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d0109373_21544091.jpgこれほど『セブン』に似ているのでは、比較する言葉しか思いつきませんわ

それに なによりですねぇ
犯人の中の人がシークレットになっていて、さまざま憶測が飛び交うもんですから、私も「あの人」なんじゃ?左手で銃持ってるし声がセンセイと被ってるけど一番お客が呼べる意外なキャスティングでいいんじゃない?と思い込んでいたもんですから
勝手に少々物足りなくなっている自分がおりました。

雨で煙った映像はさすがに大友作品らしくて面白い。
いくつか強烈に印象的な構図もあるんです。

しかし、よくよく考えると、ツッコミどころも多く。
例えば、西野刑事が屋上の淵に立たされて犯人に掴まれたネクタイが命綱でギリ立っている、という場面。
犯人の無感情に殺人を犯せる異常性が出てこれは面白いと思ったのですが・・・
いやまて足首を縛られていようが、あれ、自分で足を前にズルッと落とせばいいだけじゃないですか?腰やられるかもしれませんが。違いますか?ダメですか?

犯人のお宅に乗り込んで対決となってからの展開が全部想像がついてもたついてショッキングでもなくて、台無しにしていました。

つくづく『セブン』はトラウマになるほど強烈だったと、改めて思わせてくれた作品でした。

by august22moon | 2017-10-17 23:00 | 映画 | Comments(0)

d0109373_21393470.jpg第1作の前日譚とのことでしたが、この第1作とほぼ同じ流れでしたね。
前作『プロメテウス』では、あのエンジニアの謎が明かされた面白さはありましたが、今作は信号を受信して未知の惑星に着陸するところから結局アンドロイドがエイリアンを拡散目的であったところは第1作と同じ。

どうもこのシリーズのヒロインは、シガーニー・ウィーバーから始まって女性らしい線の細い女優さんは使わないんですね。確かに彼女のような風貌ならばひとりで戦えそうですけど。
でも3人目ともなればもう、例えばスカーレット・ヨハンソンとか・・・あ、クリステン・スチュアートなんかじゃダメですかね。・・・軍人には見えないか
今作のキャサリン・ウォーターストンはショートカットの髪型のせいもあって可愛く見える時もあるんですが・・・まあノオミ・ラパスよりはいいですけど。
いやヒロイン以上にですね、私やっぱり、マイケル・ファスベンダーが、ダメですわ
あの笛の場面も必要かなぁ。
つくづく、イアン・ホルムのアッシュ、ランス・ヘンリクセンのビショップはよかったなぁとね・・・つくづく。
「人間にしてはやるね」とかね

映像はさすがに素晴らしい迫力でした。そこは見応えがありました。
でも、第2作の装甲車で脱出する場面とか、居るはずのヘリが居ない!と絶望的になったところプラットホームの向こう側から戻ってきた場面のように緊張感のある場面はなかった、かな
卵やフェイスハガーも第1作と比べたら動きも格段に細かくなっているのは当然なのですが、恐怖感がね、不足していました。
エイリアン自体に、神出鬼没な恐ろしさがありませんでした。
何度も見過ぎたかしら
結局、恐ろしいのはアンドロイドなわけで。

ダニエルズが冷凍睡眠ポッドに入ってからウォルターではなくデヴィッドだったと気付いたのは、顎の下の傷でも見えたんでしょうかね
どこで気付いたのかな



映画
by august22moon | 2017-09-30 23:00 | 映画 | Comments(0)

d0109373_1852180.jpgようやく。久し振りに映画館へ行けました~

音がとにかくでかい。
ってこれ、以前にも他の作品で申しましたね
オバサン、爆音に慣れるまで時間かかります。
冒頭の、目に見えぬドイツ軍の発砲する重火器の音から、戦闘機の飛行音まで爆音。
4DXでもないのにシートが振動しましたので、戦場の臨場感はたっぷり味わえました。
多くの兵士が桟橋や防波堤に密集している画は、緊張感のあるものでした。
いや、緊張感といより絶望感。
気付いたらいつからか、アナログ時計のカチカチという音がずっと鳴っているんですね。
トミーとアレックスが列車の座席に座るまで、ずっとカウントダウンされているのも緊迫感を途切れさせない効果がありました。

ようやく乗り込めた船も爆撃され、打ち上げられた「助け舟」である商船は潜んだドイツ軍に銃撃される。
隠れるところもない砂浜では、メッサーシュミットから爆撃され放題。
「空軍はなにをしているんだ!」と叫ぶ兵士がいますが、いつ攻撃されるか分からない状況にハラハラ。
しかも、ようやく乗り込んだ船も攻撃され、海に投げ出され、船から流れ出た重油の上にメッサーシュミットが墜落して火の海。
こんな状況でほんとうに何十万人も救出できたのかと訝しくなるほど、一難去ってまた一難。

構成が面白くて、陸海空で経過時間がそれぞれ違う。
救出を待つ砂浜では1週間。救出に向かう民間船は1日。迫るドイツ空軍を迎え撃つ空軍は1時間。
砂浜へ英国軍が集まったそのころイギリス国内や空軍はこんな様子・・・なんて気を揉ませることはないわけです。

救出を待つ間の緊迫感も面白いのですが、救出を待つトミー、ギブソンたちや、救出に向かうムーンストーン号船長のドーソンたちの描き方もとても見応えのあるドラマでした。
ドーソンは救援を求められた時から英国海軍の一員となったかのような責任と威厳があり、共に戦っていました。

トミーはダンケルクの砂浜のはずれで死んだ兵士の軍服や靴を明らかに盗んで着込んでいる男を見つけても咎めもせず、一緒に埋めるのを手伝うんですが、イギリス兵ではないと直感していると感じました。
薄々感づいていながらなにも聞かないのも、その前にドイツ軍を食い止めているフランス兵に助けられたことがあったからじゃないかとね、思いました。
怪我人が優先的に乗船できるのを見たこの男がすぐさま、運ぶ兵士も撃たれて砂浜に置かれたままの怪我人の担架を運ぼうとするのを察して一緒に運び始めるし。
ようやく乗り込めても怪我人以外は下船するように言われ仕方なく降りようとすると、「ギブソン」が桟橋の下に隠れているのを見て追っていく。そこでもまったく声をかけない。
そこがまた、若い兵士たちの緊迫感を感じさせました。
沈没した救出船から助けられた若い兵士アレックス役で、ワンダイのハリー・スタイルズが出ているんですが、トミー役のフィン・ホワイトヘッドと共に、40年代のイギリス青年らしい風貌にしていて違和感はまったくありませんでした。

帰還した場面もとてもよかったです。
民間船が沖合に現れた時は、正直それほど感動的ではないんですが、イギリスに無事着いてからの場面のほうが印象的でした。
男性が「よく戻った」と帰還兵たちに毛布を渡すのをアレックスは、負けたのにと苛立ちを露わにするんですが、トミーにはこの男性は目が不自由なことが分かってしかも生きていればそれで充分と言われているのに、それすら黙っている。
生きてさえいれば希望はあるのかもしれないけれど、這う這うの体で逃げてきた事実は消えないこれは敗戦なのだ。
そこがね、トミー自身も今ある状況を整理できていない気がしました。
多くの民間船の協力があったことや勇気ある撤退と称える新聞記事をアレックスに読み聞かせた後の表情は、複雑な心境を滲ませて秀逸でした。

トム・ハーディーがスピットファイアを駆って大活躍なんですが、ラストが泣かせました。
燃料が無くなるギリギリまでドイツ軍機を撃ち落とし、プロペラも止まっているのにパラシュート脱出せずなんとか車輪を下ろして敵地の近い砂浜に着陸し、戦闘機を燃やす。
ドイツ軍から守ったわけですね、相棒を。
最後まで戦い抜いてくれた相棒を慈しむように見つめ続ける背中。火葬のような炎。
抵抗もせずドイツ軍に捕らえられる潔さ。
操縦席の中がほとんどとはいえ、見せ場の多い役どころでした。


波打ち際には波の花が浮いていましたが、寒かったんでしょうねぇ



映画
by august22moon | 2017-09-26 23:10 | 映画 | Comments(0)

d0109373_1275532.jpg英国アカデミー賞作品賞を獲得した03年のイギリス映画。
何気なく見始めて引き込まれた作品です。

85年にアンデス山脈のシウラ・グランデ峰西壁を下山中にひとりが滑落し生還した事故を、本人たちのインタビューと再現映像で構成しているのですが、この再現ドラマが実に見事でした。ロケ現場も含め、事実にかなり忠実ではないかと思われます。
アックスとアイゼンだけで垂直の氷壁を下る。
突然頭上から崩れ落ちてくる氷塊や雪庇。
天候は荒れ、気温は零下20度。
厳しい場所だからこそ挑戦し甲斐もあるので、無謀と言うこともできないでしょうが。
事故が起こる前の登りからもう既に緊張の連続。
製作者側が彼らの名誉と悲劇に真摯に向かい合って共に戦ったのが伝わりました。

再現映像に登場する、サイモンとジョー、そしてリチャードの三人を演じる俳優さんたちは顔立ちがまったく似ていないので、本人たちが映るたびに、想像の切り替えが必要なほど。
それほど、再現に留まらない迫力がありました。

事故に遭ったジョー・シモンズ氏とベースキャンプの留守番役に雇われたリチャード・ホーキング氏は、その瞳にまだ少年のあどけなさを残した穏やかな顔立ち。
ホーキング氏は世界中を旅して周り、危険な目にも何度も遭っていた人物には見えないほど。
「彼らのファーストネームしか知らなかった」と温かい笑顔で語るので、出会って日が浅くても信頼して留守を託したサイモンとジョーの気持ちも分かるようでした。

エンディングで、帰国後サイモン・イェーツ氏が、滑落し重症を負ったシモンズ氏とを繋いでいたロープをやむなく切った判断について、ずいぶんと責められたことが記されます。
作中のインタビューで、イエーツ氏が硬い表情のままだった理由は、そこにもあったわけです。
その瞬間、いかに他の方法がなかったか。
どれほど切らなければ自分も滑落してしまう切羽詰まった状況であったか。
最も重要な瞬間は、非常に説得力のある映像でした。
決断の後、まるで亡霊のように、ジョーが落ちたクレバスを迂回して進む姿には、辛さが伝わってきます。

シモンズ氏は、ベースキャンプに辿り着いた時に先ず、サイモンの名を呼んだんですね。
「ヘルプ」ではなく。
それは、一刻も早く、サイモンを自責の念から解放したかったからと感じました。
そして、駆け寄ったサイモンに第一声、判断は間違っていないと擁護したのには、見るものにとっては救いになりました。

本人たちが映っているのですから、結果は最初から分かっているのですが、それでもシモンズ氏の生還劇には、固唾をのんで見守ってしまいました。




映画

by august22moon | 2017-09-03 23:00 | 映画 | Comments(0)

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快晴の青空の下でタラップに立つ4人の姿も、サブタイトルの「The touring years」に合っていますが、作品を見終わってみると、日本版ポスターの浅井慎平氏の写真のほうが相応しいと思えます。

多くは以前に見た映像でしたが、それでもこの鮮明さは無かったので、こんなにきれいな映像が見られる日が来たことに、ただただ驚きです。

未見の映像では、ジョンの「キリストよりポピュラー」発言の謝罪の動画。
観客席の人種差別に抗議した発言の動画。
これらは文字情報でしか知らなかったので。

今作はいかにビートルズが生まれ、いかに分裂していったかを探るのではなく、いったいあの熱狂はなんだったのかを探っていくものなので、彼らの亀裂の欠片も感じません。
アップルビル屋上のライブの後も、ジョンの「オーディションに受かったかな?」や、ポールの「ありがとう、モー(モーリーン・コックス)」は入っておらず、ただ楽しそうな笑顔が印象的なラストになっています。
私が初めてこの映像を見た時は、4人の表情は醒めてしまっているように見えた記憶があります。

一気に世界中を熱狂させた4人は、当初はさすがに戸惑いながらも、大観衆に応えている姿は愛らしくもあります。
中には歌を聞いて口づさむファンもいたでしょうが、映像ではいつも絶叫し続け歌など聞いていない女の子たちばかりを映します。
せっかくのライブなのにステージを見ずに叫んで泣いているコまでいるのは、不思議な光景です。
なにが彼女たちをそうさせるのか。
しかし、よくよく見ると、スタジアム中央に設えられたステージ周辺がやけにシンプル。
当時はスタジアムライブ用のPA設備などなかったわけです。
後に大型スピーカーも用意されたそうですが・・・たいして聴こえてなかったわけですね。
イヤモニも無く、メンバー自身にも聴こえていなかったので、共演バンドに、自分たちの演奏はどうだったか尋ねていたというのは初めて知ったので驚きでした。
当時の技術では仕方なかったとはいえ、技術が追い付かないことを決行してしまうスタッフ側の度胸もすごいものですね。
B・エプスタイン、恐るべし。


リチャード・レスター監督作 『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』

d0109373_23351963.jpgで、『A Hard Day’s Night』です。
ほんとは『HELP』のほうが見たかったんですけど。
広川太一郎さんがジョンの吹き替えをしていて、例によってアドリブ満載で、ジョンはそんなにめちゃくちゃに喋らんぞーと楽しいのです。

これは、まあ、アイドル映画なんで、ストーリーがあるようでない。
脈絡なく唐突に歌いだして見ていて恥ずかしくなっちゃうよくある作品です。
今作も以前見たことがあるのですが、もちろん画質はもっと粗くて。こちらもこんなに鮮明に見られることに驚くばかりでございました。

冒頭、ジョージが思いっきりコケるとこ。で、それにリンゴが巻き込まれるとこ。
ポールがソツなく芝居できちゃうとこ。
なんかが印象に残っていました。

リンゴが一番、雰囲気を持っていて、侘しく河原を歩く姿には、その後の活躍も納得です。



映画
by august22moon | 2017-07-27 23:00 | 映画 | Comments(0)

d0109373_20215465.jpgこれは秀作。
あらすじを読む限りはありふれたストーカースリラーですが、少しづつ違いが出てきて、先の読めない展開に進んでいき、結末の意外性も唸らせるものがありました。

なんといっても、ゴードン役エドガートンが巧い。
サイモンには怪しい男に見せて不安をかきたて、妻のロビンには「いいひと」に見せる。
受け手側の解釈によって印象が変わる、微妙な人格を見事に表現していました。

観客にも、子供の頃から変わらぬ内向的な人物と思わせて惑わせておいて。全て、計算づく。
エレベーターまで追ってきたサイモンに、閉まりかけだドアの間から冷笑するゴードンの表情に戦慄。

徐々に夫サイモンの実態が見えてくるのは、ストーカーよりも恐怖。
この暴き加減も巧い伏線になっていました。
お品なかったもの、サイモン。

最後の「ギフト」が明かされると、改めてサイモンの目がはっきり見えるアップになるので、赤ちゃんの瞳の色はどうなんだー青なのか茶色なのかーと画面に引き込まれちゃう次第。
疑惑の後味も含めたいへん面白かったです。
これこそ、「イヤミス」。


それにしても。壁一面窓の家って、陽光たっぷり入って庭木も見えて開放的ですけれど、プライバシー丸見えなうえに、居留守使えなくて困りものですね。




映画

by august22moon | 2017-06-21 23:00 | 映画 | Comments(0)

d0109373_1947131.jpg 日本版ポスターはなんだか河瀬直美監督作のよう。














海外版のほうが黒沢清作品っぽいと思いました。
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『首長竜~』もホラー作品に変貌させた監督ですから、部屋の仄暗さからもうそこはかとなくホラー感。背後の空間が怖いー
子供やお坊さんが優介の異質なものを感じ取って見つめる場面。島影が消滅して一夜にして廃屋に戻った家。星谷が消滅する際に流れてくる靄などは、いかにも黒沢監督らしい怪しげな描写。

カンヌで「ある視点」部門監督賞を受賞した作品ですから期待していましたが・・・
先ず気になったのが、BGM。
酔った島影を優介が背負っている場面だったか、シンフォニーが流れる。
優介がぼんやりと月を眺めている場面には似つかわしかったのですが。
妻・瑞希が打ち明け話をする時は、長閑な山田洋次作品のような曲。
場面とちぐはぐな気がしました。

会いに行かなければという優介のよく分からない使命感で、亡くなってからの3年間に出会った人たちを訪ねる旅に、瑞希もついて行くんですが。
死んだことに納得せず彷徨っている魂を慰めるためなのか。なぜ行かなくてはならないのか。
優介という男をどう捉えたらいいのかモヤモヤ。
もう少し生気の無い雰囲気があればスッキリしたのかなぁ
訪ねて行く先の人たちは、奇妙なほど優介を歓待する。何がそんなに愛され惹かれたのか、里山では私塾まで開いて村中のひとがいそいそと集まって来る。
死者というより天使なのか?
同類の死者たちが歓迎するのはともかく。村人も中華料理店の夫婦も生者。妻のほうに亡くなった妹への悔恨が在るんですが、でもそれは誰にでもあることじゃないですか。
ピアノ絡みということで、妻も亡くなった少女の霊を鎮めることができたりするんで、妻としては夫の成し遂げたいことが理解できてくるってとこなのかな
会いに行ったのに、この夫婦に対して優介は店の手伝いをするだけで何もしていない。
何しに行ったんだろ

優介を巡る非現実と、深津さん演じる妻の生々しさがアンバランスに見えました。
これが、男女間の「深くて長い川」ってもんなんでしょうか

生きているひととまったく同じに接することができる夫が目の前にいたら、なぜ自殺したのか納得いかない妻としては、このまま元の生活が取り戻せるのではと期待するのは当然。
浮気相手のところへ行き、(死んでいようが)自分のところへ戻って来たことを言ってやりたい心情も分かる。
彼女にとってはもう、なぜ死んだのかよりも重要。
この妻の情念を、深津絵里さんはさすがの巧さで演じています。
亡父相手に話す時は、当時に戻ったようにちょっと幼くした喋り方も巧い。

星谷家では、生気のない薫のほうが彷徨える死者なのかと思いましたわ。
奥貫薫さんは好きな女優さんで。
きっと瑞希と同じ葛藤に苦しんでいたと思わせる表情がとても印象的でした。

私ったら、アップになるまで蒼井優さんだと気付かなかったんですのよ。
髪型のせいかなぁ。


ふと、だいぶ前にTVのスペシャルドラマで『降霊』を見たことを思いだしました。
前半はホラー描写満載なんですが、後半のサスペンス劇がたいへん面白かったんです。
夫が、妻の嘘を終わらせるために尋ねてみせる。何持ってる?
そして部屋の隅に移動する夫。隣の部屋で蹲る風吹ジュンさんの様子を見に行く刑事とくさなぎさん。カメラは誰もいない部屋を映し続ける。
で、くさなぎさんがあの慈しみ深い声で言うんです。
オンナノコノモノデスネ
誰もいない部屋にその声だけが聞こえる。
つまりこの声は、判決であり宣告であるわけですね。
ホラーな描写を凌駕して、そこが一番ゾッとさせましたっけ。

今作では、蒼井優さん演じる女が、浮気相手の妻である瑞希に平然と自分も結婚していて妊娠したので退職することを告げる場面が、一番ゾッとしました。




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by august22moon | 2017-05-31 23:00 | 映画 | Comments(0)

d0109373_22322763.jpgエキサイティングな厨房の外のことはさらりと描いて、スマートな仕上がり。

B・クーパー演じるアダムは、その傲慢さからパリでの仕事を追われているようなんですが、そこで何があったのかは登場人物の口から語られるだけで、しかも彼らの知る部分だけなので、劇中エレーヌが視聴者(観客)代表のように「パリでいったい何があったの?」と尋ねても、抽象的な反省の弁だけ。
恋人だったアンヌマリーや友人トニーとの関係も、会話から想像するしかない。
でも、パリで成功したシェフが、牡蠣の殻向きをしているというだけである程度の想像はできるし。
彼らの父親のことも説明が極力少ないのですが、トニーが満席になった店内で満足気に「父さん」と虚空に独り言つだけで、それは充分な気もしました。
荒れまくるアダムを人前では黙って決して諫めないし、アダムとの距離を一定に保とうとしているトニーという人物の描き方は絶妙。
ダニエル・ブリュームとてもよかった。

見るたびお顔の違うシエナ・ミラーも、調理中の視線の動かし方がリアル。
B・クーパーのアダムにしてもあんなシェフ居そう。料理家は芸術家だから、外見はスマートでも裏では厳しいでしょうね。
劇中の設定では、まだチームとして成り立つ過程のもどかしさがあったわけですが。
あんな大声で怒鳴りまくったら絶対フロアに聞こえてるって!

あの喧噪も無かったかのように新品同然に磨き上げられた厨房の美しいこと。
この清掃がまたいかに重労働であるかがきちんと描かれていました。
無論、それほど清潔な場所にするのは当然なんですけど。
いや~タイヘン。毎日大掃除なんだわ。

アダムの借金返済を迫ってたびたび訪れる怪しげな人物たちに遂には暴力振るわれちゃうんですが、それまでは裏口に現れるだけで店内にまでは侵入しないという、やたら紳士的なのが妙っちゃ妙。
過去の過ちから逃れきれないという足枷は、新しい店の成功を邪魔することにもならず。
問題はアダム自身にあるわけですから、そこ必要だったかなぁ

孤高のシェフがチームワークに目覚めて無事目標達成というハッピーエンディング。
エンディングの皆でまかないを楽しんでいる場面でも、アダムの笑顔を正面からではなく、斜め後ろから僅かに捉えるというのも、登場人物の背景を詳細に見せずに展開する今作らしい。

ミシュランスタッフって、ほんとにあの通りなのかしら。
今度こそ噂どおりなのがキターーって店中が一気に緊迫するところは面白かったです。
それがまた勘違いだったというのもね、ありそう。

スカウトされたデヴィッドが恋人にミシュランで星を獲得することの凄さを「一ツ星はいわばルーク。二ツ星は・・・アレック・ギネス。三ツ星はヨーダ」と説明すると、「ダースベイダーかもよ」とまぜっかえす彼女。
無理やり転がり込んで来たアダムをジェダイに例えないところが傑作。

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映画
by august22moon | 2017-05-30 23:00 | 映画 | Comments(0)

d0109373_20215831.jpg『ブレードランナー』最新作も控えて、ここ数年注目監督の作品を初体験です。
アカデミー賞作品賞・監督賞にノミネートされただけあって、心に染み入る「メッセージ」を持った作品でした。

地球外生命体の乗りものの形状が話題ですが、どんなにフォルムが変わっても、やはりどうしてもあのモノリスは連想させてしまいます。宙に浮いてると尚更に。

ストーリーを文字に起こすと、ありがちな宇宙人との遭遇譚なんですが、煽ることもせず静々と進んでいくし、また主演のエイミー・アダムスの丁寧な演技が、現実味を増幅させました。

最初のうちは、エイミー・アダムス演じるルイーズは、過去の思い出に囚われているのかと思っていました。
過去の悲劇が、彼女の翳りとなっているのだと。
でもそのフラッシュバックが未来の姿だったとは、驚きというより絶望的。
そんな結末なら教えてくれなくてもいいのに。
乙姫さまがなぜ玉手箱を贈ったのかと同じくらい疑問。

異星人たちの語る「3000年後」に何が起こるのか。
3000年も先のことをなぜ知らせに来たのか。
いや待て、それは、地球時間なの?
まるで神の時計じゃないの

なぜルイーズに未来を見せたのか
他の11ヶ所には同じフラッシュバックが起こったひとがいたのかな
ルイーズだけが選ばれたのか

彼女が翻訳し理解し自覚した「武器」は「言葉」。
その言葉で、国も動かせた。

行く先に、栄光も幸福も絶望も、どこにあるのか分かってしまっている。
でも、未来が分かっていれば、その一瞬を大切に生きられる。
「ノンゼロサムゲーム」
選択し、未来に身を委ねた、エイミー・アダムスの表情が素晴らしかった。

静かな語り口で、さまざまに考えさせてくれる。
いい時間でした。



映画
by august22moon | 2017-05-27 23:00 | 映画 | Comments(0)

d0109373_0403937.jpgだいぶ前に放映されていましたが、吹替版で見ました。
ベン・ウィショーの声で全編みたかったのですが、思いのほかボイスキャストの松坂桃李さんの決して可愛らしい高めの声ではないところを、ウイスパー気味に話すのがとてもよかったです。
可愛いくまさんだけれど、野生は失っていないクマであるところが表れているようでした。

「お願いお願いお願い」なんてね。特に。

シェイクスピア劇では古典劇特有の重厚なセリフにも負けることない芯のある芝居をされて。
狂気の犯罪者役でのシャープな演技から、コメディーでは共演者のアドリブにも役柄揺らぐことなく受けて立って。
多彩なかたですね


サリー・ホーキンスはいつもああゆう風貌でやっちゃうんですねぇ
もう少しおおらかなマダムっぽさがあってもいいと思ったんですが。

お部屋それぞれカラフルで楽しい。キッチンはイエローだわやっぱり
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映画
by august22moon | 2017-04-27 23:00 | 映画 | Comments(0)