2014年 10月 26日
蜷川幸雄演出 『太陽2068』 wowow放映
そんな週は速く過ぎるように感じるものですね。
でもショックなこともありまして。来月地元に万作師が来てくださるという夢のような情報を見逃していたのです。広報をちゃんとチェックしてないからーもー
万作師が地方のホールにまで来てくださるなんて滅多にないですものね。
まあ、日程的に無理でしたが・・・ああ、ショック
こうゆう舞台を見て、蒸し暑い真夏の街に出ると、また違う余韻が味わえたのでしょうね。
二層構造の世界を表すのに、もう少し意外性ある舞台美術を期待してしまいました。
でも、ジプシー・キングスの『ホテル・カリフォルニア』カバー曲というのが絶妙の選曲で、これだけでオールOKという感じです。
暗示的ですし。
疾走感ある若いふたりを走りまわらせて、後方扉を開けてその向こうの駐車場まで翔け抜ける演出も印象的でした。
それは蜷川さんお得意のラストですが、清々しい走りのおかげで、またかという感じはしませんでした。
閉塞感からの脱却を決意したとはいえ、苦難が予想される旅立ち。
振り向いて挑発的な笑みを残すのも観客に刺さっていいと思いました。
カメラワークもよかった。
ご覧になった方の感想で、『夏鑑~』と同じラストにして勘三郎丈へのオマージュか、と書かれたのも読みましたが、いろいろな感慨を生むラストではありました。
作者が若く、唐でも寺山でもないので、貧困の陰鬱さや泥臭さが薄くて、安心(笑)
キュリオの村はまるで『どん底』のようですが、あの汚泥と腐臭にまみれたような救いのない沈鬱さはありません。
そこは、全てを持っているのに絶望と紙一重の種族と違い、「24時間生きられる」種族ゆえでしょうか。
六平さんや大石継太さんの手堅い芝居で、行き詰まりの絶望感や切なさが表されました。
諸悪の根源的役どころの横田さん演じる克哉については背景がほとんど語られず、事件の経緯も不明瞭のまま。
にもかかわらず、無謀で邪悪な男の本性がしっかり表現されていて、いつしか事の顛末も納得。
いまわの際まで救い難いったら。
さすがの創造力です。