桜色の雑記帳

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市川崑監督作 『東京オリンピック』 wowow放映

d0109373_2034364.jpg64年の開催から50年経った記念に放映されたようです。
意外と170分は長く感じませんでした。
市川監督のスポーツの祭典に対する「印象画」は、さまざまな評価を呼んで、カンヌ映画祭や英国アカデミー賞で高評価を得て各賞を授賞。
冒頭のナレーションにも語られてる「競技に向かう選手たちはその緊張感からか寂しそうにみえる」というのが、市川監督の今作におけるテーマとなっているようです。
オリンピックに興味もなかったという市川監督は、孤独な戦いに挑む人間に興味を持ち、そこに焦点を定めたのでしょう。

開催用にインフラを整備する為に、排除とも見える整備が行われることを冒頭で示されます。
五輪開催は新しい街を新しい国を創造することと同義語です。

50年も経って、100分の1秒を争うようになった記録ばかりか、ウエアも体型も技も変ってきているのは、その発達や進化に改めて驚かされました。
ちょうど世界体操を見ていたので、吊り輪で近年は見られなくなった技とか、
水泳では、泳法だけでなく飛び込み方まで変っていたり。
水面に突き刺すように飛びこむのではなく、お腹べっちゃーんですもの。痛そう

見ていて、ボブ・グリーンがシカゴ・トリビューン時代にマイケル・ジョーダンを追った著作を思い出しました。
ジョーダンにもNBAにも興味が無かった彼。
ユナイテッドセンター近くの公衆電話で録画を忘れて試合を観戦に来たので代わりに録画してと担任教師に依頼する学生。
風邪で最悪の体調なのにいつものように笑みを絶やさない売店の女性の健気なようす。
試合中の汚ないヤジを聞かせないために耳栓をさせられている子供。
地元ラジオ曲しか試合を放送しないマイナーリーグに落ちたジョーダンを追って乗った列車の窓から見える踏切に止まった車の中のカップルのこと。
もちろんジョーダンへのインタビューにもっとも紙数を割かれているのですが、
神と呼ばれたスーパースターが存在したアメリカをも活写したのでした。


今作でも、入場行進の最中に、仲間に振り向いて多分「Shut up!」と叫んだ女性選手とか。
人で溢れる沿道の家の縁側で、ひとり廊下に手をついて眺めている赤いセーターの少女とか。
競技場へ飛び降りてハカを舞っちゃう、多分ニュージーランドの観客とか。
レース前にレモンを齧ってスタート地点に置いておく日本人選手とか。
授与式前に待機している振袖姿の女性が、お盆に乗せたメダルを覗きに来た選手に見せてあげるとことか
女子バレー決勝でソビエトを破った試合後、ベンチでひとり、安堵のような虚無感のような表情を浮かべる大松監督。
マラソンの給水地点の係員。立ち止まってのんびり水分補給する下位の選手。
周辺を映すことで記録される競技が減るわけですが、夏季大会の競技を全て網羅するのはどだい無理なので。
見終わって、あの競技もなかったこの競技もなかったとなりますが、もの足りない感じはありませんでした。

オリンピックがもたらすさまざまな表情は、傍観者には遠く遥かに鮮やかです。


映画
by august22moon | 2014-10-17 22:33 | 映画 | Comments(0)

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