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シアターコクーン 『わが魂は輝く水なり 』27日ソワレ観劇

シアターコクーン 『わが魂は輝く水なり 』27日ソワレ観劇_d0109373_22435178.jpg前楽でようやく観劇。
2階席まで立ち見ありの盛況。
清水邦夫脚本 蜷川演出です。音響ブースに蜷川氏。トレードマークの黒いシャツ姿で頬杖をついているのもいつものお姿。

70年代の新左翼の集団の崩壊を絡めているので、ほとんど『将門』。
リーダーは既に存在せず、崩壊を食い止めようと次なるリーダーを求める妻。
最初に観たからかもしれませんが、『将門』が素晴らしかったので重なるとお話しの新鮮味がないため巴御前の存在にも魅力を感じなくて・・・。
崩壊の危機感も狂気も『将門』ほど迫ってきませんでした。

秋山さんも人気実力ともに高い方ですが、どうも私にはよく分からなくて・・・。
巴御前のことよりもっと実盛・五郎親子を見たくなっちゃいました(苦笑)

『95kg~』にも出演の清家さん。前日までコクーンだったんですよね。

尾上菊之助丈の美しさは眼福でした。これが観られただけでも満足です。
菊之助丈の舞台は、尾上松禄襲名披露好演のゲスト出演で1演目観ただけですが、息を呑む美しい女形でした。
鎧に重ねた薄衣をひらりはらり。長い髪をなびかせ走る姿の美しいこと!
藤の大樹の下に佇む姿など一服の絵です。
実は私の席が中二階の前方だったので、この場面で藤の大樹の裏側の奈落から上がってくるところが見えてしまったのですが、これがまるで泉からでも湧き出てきたよう。
幻想的でぞくっとする後姿。観られてラッキーでした。
やはり2階席は‘神の視点’なのかしらん♪
語りの声もなんとも魅力的。映画『犬神家~』では、こんなに惹き込まれる声だったかしら?
なぜ自分が命を落とすことになったのか父(萬斎師)に打ち明ける場面などは、うっとり聞き入ってしまいました。

長谷川博巳さんもかなり面白い役になっていました。
とぼけた味が絶妙。「やっとわたしに訊いてくれましたね」ですって。
二反田さん、世話のやけるお殿さまでタイヘン(笑)

実盛役の萬斎師は老け役といっても、狂言では珍しくないためか違和感なく演じてます。
殺陣の場面では一転、疾風怒濤の活躍。三番叟のような‘跳び’も見られました。
なぜ若い萬斎師に老け役をさせたのか。確かにこれ以上ない魅力的なキャスティングではありますが。実際に壮年の俳優さんが演じたらこの軽妙さは感じられなかったろうし。
でも老いというものにもっと哀切が感じられただろうに。
もしも万作師だったらどう演じたのかな?

息子の霊との会話は実にユーモラス。
「肩を揉め」「力が入りません」(笑)
五郎も、抱きつこうとして空をきってコケたりと霊とはいえ軽妙洒脱。
「森の国」の「眩しいほど輝きに満ちた若者たち」に思い馳せ死化粧ともとれる白塗りを自ら施す実盛。ちょっとアッシェンバッハを思い出しちゃいました。
若きころの自分で闘いたいと願う哀れな場面もユーモアたっぷりな演出。
それまで生きている人間には触れられなかった霊である五郎が父・実盛に化粧をしてやれたということは、既に絶命していたのか死期が近づいていたということか。
五郎が紅を引いてやると唇をパッパッ。もちろん場内爆笑。
これで、最後に敵に囲まれた父を起こそうと守ろうとして何もできない五郎の悲しさが際立ちます。五郎の最後の叫びが悲しすぎる。

カテコでは大向こうから「音羽屋!」の声も。
お辞儀も美しいカスピアン王子・・・じゃない菊之助丈。
2度目のカテコでは幕が上がると、秋山菜津子さんを中央に立たせようとしている最中の実盛・五郎親子(笑)

冒頭、通路階段を駆け上がる時にちょっと躓いた菊之助丈。
すぐ側に座っていた観劇仲間のSさんがビックリ(笑)

シアターコクーン 『わが魂は輝く水なり 』27日ソワレ観劇_d0109373_2245225.jpgミュージアムでは宮廷画家ルドゥーテの薔薇の絵画展開催中。

カフェテラスにも薔薇の花がいっぱい。

Commented by Franny_G at 2008-05-30 22:19
ほぼ同じ感想です!(笑)
「将門」が良すぎですよね。どうしても比べると霞んでしまいました。

秋山さん、私はいくつか出演作を拝見してて、嫌いじゃないんですが、今回は今ひとつ物足りなく感じました。実盛・五郎親子が良かったですね。特に菊之助さん、本当に美しかった!

アッシェンバッハ!確かに「ヴェニスに死す」だ~!老いと若者への憧れか~、もう、流石お姉さん!!素晴らしい!!尊敬します!!
Commented by august22moon at 2008-05-30 22:34
私も今ちょうどFrannyさんの劇評を読んだところです!
やっぱり『将門』は良かったですよね。同じ思いだったとは光栄です。
でもFrannyさんの劇評には遠く及びません。
by august22moon | 2008-05-29 23:30 | 観劇 | Comments(2)

出会った本、映画の感想。日々のこと。


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