンセットだけでなく、川べりの古い家並みや歴史的建造物も中国ロケのようですが、国内に於いても杉林の中の苔生した石橋、古刹など、戦後の時代背景を見事に活写していて充分楽しめました。
帝都時代の画はほんとうに見ていて楽しいです。
幸田露伴とか寺田虎彦とか・・・加藤が出て来そうだ(笑)

先日見た『K-20』は、VFX以外でも煉瓦や石造りの古い建物が出てきました。旧庁舎というのならあちこちに残っているのでしょうが、セットではなさそうだけど流石に香港か台湾だろうと思える建造物も写っていました。
ところが、エンドロールのロケ地協力に門司、北九州、小倉と出てきて驚きました。
情緒ある建物がまだ日本には残されているんですね。
信濃町にある慶応の予防医学校舎なんていかにもぴったりですが、撮影に使われたことあるんでしょうかね。


匣の内部が、大谷石地下採掘場跡と一目で分かるのが残念なような・・・。
否、あれはあれで貴重な場所なんだからと思い直したり・・・。
京極堂一行が研究所施設深部へ向かう通路は立坑か共同坑みたいですが、違うのかな?

京極堂の居間や古書が溢れた書庫も、たっぷり陽射しが入って明るくて。あれで手延べガラスならもっと良かったんですが、贅沢言っちゃいけませんね。
顔に乱反射する庭からの陽射しまであって凝った画でした。

d0109373_6492439.jpg





メイクもされていましたが、クドカンさんの顔立ちがこの時代に合っていて、昭和2-30年代の挿絵に出て来そうな。寺山修司の「田園に死す」に出て来そうな。
清水美沙さん演じる千鶴子の存在が京極堂の口癖「不思議なことなどなにもない」を裏付けるよう。おっとりしているようで飄々と逞しく現実世界を生きる女を表しています。
前作で関口役の永瀬さんが病気降板とのことで椎名桔平さんが関口役でずいぶん趣きがかわりました。鬱という設定は変えているのかあれで鬱なのか判然としませんでしたが、頼りない感じが面白かったです。
惚けたキャラにしているので、榎木津や中禅寺と三人の掛け合いが傑作。
全編陰鬱な前作にはなかったユニークな応酬は、ラストの危機にまで及んで大笑いです。
事件のグロテスクさと緩急を付けてあるみたい。

堤さんもうやらないですかね。もう1作くらい演じてくれないかしら。3回は無理ですかね。
なで肩なので着物も似合うし。
清明桔梗紋の羽織り姿や白の着流しもいいけれど、茜の着流しに猩々緋のマント羽織って杉林に立つ姿なんて・・・。
なんて素敵なんでせう。
(15年4月にスカパーで再見しましたら、着物は茶系でしたね。赤茶か樺色か・・・って、どうでもいいかしら?な、追記です)

しかし、原田監督作品ですので、聞きとれない・聞きとらせない台詞満載で難儀いたしました。

by august22moon | 2012-05-17 00:06 | 映画 | Comments(0)