桜色の雑記帳

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川口浩史監督作 『トロッコ』 SBS放映

d0109373_18534851.jpg【あらすじ】
父を亡くした年の夏、敦(あつし)と凱(とき)の兄弟は母に連れられて、初めて父の故郷である台湾の小さな村を訪れ、祖父母に温かく迎えられる。敦は亡き父が大切にしていた古い写真にトロッコと写る少年が遥か昔の幼い祖父の姿だと知る。山林を走るトロッコに乗れば日本へ行けると信じていたと懐かしそうに語る祖父。ある日、母に置き去りにされるのではないかと不安を募らせた敦は凱を連れてトロッコに乗り込む。












09年公開作品。
芥川龍之介の「トロツコ」がベースなので、やだなあ泣けるんだろうなあ(笑)と思いつつも見てしまいました。
行定勲監督の『遠くの空に消えた』他、助監督を務めてきた川口氏初監督作品で、同氏が脚本も書いてます。

台湾の花蓮県近くの緑豊かな山間の静かな村が舞台。
祖父は日本統治時代に日本兵として召集されたにも関わらず、恩給対象とならない通知に嘆く場面もあり、現代の日台間問題も挟まれています。

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村の人々は皆優しく大らか。日本語の判る老人たちは「おとうさんに似てるね」と声をかけてくれるし。
突然現れた異邦人に最初は警戒する村の子供たちも、いつしか言葉を超えて馴染んでしまうし。
髪を切る場面がなくてセリフも聞き逃したのかもですが、
長めの髪で俯いてDSばかりやっていた男の子が、髪短くしてランニングやTシャツ姿で駆け回って、すっかり地元に馴染んでいくのが微笑ましい。

トロッコは、林業の盛んだったこの村で、森を守るために植林を続けている青年が使っているもの。
この青年は日本にあこがれ、林業の勉強に留学したいと語る好青年。
待ってて帰りも乗せて貰えばいいのに。走って帰っちゃう兄弟。
トロッコ、戻ってこないかなと思っちゃった。あの好青年なら戻って来てくれる、なんて。

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泣いてダダこねる弟を宥めすかしてようやく家に辿り着くと、心配した母親の一言がねぇ。
お兄ちゃんの敦くんに向かって「なにやってたの!あんたが居ながら!」。
・・・溜息
それまでも何度か敦に対して長男としての自覚を促そうと厳しく当たってきた母親。
(CMでもあったんですよね。ガソリンスタンドの。田舎で迷子になった幼い兄弟。心配して探しに来た母親が第一声言うんですよ。「なに泣いてるのお兄ちゃんでしょ」。凄いCMだなと思いました。
なんで、そんなこと言っちゃうかなぁおかあさん。)
敦くん、勿論返すんです「僕が大事?いないほうがいいの?」。
「そんなことあるわけないでしょ!」と母親は抱きしめるんですが。
遅いよっ あるわけないなら感じさせるなっ
おばあちゃんも言ってくれてるんですよ、不安も焦りもすべて長男に向けてしまっているように見える、って。

室内のやさしい陰影、窓の外の明るい木々、極彩色の寺院。
霧の中の朽ちて苔生した巨樹の切り株。(これはおじいさんが語った「明治神宮も靖国神社の鳥居も台湾のヒノキ」を表しているようです)
撮影監督リー・ピンビンの映像がとても美しかったです。


映画
by august22moon | 2013-02-24 21:08 | 映画 | Comments(0)

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