2007年 03月 14日
「神はサイコロを振らない」・・・か?
14日 新国立劇場にて『コペンハーゲン』 マチネ
評判に違わぬおもしろさ。価値ある体験でした。
プルトニウム・ウラン・重水・メルトダウンなどはまだ聞いたことがあったけれど、不確定性原理・相補性原理・シュレーディンガーの猫(なぜ猫を?)と初めて耳にする学術用語での会話劇。しかし、理解できなくても、神の領域のような話や専門用語の応酬は緊張感を高めスリルがあります。(ERもそうだし)
時間があったのでオペラシティー側をウロチョロ・・・広い。右写真は遥かかなたのコンサートホールへ続く大階段。新国立もやたら広いですが。中劇場(左)の大階段なんぞ長すぎ!どこもかしこも非常時避難場所になりそうな勢いです。なワリには女子トイレ少ないし。
放射能標識を連想してしまったけど、土星のリングのような舞台。
戦時下の物理学者として、聖なる学問が兵器となってしまうことへの不安、怒り、葛藤。
師弟の信頼と軋轢が、ボーア役村井国夫さんとハイゼンベルグ役今井朋彦さんの的確・明瞭な演技で、長大な会話劇も集中を切らさず聞き入ることができました。
平易な言葉で理論を説明する場面などは大きく頷いちゃいました。
もう完全に今井先生、村井先生の集中講義。
う~む こうなるとアインシュタイン先生の反論も聞きたいぞ・・・なんて(笑)
唯セリフを喋っているのでなく、生きた言葉となっているから観客に届くんですね。
冒頭、椅子に座っている村井さんは老いだけでなく
この学者の孤独をも表現した姿勢が絶妙。
初演(未見)の江守徹さんに持つ先入観とは違う、父性を感じました。
颯爽とした中にも複雑な心情を滲ませた今井さんの立ち居振る舞いも見事です。
今井さんは、感情をストレートに出さない役が似合いますね。
会談の内容は、ボーア夫人が、主人は興奮し戻ってきたということしか公表しておらず
原作者の想像で創作。
連合軍側に就くのではという危惧があったのでは?なんて簡単に予想してしまいました。
確信に近づいては離れ、最後まで謎のまま終わるのも
粒子の正確な測定は不可能とする「不確定性」、
「客観的宇宙は存在しない」という理論が暗示しているようでした。
な~んて、理論についてはちゃんと理解できちゃいませんが(苦笑)
でも、見ごたえのある、「大人の役者」の舞台でした。
追記。 椅子が硬くて痛い!
私も舞台好きです。コペンハーゲンの感想も興味深く読ませていただきました。"おいしいもの"の日記も(笑)。
また遊びに来ますね!
とても嬉しいです。早速リンクを貼らせて頂きました。
新国立は『変身』に続き2度目。椅子の硬さには、終演後動く時に唸って
しまいます。自前のクッションは分厚いはずなのに(苦笑)