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滝田洋二郎監督作『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』

滝田洋二郎監督作『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』_d0109373_20225556.jpgにのさん大物監督さんが続きます。
「にながわゆきお、くらもとそう、くりんといーすとうっど、そして、やまだようじ」にオスカー監督「たきたようじろう」が加わるわけですね。
「第39回です。」のくだりが好きでして。

さてさて。
二宮さんは確かに巧くて、「拝啓、父上様」でも見せた、調理の時の緊張感ある視線は、役柄への真摯さが感じられました。
メッセージを密かに込めた豚の角煮をひと口食べた後の驚いた表情とそのタイミング。
影膳に出したカツサンドを食べながら、愛する人のために心を込めて作る料理の美味しさを改めて思い出し、旨いなぁと呟くところなどは、さすがの巧さでした。
涙とともにパンを食べたものでなければ・・・ってことですね。

祖父・山形直太朗と同じ「絶対味覚」を受け継いでいた孫・佐々木充が、祖父の知人たちから「遺産」を渡され受け継いでいくわけですが、この「絶対味覚」によって何か事件が起こるのか、事件を解決する手段となるのかと思いましたが、受け継いだ血ということなんですね。

直太朗だけでなく楊らにしてみれば、食という芸術を戦争に利用され奪われたわけで。だから、悲運の料理人の残した遺産を守りぬき繋ぐことが、残された彼らの使命となったんですね。
消えさせてはならないと思わせる、直太朗がそれほどの人物であったことを強く印象付けなくてはならないところですが、西島さんは誠実さ信念の強さで周囲の人びとを魅了し慕われるという役柄は自然に伝わってきますから、そのあたりは納得できるものでした。

最後に、充が再現した料理を微笑んで差し出す。
それはテーブルで待つお客さんではなく、会ったことはない祖父・直太朗へなんですね。
直太朗もそれを分かっているように微笑むようすは、とてもいいラストシーンでした。

青年時代の楊さんを演じた俳優さんがとてもよかったです。
戸惑いながらも文化の違いを柔軟に受け入れていくようすが巧かった。
でも公式サイトにもお名前ないし、エンドロールでも見逃しちゃった。

しかし、押しなべて小綺麗に終わってしまい、なんだかお正月特番を見ているようでした。
オールスターキャストだったからかしら。
もっとなにか出来そうなのに残念。
真相も、充の再生のためにそこまで手の込んだことをしてあげるというのが・・・
健の言い方かなぁ 健に言わせちゃうのが引っかかってるのかなぁ

そんな中でも印象的だったのは、充が再現した味に感動する病床の男が、いい思い出を作ってあげようとする妻に感謝しながらも、最後はおまえの手料理でと言わせた場面。
これは充の気付かないところで起こっていて、それは料理人との境界線であるカウンターの向こうの縮図なのかな
誰かのために心を込めて作ること。ほんとうの「美味しい」の意味。
最後のカツサンドに繋がって、スパイスとなる場面でした。

美味しそうなものいろいろ出てくるんですが、見終わってむちゃくちゃチャーハンが食べたくなりました。
「もういいの」と食べるチャーハンね。
それと、楊さんが作っていた飴掛けのミニトマト。『孤独のグルメ』の台湾出張版でも出てきましたけど、可愛い。
リンゴ飴ならぬトマト飴。
食べてみたいなぁ 連なってるのがいいの。



映画
by august22moon | 2017-11-12 23:00 | 映画 | Comments(0)

出会った本、映画の感想。日々のこと。


by august22
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