桜色の雑記帳

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ジョージ・クルーニー監督作 『ミケランジェロ・プロジェクト』

d0109373_045735.jpg事前にバート・ランカスターの『大列車作戦』をもう一度見ておきたかったんですけどね。

謎の延期からようやくの公開。
ジョージ・クルーニーとマット・デイモンのバーカウンター場面のスチールだけで2年待った(笑)

面白かったです。象徴的な邦題もいいですね。
粋なジョークも散りばめられて、緩急のつけ方がJ・クルーニーらしい。
ストークス(J・クルーニー)とグレンジャー(M・デイモン)がメンバーを召集して回る時のBGMが明るいマーチというのがね、まずよかったです。もう既に勝機ありって感じ。
ラストに流れてもいいような曲調。
映像にクラシックな雰囲気も感じられました。古き良き時代の雰囲気。
J・クルーニー自身にクラシカルな美しさがあるんですが、ジャン・デュジャルダンの満面の笑みなんてね、その最たるものでした。にっか~
エンドロールで、主要出演者の登場場面に俳優名と役名を重ねたのも、『大脱走』みたい。

「ネロ作戦」と称して絵画が火炎放射器で焼かれたり、黒こげの額縁がピカソの作品だったなんて、ヒトラーの暴挙が衝撃的です。
「カレーの市民」がスノコに乗せたままノイシュバンシュタインに放置されているのが哀し過ぎる。
もうこうなると、無知の暴力としか思えない。
始めのほうに出てくる「最後の晩餐」も、幾度もの戦争被害で乱暴に扱われた名画の象徴。
人間はまた増えるが美術品は破壊されたら終わりと言うのは、学者のエゴとも受け取れるけれど、美術遺産を後世に残すのもまた人類の使命であることは確か。

メンバーのグラントが隠させようとするも間に合わずナチスに奪われてしまったミケランジェロが唯一イタリア以外で制作した「聖母子像」。
坑道の奥でようやく発見したストークスが恭しくヘルメットをとって、粗末な毛布を被されたマリア様に「行きましょう」と語りかける場面が良かったです。
モネとフェルメールの違いも解らない(ここ失笑どころ。それは「天文学者」だー!)兵士ではなく、専門家であるわけですから、敬意が違うんですよね。この一言のためにこの映画は作られたといってもいい。美しい場面です。
正直「ピエタ」のマリア像のほうが美しいと思ってしまうんですが、幼子イエスを慈悲深い眼差しで見つめ両手を差しだしているというのが、この作戦の原点に重なるのですから、この像が作戦の象徴となるのでしょうね。

Metのキュレーターであるグレンジャー(マット・デイモン)が、最初に奪還した絵画の中に所有者の住所を見つけ、避難して空家になった家の壁にその絵を掛けて、クレール(ケイト・ブランシェット)に元の所有者に戻すのが使命だこれがその始まりだと言うのも、決意を表していました。
そうゆう誠意ある感じ、マットにぴったり。
この絵って、無名の肖像画ですよね?たとえそれが名画でなくとも壁に跡が付くほどその家族にとって大切な「モニュメント」を‘帰らせる’、という彼らモニュメンツメンの心構えを示す場面だと思いました。
それによってクレールも彼らへの信頼を強めたわけですし。
地雷踏んじゃって三つ数えてから降りると言っといていきなり1で降りちゃって。「2と3は!?」「パニクって・・・」の会話もサイコーですけどね。
まるでライナスで。
クレールの「ここはパリですもの」も素敵なセリフ。
ケイト・ブランシェットとM・デイモンではお似合いとはいえないですけどね。

いまいち気が合わなかったサヴィッツ(ボブ・バラバン)とキャンベル(ビル・マーレイってこんなに声がお優しかった?)も、少しずつ信頼関係を築いて、キャンベルの家族がレコード盤に録音したメッセージを、サヴィッツが計らって聴かせてあげる。
「Have Yourself A Merry Little Christmas」が寒々とした夜のキャンプ地に流れる場面は素敵でした。
戦闘に巻き込まれ亡くなったクロードを朝まで抱きかかえていたガーフィールド(ジョン・グッドマン)の姿を、茫然と見つめて、これを機に「兵士になった」チーム。
より強固になった決意が響いて来る場面でした。J・グッドマンがねぇ、また巧くて。
美術品だけでなく、戦争被害の悲劇や人命の重さも当然彼らの心にあることを示す人間ドラマの描き方も惹き込まれました。

30年後、ブルージェに戻った聖母子像を満足げに見つめるストークスを演じたのはJ・クルーニーの実父だったの、後で知ってびっくり。粋な演出ですこと。

手堅い演出といえばそうなのかもしれないですけれど、この史実自体がもう感動的ですし、俳優たちの魅力が堪能できる作品でした。


映画
by august22moon | 2015-11-08 00:02 | 映画 | Comments(0)

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