桜色の雑記帳

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出会った本、映画の感想。日々のこと。

ウェス・アンダーソン監督作 『ムーンライズ・キングダム』 wowow放映

d0109373_4422831.jpg 『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』も見逃し続けて、12年公開の今作で初めてW・アンダーソン作品を見ました。

12歳の男の子と女の子の反乱と、『小さな恋のメロディ』を思い起こすかたが多いのではないでしょうか。
あの作品はどのシーンもまるでビージーズのPVみたいで美しく楽しかったのですが、今作の映像はどのカットをとってもフォトカードになりそう。
視点を固定させた遠近法など配置が計算しつくされている構図で、まるで絵本を捲っているようでした。
主人公サムくんが参加しているカーキスカウトの黄色いスカーフの色が映画全編に満ちていて、灯台の屋根や縞の赤やナレーターの真っ赤な服が鮮やかに印象されます。
サムくんがスージーちゃんに釣り針でコガネムシのピアスを作るんですが、見ている側は始め驚くものの、引きの画だと艶のある緑がきれいでエメラルドかメノウのように見えちゃいました。

私、なぜアメリカ映画やTVでキッチンに黄色が使われるのか不思議に思っていたんですが、黄色だらけの今作ですからサムくんの里親の家のキッチンももちろん真っ黄色。
冷蔵庫や流し台扉ばかりでなくダイニングスペースのカーテン始め全てが黄色。服まで黄色。

キャストが豪華。
B・ウイリス、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン・・・
皆、ちょっと惚けた味わいのある演技が楽しかったです。
特にE・ノートンの情けない教師役は最高。
サムくん役のジャレッド・ギルマンくんも可愛い。

エンドロールに、スージーちゃんの弟たちがかけた、教材の「青少年のための管弦楽入門」が流れ、「ご静聴ありがとう」。
そしてサムくんの描いた絵も出て来て、最後はふたりが行き着いた「3.25海里・潮流口」という名称が味気ないと言っていた入江の絵。
絵のタイトルは「ムーンライズ キングダム」。そう名付けたんですね。
月の出王国。月出づる処の王国。なんて詩的。

コミカルな映画なんですが、‘かけおち’したふたりを追いかけた仲間が誤って犬を矢で射殺してしまうとか、ハサミで刺して怪我をさせたっていうのは必要だったのかしら?


あとシチュエーション・スリラー2作品。

スティーグ・スヴェンセン監督作 『エレベーター』 wowow放映

d0109373_633029.jpg高層ビルの最上階で催されるパーティーへ参加するために9人の男女が乗りこんだエレベーターが故障して・・・というお話。
よくある設定なので、原因と乗客キャラクターと結末が問題となるのですが、事故が発生してからの描き方は、最後の解決策以外、まあ乱暴ではないと感じました。
原因がCEOの孫娘のイタズラということと、途中で希望がみえたかに思えたところ再びこの子供のせいで最悪の事態になっちゃうという展開が見る側をエモーショナルにさせますのよ。
『ER』のグリーン先生の娘ほどではないですけど。
ちょっと誰かきっちり叱ったほうがいいんじゃないの?とか(笑)

男女カップルの男性が、同乗していた身重の女性のお腹の子のパパ疑惑が浮上というドラマもありますが、年配女性が実はCEOに恨みを持っていながら心臓発作で急死して、今わの際に自爆テロを計画していたと告白。
爆発の時間が迫っているという新たな危機が発生して乗客さらにパニック!なんですが、
解決策とした仰天行動には、え?この監督ってまさかあの超グロテスクなヒット作シリーズのひと?なんて怯えてしまいましたわ。

ラスト、救出された後で全ての乗客を追わないのは勿体ない。





デビッド・ブルックス監督作 『ATM』 wowow放映

d0109373_61604.jpg『リミット』という、恐ろしいというより、いやあな後味の映画と同じ脚本家の作品だと後で知りました。

アメリカにはあんな広いスペースのATMボックスがあるんですね。
防犯用にカードでドア開けるというのは如何にもアメリカらしい。
暗くて周囲のようすが分かり難いのですが、ちょっと周囲から孤立しすぎな感はあります。
(舗道に面した建物の壁面にあるって国もTVで見たことありましたが、あれは犯罪誘発しますよね)

これもツッコミどころ多々あるのですが、まず不気味な男が立ちはだかってこちらのようすを伺っているだけで通りすがりの人(零下の気温の中で犬の散歩!?)や警官まで殺し、退路を断たれた3人の若者が脱出するために策を講じていくのですが、これが少々雑なんですね。
いくらパニックで取り乱したからって、投資会社に勤務するエリートなんだから不良少年じゃないんだからってとこです。
それに、女性が短時間でもバッグをロックの壊れた車内に置きっ放しで来るのは個人的に解せないし(だから携帯もない)。零下20度という寒さは何度も強調していても、鼻や頬を赤くメイクするだけで寒そうな仕草が少ないのに手の感覚がなくなってきたと言い出す等も全体が雑に感じる一因。

でも、最後まで顔を出さない犯人の不気味さの描写はよろしかったんじゃないでしょうか。
偶然通りかかった人まで手にかけてはいましたが、行き当たりばったりの犯行ではなく、防犯カメラの死角も調査してあってかなり綿密な計画の上に行動していたことがラストに判明します。
貸倉庫内で地図や建物の構造などを細かく調べているところがエンディング。
細かく書き込んだ文字が読み取れなかったのですが、かなり下調べしてるようで、快楽犯の一種のよう。
生き残ったデイビッドはようやく駆けつけた警察に誤認逮捕され、犯人は逃げる間も無かったはずなのに騒ぎを聞きつけて来た野次馬が犯人と同じフードのコート着てるひとばかりでどれが犯人か判別できない。
事実を映しているはずの防犯カメラは、デイビッドがATM壊せば警察が来るだろうとゴミ箱で叩き壊したせいでカメラまでも故障して肝心のところは映っていないというオチでした。

零下20度の真夜中、他の建物からも離れた場所・・・という絶好のシチュエーションが活かし切れたかというと聊か疑問です。
改めて『フォーンブース』は巧く出来ていたなぁと思いだしたのでした。


映画
by august22moon | 2014-01-15 00:11 | 映画 | Comments(0)

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