桜色の雑記帳

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出会った本、映画の感想。日々のこと。

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d0109373_20214979.jpgようやく。久し振りに映画見れました。
最近バテ気味で仕事帰りに映画を見に行くなんてとても出来なくて。
まだ「ファンタビ」も見てないんですが、こちらのほうが上映時間が早かったので


そういえば、まだいかにデススターの設計図を手にしたのか、第1作「新たなる希望」の冒頭場面に続くまでのエピソードはまだ描かれてませんでしたものね。
最後には同じショットも出してエピソード4に繋げましたが、シリーズとはだいぶトーンが違う作品でした。

ドサクサに紛れて名乗った、反乱軍の工作部隊「ローグ・ワン」のメンバーの服装が、現代の戦闘服に近い色合いなせいもあって、近未来SFって感じです。
後半の戦闘場面には、『ターミネーター4』みたいな緊迫した迫力がありました。だから、ストームトルーパーたちが可愛く見えてしまうほど。
Xファイターが部隊の援護に飛んできたとこなんてね、完全に戦争映画の迫力。
バランス悪くて大して戦力にならないように見えてたAT-ATウォーカーがこんなに脅威的に映るとは。

宇宙空間での戦闘場面はスピード感があって面白かったです。
スターデストロイヤーを囲んで、反乱軍戦闘機がシュッシュッとハイパードライブで次々に出現するとこなんて、あらこれなんで本編でやらなかったのかなぁと思いましたですよ。

ピーター・カッシングが長々と登場するのにも驚きましたが、レイア姫まで出せるとは。びっくり

主演のフェリシティー・ジョーンズ演じるジンと共に潜入するキャシアス役のディエゴ・ルナは、『エリジウム』で初めて知りました。あの時もワルっぽい扮装なのに目の可愛いさが印象的でした。
もっといろいろ出ないかな。

このキャシアスの相棒K-2のキャラがまた面白かったです。
元は帝国軍のドロイドという設定で、本編でも出ていた型ですね。
喋れるといってもC-3POみたいな口先の巧い従順さではなくて、鋭いつっこみが出来るという高スペック。
ノールックで迫る敵を仕留めちゃって、攻撃も高スペック。
反撃に合いながらも最後にドアをロックしたと告げるところは哀愁が出ました。
設計図データを辛うじて送信した後の、誰か受け取ったかなと散っていくさまも、開かないドアの隙間から必死にデータを渡す兵士など、なかなか泣けるラストでした。
「希望」を見出すまでに、多くの犠牲があったと生死をくっきり見せたあたりは特にファミリー向け本編とは違うところでした。
ダースベイダーの見せ方も、若い方々の表現を借りるならば、「圧倒的絶望感」。
登場の仕方も全作品中一番ってくらい素晴らしい。



映画
by august22moon | 2016-12-22 23:00 | 映画 | Comments(0)
「スターウォーズ」が全作品放映されて何作か見ましたが、こうも何度も放映されるとは。
それでもダースモールの構えのかっこよさに何度も見ちゃうんですけどね。

さて、ヘレン・ミレンの品格が作品にも気品を漂わせて、美しい映画でした。
ポスターは日本版のほうがいいですね。
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クリムトの作品は特に好きではないのですが、この絢爛な美術品が、奪還劇をよりドラマチックなものにさせていると感じました。
マリアにとっては、ナチスによって奪われた家族の肖像。
自分ひとりだけが生き残ってしまった罪悪感に苛まれ続ける辛さが伝わってきました。
一個人が国家相手に裁判なんて無謀と映りますが、ナチスにいまこそ勝たねばならないという決意が、ヘレン・ミレンの横顔に滲んでいました。

エスティー・ローダーが出てくるとは・・・

by august22moon | 2016-12-20 21:05 | 映画 | Comments(0)
d0109373_19102197.jpg『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』をようやく全編見ました。

シュルツ氏の心温まる絵が素晴らしいのですが、その魅力を損なうこと無いアニメでした。
「くまのプーさん」の顔立ちが「安定している」と表現したアスリートがいましたが、ピーナッツファミリーの顔立ちも、安定していると思うのです。
シンプルな線で、表情も大きく変らないところが、ほのぼのさせています。
トラブルもピンチも、心優しい仲間たちが寄り添い支えあってハッピーエンド。

子供の頃にはTVシリーズが放映されていたと記憶しているのですが、その頃のボイスキャストは、チャーリー・ブラウンに谷啓さん、ルーシーにうつみみどりさんでした。
大人が吹替えていたんですね。それがまたぴったりでした。
今作ではチャーリー・ブラウンに鈴木福くん。妹サリーに小林星蘭ちゃん。ルーシーに谷花音ちゃん。
チャーリー・ブラウンが片思いする転校生役にはなんと芦田愛菜ちゃんという、オールスターキャスト。
福くんは、元々やさしい声で静かに話すので、ぴったり。
片思いでもじもじしたり、ルーシーに振り回されたりして、気の弱いコに合っていました。

生真面目なマーシーは、マイペースのペパーミントパティーのことを日本語訳では「先輩」、英語では「Sir」。チャーリー・ブラウンのことはちゃんと「チャールズ」と呼ぶ、ともだちとの距離感が面白い。





マーク・オズボーン監督作 『リトルプリンス 星の王子さまと私』 wowow放映

d0109373_1954824.jpgCGとストップモーションアニメで描かれたそうで、美しい絵の作品でした。
原作自体、あまり好みのお話しではないのですが、味気ない少女の家と対照的な飛行士の庭がとても美しくて、アレンジも楽しく見られました。

こちらのボイスキャストも、マッケンジー・フォイと鈴木梨央ちゃん、ヘビにベニチオ・デル・トロと竹野内豊さん、キツネにジェームス・フランコと伊勢谷友介さんとこちらもオールスターキャスト。

後半に出てくるミスタープリンス役の宮野さんについてはあまり知らないのですが、他のキャストが皆俳優さんばかりのせいか、声優さんが出てくると雰囲気ががらりと変りました。
流石に人気声優さんだけあって声の表情が巧みで、キャラクターと声に距離がなくなって、純粋にそこに「ミスタープリンス」が生きているように見えてしまいますね。




映画
by august22moon | 2016-11-11 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_211254.jpgお隣りのハワード監督も思わず笑っちゃうほどの「ミテネッ!」が、可笑しくって傑作。
ハンクス氏、今年に入って三作目ですよ、凄いですね。

今作も自前のスーツ台無しで、借り着であちこち飛び回るんですが、今回はじっくりお茶しながら推理してる間も無く、スピーディーで面白かったです。
髪の毛はどんどん短くなちゃって、第一作くらいの長さも教授らしくてよかったのになぁ

ラングドン教授ピンチで始まり、幻覚の中で展開するボッティチェリ作の「神曲・地獄篇」の光景が見事でした。
監督、これこそがやりたかったのではないかと思うほど。夢に出そうな恐ろしさでございました。
フィレンツェが舞台なので、今作も様々な名所が見られます。
(友人にフィレンツェ好きがおりまして、解説で大騒ぎです)
ビッティ宮殿、からのヴァッザーリ回廊。ヴェッキオ宮殿では五百人広間。(天井画がぁぁ~)
地図の間では秘密の扉まで。で、ヴェネチアに移動してのサン・マルコ。
飛んでイスタンブールでは、地下宮殿。ここは初めて見たのですが、面白いところですねぇ
こんなところでコンサートなんて素敵ですこと。

冒頭から度々起こる違和感に、監督、いやトム・ハンクスそこそれでいいのか?フェリシティ・ジョーンズのこの演技をほっといていいのか?の連続でしたが、これがことごとく伏線だったわけで。
ああ、スッキリ。
ラストの攻防戦もスリリング。
ガラスケースの中で破裂した時は思わず、あー間に合わずー!

「ダ・ヴィンチコード」も「天使と悪魔」も原作を読んでから見たので、謎解きの結論に至るまでの経緯が分かって、置いてきぼりにならなかったし、さまざまな説や歴史の教科書だけでは知り得ない知識を得られて楽しかったのですが、今度は未読。
上下巻の長編原作をコンパクトにまとめてあるせいか、特にブゾーニの人物像に関しては、原作を読んでいたほうが分かり易かったかもしれません。
ラングドン教授が記憶喪失や謎の痛みに苦しむさまも、シエナを止めようとする必死の表情も、トム・ハンクスさすがの名演で、引き込まれました。



映画

by august22moon | 2016-11-04 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_14525833.jpgデ・ニーロが穏やかでひとのいい役演じたら面白いんじゃないか?とか、アン・ハサウェイが今度は編集長役やったら面白いんじゃないか?とサービスみたいな作品ですね。
デ・ニーロが演じると、昔働いていた職場への郷愁だけでなく、なにか裏がありそうです。
実は吸収か提携を画策している大手のCEOでした、とか。
「アンダー・カヴァー・ボス」みたいなどんでん返しを邪推してしまいましたが、ストレートなハートウォーミングムービーでしたね。

新興業種に生きる若者たちと、需要の見込みが無くなった産業で生きてきた老人。
同じステージで関わることなどないような世代同士が、ビジネスを越えて人として互いに影響しあう。
大人のお伽噺でした。

デ・ニーロが、鏡に向かって挨拶の練習なんかしていると、ちょっと期待しちゃうじゃないですか。
You talkin’ to me? とかやってくれるわけ・・・ないですね。








平野俊一監督作 『S -最後の警官-』 wowow放映
d0109373_1532393.jpgドラマは確か1、2話しか見なかったんですね。
出演者も役柄に似合った面々が揃えられて見応えがありそうだったんですが、主演氏のキャラクターが似合わないと思ったんです。
他でも熱血漢とかヤンチャで無謀なおとこのこの成長譚を選ばれますが、この方自身の知的な印象をそのまま活かした役のほうがいいんではないかと思うんです。
それこそIQの高い役なんて無理なく演じられそうなのに。稀有なキャラが勿体ない。

ストーリーも、既視感のあるエピソードばかりだし、テロの言動も浅いしで、緊迫感がイマイチ盛り上がりません。銃を突き付けたくらいで首相が脅せると考えるテロリストがいましょうか
連行中に銃携帯してるの気付かないというのも・・・

正木の「空がきれいだ」も、船を降りた時じゃなく、最期の言葉でよかったのに。

なんだか、いろいろと、勿体ない作品でした。





今村昌平監督作 『人間蒸発』
d0109373_16165821.jpg一般人の失踪者を追う、というのは、失踪者本人やその家族や関係者の、赤の他人には知られたくない部分まで暴いてしまうことになるのに、不特定多数のひとの目に晒すのを承諾した佳江という女性の真意がいまひとつ理解できないままでした。
追うほどに婚約者大島の周辺はどんどんキナ臭くなっていって、ついには肉親にまで失踪の一因が疑われることになるのに。

有吉佐和子の小説にもありましたが、関係性や性別・年齢によって、印象はまったく違ってくるものだというところは面白かったです。

作中、女性の心理が変化していくのが、この作品を意外な方向へ進ませるのですが、今村監督の口の動きと声が合わず明らかにアフレコだったり芝居がかっていたりして、監督の企みが見えて興醒めでした。
女性の変化について「後見人」の露口氏の返答は、この方の普段の喋り方がこうなのかもしれないと思わせたり、自然に見せた芝居のようにも見えましたし、67年当時の女性特有の口調が現代に於いては不自然に聞こえるので、女性のほうも芝居っぽく見えてしまい、事実を惑わせました。

人はなぜ全てを捨てて消えてしまいたくなるのか、実は事件に巻き込まれたのか、自殺なのかに迫って、そこに人は誰しもが虚しさや孤独を抱えているのだと示すのではなくなったのが、個人的には興味を失せさせました。
今村監督ですから、失踪者が女性問題をいくつも抱えていたり、探す側の女性の情念に気付いてしまったら、松本清張作品のように社会派に帰結しないのは仕方ないですね。

by august22moon | 2016-10-28 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_1550501.jpgこれは映画館で、しかも3Dで楽しむ作品でしたねぇ
あの高さを想像する集中力を必要としました。
スクリーンなら、自然と足の裏ムズムズしちゃったことでしょうに。

もっと高い所をと、可能性を追求していくさなかに出会ってしまったのが、建設途中のワールドトレードセンターなわけですね。
この作品の後に放映された、ドキュメンタリーの『マン・オン・ワイヤー』で見たフィリップ・プティ氏本人は、インタビューもハイテンションだったせいか、ゲリラ的にパフォーマンスするのも、人々を驚かせることが焦点のように見えてしまって・・・
しかし、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが演じると、彼の真意が理解できました。
師匠との関係がじっくり描かれていたこともあって、ワイヤーの上で恭しく礼をするのも
寝そべった時に目が合ったカモメが、鳥の領域を侵していると言っているように感じたのも
いかにも芸術家の感性。
アニーが、ビルに「命を吹き込んだ」と言った言葉にも、プティ氏が訴えたいであろう芸術性を気付かせました。

合い間合い間で、自由の女神のトーチに立ったレヴィットの解説を挟んでいるんですが、最後に、WTC展望台のチケットを贈られた話が紹介されます。
警察に連行されはしたけれど、作業員たちは拍手で見送ったし、こんなチケットをプレゼントするほどにおおらかな時代だったんですね。
実際に示されたチケットには手書きで「permanent」。
「永遠に入場できる」と自慢気な笑顔で語った直後に表情を消して視線を下げ、スクリーンから外れる。
アッパーニューヨークベイを挟んで見えるWTC。
永遠と言われても彼にとっての「聖域」は既に失われてしまった。
無謀な挑戦をしつづける男の物語というよりも、まるでその巨大な建築物の消滅を惜しんでいる映画であったようです。

by august22moon | 2016-10-22 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_2043095.jpg待望の新作です。

ジェイソン・ボーンが帰って来たというだけでも楽しめました。
ますますセリフが少なくなってますけど。名乗る時の声のトーンが、いい。
軍隊で鍛え上げられた肉体と暗殺者として養われた頭脳を駆使した、硬派のサスペンスが今作も楽しめました。
今作ではなんと、ボーンの本名と父親の正体が判明。
父親までも被害に遭ってたたとは。ますます「哀しみのスパイ」ね。

しかしこれは賛否あるだろうなという、今までのシリーズが持っていた印象とは少し違う仕上がりでした。
飛行機にぶら下がって「open the door !!」なんて事態に陥ることなく、一見してその構造を読み取り、そんなとこからそんなふうに侵入できるのか!と驚かせるのが「ボーン」の醍醐味。
しかも遠くラングレーを離れて、ヨーロッパを舞台に、壊せない歴史的建造物の多い美しい街並みをすり抜けて(アパルトマンの内装はメチャクチャにしてたけど)スマートに追手から逃れていたのが、地下で蠢く暗殺者の孤高をより匂わせて魅力的でした。

冒頭のギリシャの暴動の中をCIAの追跡から逃げるところは、これぞ「ジェイソン・ボーン」という面白さがありました。
混んでいたので前のほうの座席しか空いてなくて。
スクリーンが近いと、なにがどうなってるのかわけわかんなーい!でしたが。
CIAも追跡力がアップしていて、群衆の混乱の中に一瞬だけ見えたターゲットを見分ける能力のある新人局員(アリシア・ディキャンベル)も凄いけれど、どんな指令にも即座に応えてみせる職員たちの有能さたるや。
バイクのスピードを計算して数十秒後に通過する路地を示し、絶好の狙撃地点を指示するなんて、凄い
圧巻の攻防戦。
それをまた逃さない暗殺者の腕も凄い

しかし、アメリカのベガスを舞台にして大暴走と破壊の限りを尽くす後半は、ちょっと「ボーン」らしくない。
まあ、ボーンがやったわけじゃないですけど。
今までも派手なカーチェイスは目玉としてありましたけど。
ベガス、カジノ、というのが、らしくない風景。
アイディアとしては画期的で大迫力ですが、この作品でやらなくても。

そんなこと言いながらも、いつものクールなラストに「Extreme Ways」が流れたりすると、やっぱり面白かったーとなるのであります。
かっこいい曲ですー

マット・デイモンはこれから1年休業だそうですが、1年なんてあっと言う間。
今から次回作も楽しみです。




映画
by august22moon | 2016-10-14 23:00 | 映画 | Comments(0)
d0109373_18384024.jpg上映時間96分と、最近では珍しくコンパクト。制作会社・配給会社のロゴが出ている最中に音が被さって既に本編に突入。ちゃっちゃと始める。
しかしながら、サレンバーガー機長が搭乗するまでの日常や事件後の苦悩と家族の混乱、乗客のドラマ、レーダー管制官、目撃者、救出に向う救助隊、聴聞会までまったく物足りなさは感じませんでした。

サレンバーガー機長を演じるトム・ハンクスは、誇張することなく抑えた芝居で、そこに実在の人物を演じる責任を感じました。
まったく顔立ちが違うのに、似て見えてくるのが、不思議。
救助後真っ先に、全員救助されたか確認させて、全員無事と報告を受けた時の一瞬の表情は、流石の一言。

事故の演出も煽ることなく。
クルーの的確な対処と乗客の協力があっての「無事不時着水」だったと後半でのセリフどおり。
ただ、回避できたにも関わらず最悪の事態が夢に現れて苦しむというのは、どのパイロットにも起こり得るんでしょうね。
ビルの間を旅客機が低空飛行するのを、オフィスの窓から愕然と見送る人たちの表情には明らかに「またか」という戦慄があり、あの悪夢からまだ醒めていない時期だったのだと痛感しました。

エンドロールに数人「himself」や「herself」とありましたが、一番最初に救助に駆け付けた通勤フェリーの船長さんはご本人ですよね。



映画
by august22moon | 2016-09-30 23:29 | 映画 | Comments(0)
d0109373_14224845.jpg読んでみたいと思いながら一向に読む勇気が起きない作家のうちのひとりジョン・アーヴィング原作の映画化作品。
結局映画から先に見てしまうことになりました。
あの名セリフ、‘少しずつ失っていく。郵便が来なくなるように、ドレッサーから、枕カバーから匂いが消えていく・・・’だけは知っているので、それが聞きたくて見ました。

原作とはアレンジがされてあるようですが、監督のせいなのか、案外とさらりと描かれていました。
子供にはあまりに過酷な運命を、残酷さはあまり感じずに表されたのは、どのような結末になっても、この少年は乗り越えて行けると示しているようでした。
なんたって原作は「オーウェンのために祈りを」ですから、そこを甘さと見るむきもあるのでしょうが、boyfood movieとして見ればいいのじゃないかと。

サイモンを演じるイアン・マイケル・スミスくんも、大人を困らせるけれど小賢しくもなく、愛らしいし。
ジョーの母親レベッカは美しく輝いているし。(勿忘草色のドレスも素敵だし)
ベンは出会って間もないジョーの父親になる覚悟を持っているし良い人だし。
ラッセル牧師もデヴィッド・ストラザーンが演じると凡庸な聖職者でも許せちゃうし。

出色なのはジョーを演じるジョセフ・マゼロくんで。遠くを見る寂しげな瞳がとてもきれい。
田舎町で父親が不明という環境にあっても、聡明で偏ったものの見方をしない寛容さがある。
だから、サイモンもハンデをものともせず少年時代を謳歌できている。
ジョーにしても、アンフェアだと泣く日々が救われている。
サイモンと遊んだ森の湖で、ひとり泳ぐ。
サイモンを失う要因となった小鹿が対岸に現れる。
なにかのメッセージなのか、偶然に過ぎないのか、その意味を探ろうとする表情がとても良かった。

アルマジロも自分の部屋に置かず、サイモンのお墓に供えてあるのがいいですね。




映画
by august22moon | 2016-09-30 23:00 | 映画 | Comments(0)

李相日監督作 『怒り』

d0109373_17305884.jpgこれは原作未読で見たほうが誰が真犯人であるか興味深く見られる作品ですが、既読の観客には真のテーマである、信じることの難しさや疑ってしまった人々の悔いや信じていたのに裏切られた人々の辛さに焦点を置いて見られますね。
多用されるクローズアップが、それをより色濃くさせました。

山神の手配写真は3人の俳優さんの顔を合成したり、後ろ姿は明らかに3人が演じ分けて惑わせたりと工夫がなされていました。
しかも整形後の防犯カメラ映像や新たな手配写真は明らかに田代にして、観客を惑わせました。
3人とも左ききにしなかったのはどうしてなのかな?
そうすれば一層惑わせることができたのに。
田代・直人・田中役の3人はいずれも適役。その力量がいかんなく発揮され、正体不明の怪しさが見事に表現されていました。
特に、松山ケンイチさんが秀逸。彼が演じる田代がもっと見たかった。
いつもは濃いキャラクターに化けて意外性で魅せる松山さんが全て削ぎ落して、些細な仕草の中にも、息をひそめて生きなければならない悲壮感と緊張感を漂うように儚げに存在させていました。
松山さんが「田中」でも面白かったかも

愛子の父親・洋平役の渡辺謙さんも、娘に心を砕く姿が印象的。
背を丸めて立つ姿。混乱を振りほどこうと走るその必死な姿。アパートの窓を覗く悲痛な表情。
指紋採取の結果報告を聞く場面はガラス戸越しに声を聴かせず、くず折れる父の背中と号泣する娘の姿に坂本龍一さんの音楽だけが衝撃的に被るのには、胸を突かれました。

少ない登場ながらも高畑充希さんが目の動きだけで複雑な心情を表して巧かった。
しかし、公園の植え込みで倒れていたとだけしか告げていませんでしたよね?
あれ、肝心なこと言ってないような・・・

三ヶ所の出来事をリンクさせて場面転換させるところが面白かったです。
イヤホンから聴こえる音楽とかタクシーとかコンビニのお弁当とか
(直人のお弁当の棚の覗き方が可愛い)

辰哉役の佐久本宝くんは新人ながら、純朴な青年役が素晴らしかった。
小説では分からない沖縄言葉のイントネーションが耳に心地よくて、この青年の心の美しさが見えるようでした。
田中の言い訳を間に受けていない目つきも良かった。
原作を読んだ時に、あの壁の文字は、泉を守ろうとする辰哉なら消すはずと思いましたが、本作では消そうとしていました。
それならば、警察にもほんとうの動機が解って、最も深く傷ついたであろうこの青年の救いともなりますから。



映画
by august22moon | 2016-09-27 23:00 | 映画 | Comments(0)

出会った本、映画の感想。日々のこと。


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