桜色の雑記帳

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ポール・ハギス監督作 『告発のとき』 日テレ放映

d0109373_20323692.jpg【あらすじ】
退役軍人のハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)は、イラクから帰還してくるはずの息子マイク(ジョナサン・タッカー)が脱走したという知らせを受ける。息子を探すために現地へ向かい、地元警察のサンダース刑事(シャーリーズ・セロン)と捜索を開始。その矢先、マイクの焼死体が発見されたとの報せが届く。真実が明るみに出るとともに、ハンクは知らなかった息子の素顔を知ることになる。















08年作品。
タイトルの『In the Valley of Elah』は劇中に父ハンクが話す聖書の、巨人兵ゴリアテと少年ダビデが闘ったエラ谷。
脚本もポール・ハギス。
実際に起きた事件を基に、9.11以降のイラク出兵によるアメリカが抱えた問題を描いています。
様々なアプローチで描かれてきたこの問題を、元・軍警察の父親の視点で描いています。
父親役のトミー・リー・ジョーンズは本作で第80回アカデミー賞主演男優賞候補。
惨殺された息子の死の真相を探るうちに明らかになってくるのは息子だけでなく、イラク帰還兵たちの心と精神の崩壊。
元・軍人である父親は、徐々に明らかになってゆく真相と必死に向き合って戦っているんですが、このトミー・リー・ジョーンズがただただ巧い。
電話で息子に会いたいと泣く妻に、何も残っていないんだと言うしかない辛さ。
容疑者が見つかったと分かるや警察に先んじて追い詰め、憤怒の限りを尽くして罵倒し殴り続ける。
息子が前線で撮り続けた携帯の画像は酷いノイズではっきり写ってない場面もあるんですが、乱れた画像の中に見えた息子の狂気の表情を見つけてしまった時の驚愕。
この苦悩はT・L・ジョーンズでなきゃ耐えられないでしょうって感じです。
細々と元・軍人らしさを表した演出も巧い。

母親役はスーザン・サランドン。
出演時間としては短いのですが、確かな表現で強く印象に残る存在感です。
切断され燃やされ野犬に食い散らかされ僅かに残った息子の身体をガラス越しに見て「そこは寒いんでしょう?側に行ってやりたい」と言う母親の切なさたるや。
抱きしめられる姿にも残っていないのに。
夫に肩を抱かれながら、左腕を少し上げてよろめきながら歩く後ろ姿。
車を降りて駅の雑踏の中へ消えて行く抜け殻のような後ろ姿。
胸が締め付けられます。

怒りの向けどころもない絶望を、息子が送って来たぼろぼろの星条旗を逆さに挙げて示すラストは痛切。
本作は、イラク侵攻が生んだ闇が原因で起こった事件の周囲で、それぞれの立場で闘う個人を映し出しています。少年ダビデが巨人と闘ったように。

捜査に協力する刑事役のシャーリーズ・セロンは、シングルマザーで同僚や上司から嫌味言われたり非協力的な中、孤軍奮闘するという『スタンドアップ』みたいな役どころ。
あんなに酷い職場ではないですけどね。
逃げる容疑者を転びそうになりながらも必死に追う場面などに、女性であるがゆえに男性以上に戦わざるをえない姿を表しています。
S・セロン、いいなぁ。比べるのもなんですが、ニコール・キッドマンよりいいっ



映画

by august22moon | 2013-06-11 22:54 | 映画 | Comments(0)

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