2013年 11月 22日
ジョン・ドイル監督作 『ストレンジャー』 wowow放映など
こちらは原題が『メインストリート』で、2010年日本未公開作品。
コリン・ファースは英国王の前に出演した作品。
ほかにもエレン・バースティン、オーランド・ブルームという布陣で、意外にも地味といえば地味な映画でした。
突然現れた産廃業者の口車に乗ってしまうほどに寂れた町。
嘗て栄華を誇った資産家で今は医療費にも事欠く老夫人。
都会へ行けば何かが変わると信じる若者・・・閉塞感だけが漂う町とそこに住まう人々。
テーマが語り尽くされた感のあるものですし、そこに驚天動地の大事件が起こるわけでもない。
でも、やはりコリン・ファースの怪しいだけではない何かを持った男であることを匂わせる複雑な雰囲気とか、
エレン・バースティンの世間知らずで人が好くていつもオロオロと姪を頼る元お嬢様ぶりは、見ていてほんとうに贅沢な気分になるほど気持ちいい巧さなのでした。
明らかに有害廃棄物であるドラム缶を満載したトラックが事故を起こして、奇跡的にドラム缶が無傷だった時の、コリン・ファースの安堵よりも戦慄した表情や、
思い出の詰まった屋敷を手渡しても悔いないと思わせる買い取り主との出会いを「神の采配」とどこまでも浮世離れなおばあさまにも、「偶然ではなく?」と心揺さぶられているコリン・ファースの表情もまた、しみじみいいなぁと思えて。
どんなにラフで怪しげな男を演じてもMr.ダーシーってば、エレガントさは隠せないのでありました。
犬童一心・樋口真嗣監督作 『のぼうの城』 チャンネルNECO放映
最近になってようやく全編通して見ました。
主演氏の久々主演が話題になりましたが、公開延期を取り戻すがごとき露出で宣伝に努めた萬斎師余裕の軽味も圧倒的な佇まいも申し分のないものでした。
丹波に「士気が下がる」と諌められてもびーびー泣いたり、奥のほうで胡坐組めずひっくり返ったり、戦況報告に声裏返ったり、どこまでが本意なのか分からないところも面白い人物像でした。
しかしそれだけでなく、随所に密度と力のある映像があって、見応えがありました。
4,50年前の大御所監督の時代劇映画のような貫録すら感じました。
冒頭の望遠で撮ったようなはためく軍旗とか、馬が翔け抜けたあとの門回りを映し続けたり、自然光だけのような城内の陰影とか。前田吟さんの戦中のセリフ回しとか。
クロサワ的とまでは行かないけれど、壮大な戦国モノをという意気込みを感じました。
佐藤浩市さんがかっこいいですこと。
「これが天下の兵か・・・」と三成の陣営を望んでの畏怖と闘志の表情。
城門を馬で駆け出てくるシーンは、そりゃ開門をスローモーションにしますわねぇというかっこよさ。
惚れぼれでしたわ。
この佐藤さん演じる丹波に一騎打ちで敗れる山田帯刀役の和田聰宏さんが以前から気になっているのですが、名乗りの声もなかなか。
市村さんの秀吉も愉しいなぁ・・・次の大河の秀吉も市村さんがよかったなぁ
あれですかね、波濤が大きすぎるのはリアル過ぎるのを避けるためにワザとですかね?
シェリル・ハインズ監督作 『メグ・ライアンの男と女の取扱説明書』
原題は『Serious Moonlight』。
俳優さんの名前が冠した作品に名作なしの都市伝説どおり(笑)
思えば01年の『ニューヨークの恋人』以降、03年『イン・ザ・カット』はあれど、めっきり出演作が減ったうえにその作品にも恵まれていない、ラブコメの女王・メグの09年の作品。今作も公開されずDVDスルー。
ティモシー・ハットン共演。
可愛らしさは失われていない相変わらずの美貌でしたが、内容が・・・。
心が離れた夫を懲らしめるんですが、これがブラックユーモアとしても笑えないしサスペンスにもなってない。
全体にセンスがない。
一時代を築いたスター女優さんがどうしてこうも作品に恵まれなくなってしまったのか。
ご本人にやる気が失せてしまわれたのか。
残念この上なしであります。
ウィルフレッド・ジャクソン他監督作 ディズニーアニメ『シンデレラ』 wowow放映
そうそう。初めて『シンデレラ』も見られたのでしたっけ。
50年公開のアニメでこの驚愕のクオリティ。ディズニーはほんとうに素敵。
ゆったりと滑らかな動作や表情が素晴らしい。
フェアリーゴッドマザーによって授かったサックスブルーのドレスの色が、月影で淡いグレイになっているところが特に素敵。
吹き替えの鈴木より子さんのしっとり落ち着いた上品なお声も素敵でした。
ディズニープリンセスはそのドレスの色にも意味があるって聞きました。
ベルの黄色は不安の表れとか。
シンデレラのブルーにも意味はあるのかしら?
後に字幕版を見ましたがガラスの靴は「スリッパーズ」っていうんですね。