レフ・マイェフスキ監督作 『ブリューゲルの動く絵』 wowow放映 他

d0109373_6115533.jpg11年公開のポーランド・スウェーデン合作。
マイケル・フランシス・ギブソンの解説書『The Mill and The Cross』を原案としてブリューゲルの「ゴルゴダの丘への行進」を実写化した作品。
TVでも有名絵画を細かく分析する番組がありましたし、分析ではないけれど黒沢作品の『夢』ではゴッホの絵画の中に迷い込む場面がありましたが、ゆうに100人は描き込まれた絵画に登場する人物が動くというのは見る側にとってはたいへん楽しい眺めで、最後にはPCに絵を出して見比べながらの鑑賞になりました。

例えば、樵が磔に使われる木を切り倒し小枝をはらって運ぶ等、登場人物がそこへ至る経緯や、中心点に在る磔の木(cross)を背負ったキリストから放射線状に描かれた風景の意味を、ブリューゲル(ルトガー・ハウアー)とパトロン(かな?家の壁に「雪中の狩人」)との会話から解説し完成させていきます。
このヨンベリング役が懐かしやマイケル・ヨーク。・・・俄かには分からなかったです。
他にもブリューゲル作品に登場した人々を描いていて、まさに絵画を動かして見せています。

そびえ立つ岩山の頂上にある粉ひき風車(mill)の、描かれていない内部の描写が壮観。
朝になると空へと続くような長い長い階段を登って頂上の風車を動かす。
岩壁に木靴の音が響き渡ります。
この風車から村の様子を見降ろしているのが、ブリューゲルによると神の視点なんですが、天国への階段みたいに遥かな高み。
歯車も地球を動かしているかのごとく巨大。
粉ひき職人の男が朝起きて隣りに寝る奥さんを起こす叩き方も、奥さん倍返しで叩き返すのも乱暴で可笑しかったです。なんでしょ、あれ(笑)
他の家庭はのんびり起きてるのに。村で一番早く働くという使命なの?時の守人のように?

スペイン兵の弾圧、キリストの受難、聖母マリアの苦悩と、暗澹とした時代を描いていても、ブリューゲル宅はとっても長閑な生活が展開するのが、ほっとさせました。
ベッドと床にひとりづつ子供が寝てるのかと思いきや、掛け布団下から5人出て来てびっくり(笑)。
赤ちゃんもいるのに子供たちが駆け回って奥さんたいへん。
朝食のテーブルで静かに待ってたのに、おかあさん居なくなるや、ふざけて大騒ぎするし。
ブリューゲルには温かなバックグラウンドがあったということのようです。

映像も凝っていて、遠景は絵画をそのまま用いて、手前の人物と背景は別撮りのように明度を変えて、絵の中に立っているのを強調させています。
構想を練っている時は、横にある窓枠の向こうに見える光景が彼の脳内映像という具合。
作品手前に描かれた植物もそっくり映されて隙がありません。
セリフも極力減らして、じっくり絵画の中を歩き回れました。

映画『真珠の耳飾りの少女』も風景の色合いやアングルがまさにフェルメール作品でしたが、今作も場面すべてがブリューゲル。
彼の絵自体はさほど好きではなく、ルトガー・ハウワー出演だから見たのですが、とても楽しかったです。


アンドレ・ウーヴレタル監督作 『トロールハンター』 wowow放映

d0109373_643654.jpg10年制作のノルウェイ作品。
なんとなく面白かったです。
『ブレアウィッチ』的な、二番煎じと言われても仕方ないほどそっくりな作りでしたけれど。
クマの密猟事件を取材していた3人の学生が、実はトロールハンターだという男に出会って、ハンティングに同行取材していく。
『ハリーポッター』にも登場する3つ頭のトッサーラッドやマウンテンキング、体長60mのヨットナールも、決して立派な出来とはいえない造形なんです。
でも、ハンターのハンス役の俳優さんが余計な芝居もせず落ち着いていて。
一応、モキュメンタリー形式だから当然なんですけれど。
3人の学生役の俳優さんも、抵抗感なく見ていられて。
そこが最後まで引っ張られた理由・・・かなぁ

素人撮影で画面乱れまくりなんですが、この撮影担当の学生がトロールの犠牲になってしまい、新しいカメラ担当を呼び寄せると、BBCでの仕事経験もあるというセミプロだったので、途端にアングルが落ち着くところは可笑しかったです。

いやしかし、あんな伝説があるんですね。
朝の光で石化する科学的根拠はなんとなく分かった。
狂犬病に感染して「あなたはととろね~?」なんて聞く余裕もなく、凶暴になってるというのも納得。
でも、キリスト教が嫌いなのはなぜ?聖歌にまで反応して。

トトロとは似ても似つかぬ怪獣でした。

by august22moon | 2014-01-20 23:04 | 映画 | Comments(0)