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若松孝二監督作 『11.25 決起の日 三島由紀夫と若者たち』

若松孝二監督作 『11.25 決起の日 三島由紀夫と若者たち』_d0109373_22221493.jpg観客はおとなの男性ばかり、女性客は私の他お1人だけでした。

P・シュレイダー監督作の『MISHIMA』が見られないので、三島を描いた映画は初めて見ることになりました。
若松作品も初めて。

残念ながら映像自体に厚みや深みが感じられませんでした。
光やアングルの効果で内面描写などはしない監督なんでしょうか。
あの時代らしさを出したということなんでしょうか。











若松孝二監督作 『11.25 決起の日 三島由紀夫と若者たち』_d0109373_1501024.jpg見る側としては容貌が近いほうが入り込み易いのですが、強烈な印象を残した人物を演じるには容貌以上にパワーのある俳優さんじゃないと、再現VTR止まりになってしまいます。
今、三島を演じるのに一番容貌が近い俳優さんとしたら、井浦新さんというキャスティングはベストでしょうし、受けて立てるのも彼しか居ないかもしれません。
残念ながら内面が読み取れなかった。分からない人物として演じていたようにすら見えました。














当時の映像や録音などで聴く三島の喋り方には、どこか冷めたものを感じていて、それは泰然自若というものなのかもしれないのですけれど。
井浦さんの声は優しすぎました。
東大全共闘との対論場面では、挑戦的でシニカルに応じてはなかったですけれど、冷めた目の表情は近い感じでした。
でもまあ、形態模写しても意味がないですものね。
途中でちょっとセリフを噛んで言い直す時に激しく瞬きするところもそのまま流して、演じる者の力を信じる演出でした。
熱気とか混沌があまり伝わってこなかったのは残念。同じ人数置けば伝わるというものではないですが。
実際はあんな感じだったんでしょうか。

若松孝二監督作 『11.25 決起の日 三島由紀夫と若者たち』_d0109373_0555430.jpg





サブタイトルに「若者たち」とありますが、特に森田必勝のことが多く描かれています。
演じる満島真之介さんの強い目がよかった。
バルコニー場面でも三島の傍らで涙を流している顔がアップで写されます。
予想外にヤジを浴び、呼んだ新聞社が飛ばしたヘリの音が逆効果で演説がかき消されるという事態に、それは無念の涙にしか見えません。

三島の決起の理由として「盾の会」の存続に行き詰まった故と推論がありましたが、今作ではさもありなんと推察されました。
そのうえ、森田の熱に押し切られているように見えます。
井浦さん演じる三島に圧倒させられるものが感じられないのですが、それが逆に焦りや誤算を表せているようですし、実は迷って不安であったと見えます。
冒頭にも描かれた浅沼委員長を刺殺した山口二矢の幻覚を三島が見るという表現にもそれは表れています。

バルコニー演説の演出がとても印象的でした。
ヤジを制することで乱れたと言うよりも寧ろ元から演説文を構想していなかったのではと思わせるほど不得要領な演説。
あれでは動かされないだろうという叫び。
地上の自衛官たちや取材陣のようすは実際の映像や画像が使われました。

若松孝二監督作 『11.25 決起の日 三島由紀夫と若者たち』_d0109373_0575067.jpg



当日の流れはほぼ史実とおりに演出されていました。(相図の「手拭い!」は無し)
「仕方なかったんだ」の独白。いかようにも解釈される最後の言葉の真意が汲み取れる流れではありました。
台詞の響き自体からは汲み取れませんでしたが、実際のところ真意は誰にも解らないということなのかもしれません。

市ヶ谷バルコニーは静岡市役所静岡庁舎本館が撮影に使われたそうです。
『MISHIMA』ではデザインの似ている郡山市役所を市ヶ谷と同じにアレンジして撮影されたそうで、有形文化財の静岡庁舎は市ヶ谷のようにシンプルというか味気ないデザインではなく瀟洒。
それがあの三島邸を思わせて、最後の舞台には相応しく感じました。


若松孝二監督作 『11.25 決起の日 三島由紀夫と若者たち』_d0109373_17343049.jpgその縁からか監督や井浦さんの舞台挨拶が静岡であったそうで。ん~残念。

これは先日、なんとなく撮った庁舎の裏側。
撮影に遭遇したかったなぁ
ヤジとばしてみたかったなぁ
降りてこーいとか(笑)











若松孝二監督作 『11.25 決起の日 三島由紀夫と若者たち』_d0109373_4345676.jpg



昨晩放映の『シックスセンス』。
劇場でも見ましたし、放映も何度か見ていました。今回の吹き替え版で初めて、あの可愛い儚げなコール君の声を吹き替えたのが矢島昌子さんだったと知ってびっくり。
野原しんのすけを微塵も感じさせないのは当たり前とはいえ驚き。
アナキン・スカイウォーカーまでもとは!!
♪ ぱにっくぱにっく



 【追記】

若松孝二監督作 『11.25 決起の日 三島由紀夫と若者たち』_d0109373_191294.jpg今回初めてサールナートホールという建物内のシネギャラリーで見ました。
それはこの街の特長でもあるのですが、幹線道路から一歩入ると静かな路地。
宝泰寺というお寺の向かい側にあって、このホールも「宝泰寺壇信徒会館」が正式名称のようです。














若松孝二監督作 『11.25 決起の日 三島由紀夫と若者たち』_d0109373_1104729.jpg石造りの重厚な外観がちょっと不思議世界への入り口のようです。
















若松孝二監督作 『11.25 決起の日 三島由紀夫と若者たち』_d0109373_1214816.jpgちょうど人の出入りもない時間だったためか、建物内部もひっそりとして落ち着いた雰囲気。
200人近い座席数のホールもありますが、今回の上映は3Fのギャラリー。
ホワイエには既に12-3人ほどのお客さんが上映を待っていました。
スタッフの方が上映開始を知らせに出て来られ、受付で貰った番号順に入ります。
ギャラリー内は定員40名ほどでしょうか、試写室のようでした。
シートもいいし、音響も特に気になりませんでした。
音を立てるお客さんも居らずマナーのいいかたばかりで、安心して見られました。














若松孝二監督作 『11.25 決起の日 三島由紀夫と若者たち』_d0109373_1122962.jpg奥まったところにあったベンダーコーナー。















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若松孝二監督作 『11.25 決起の日 三島由紀夫と若者たち』_d0109373_1242665.jpg塀もフェンスもなく、低木の植え込みだけなので公園か町営グランドかと思ったら小学校でした。
サッカー少年たちの元気な声。


映画
by august22moon | 2012-06-07 23:39 | 映画 | Comments(0)

出会った本、映画の感想。日々のこと。


by august22
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