出会った本、映画の感想。日々のこと。

by august22

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d0109373_063235.jpg長い東京公演も遂に千秋楽。小雨がパラつく晩秋のような肌寒い気温の中、行って来ました。
ホワイエではいつものように役者さんたちが記念撮影に応じる中
新バージョンのプログラムを買っちゃおうとカウンターへ近づくと
アルルカンに扮した役者さんが、閉じた扇(?)をパンパン叩きながら
さあさあ買った買ったとアピール(笑)。
私の肩に手をかけて、ストラップの入った籠に付けてある
藤原クンの写真とご自分の顔を交互に指し、これボク。  
ちゃうちゃう(笑)
売り場のスタッフさんも大笑い。
仮面の下から顎鬚が覗いてますし~
(小柄な方だったけど、どなたでしょ)

東京楽で一段落のせいか、役者さんみんなノリが良いようで。
道化・大川さんが悪友とふざけながら登場する場面では
長~いゴムバンドを口にくわえさせられて、コントみたいなコトしたり
ズボンを下ろしてオシリを見せると、お祭りでよく売ってるマウスピースみたいなのを吹くと
ピーっと細長い紙風船みたいなのが飛び出すヤツ・・・
なんて説明だ・・・_| ̄|○
とにかく、そんなのをおしりに付けてピーッと・・・・
ね。わかりますでしょ?
そんなことをして遊んでるワケですよ。大川さん「ナニそれ!ナニそれ!」

市村さんだけではなく、西岡さんも笑わせどころを強調したセリフだったり。
指輪を法学者に渡せと言われたバッサーニオが「ええ~~」と渋るのを
「ええ~じゃなくて!」
この提案のせいで夫婦喧嘩になっちゃったんで恐縮して、声がひっくりかえって「はいっ!」
藤原くんも、妻の企みに驚いた時のセリフをモロッコの王子口調で言ったり。
楽はお祭りですからね。

横田さんは、ランスロットに左ポケットからお駄賃を渡しながら
「そっちの手も出せ」と、今度は右ポケットからもコインを取り出し・・・
ランスロット大川さん両手でお駄賃受け取ってました。
どれだけコイン持ってんですか?(笑)
場内なぜか拍手で爆笑。ウケてました。
夜ごっこの後、ランスロッドがどこだどこだと騒ぐのを
「ここだ~」と言うのも「こっこだ~」 
ちっちゃい「っ」 入ってました~
両手に持ったクッションを両肩に掛けた仕草で。

最初のカテコで藤原くんがお辞儀した後に背後の横田さんに向かって(多分、終わったーみたいなコトを)何か言ったのですが、横田さんは聞き取れなかったようで、え?と身体を傾けて(あん♪素敵♪)
聞き返したのですが藤原くんは直ぐに定位置に。
その後のカテコでは、アルルカン姿のアコーデオン演奏トリオが登場。
市村さんはその演奏に合わせて軽やかにステップ。

舞台上からなんとピンクのバラの花びらやミニバラの花が舞い落ちて。
なんて素敵なんでしょ!!いい香りが客席にまで漂ってきました。
横田さんちょっと驚いて天井を見上げるのが、爽やか~
そのバラを拾い上げて客席に投げる役者さんたち。
横田さんもひとつ拾い上げ左手でポ~ン。こ、こっちに投げてくれい
色とりどりの紙テープも飛び出し、華やかな終幕。
その後のカテコでは市村さんがご挨拶。
市村さんの頭に架かったままの黄緑色の紙テープを京野ことみさん進み出て取ってあげてました。
「今度は別バージョンでやってみたい。」ですって。
藤原くんに挨拶をと促すのですが最初のうち固辞されたので
西岡さんに「藤原が一曲歌います」とイジられてました。
「え~なんとかまとめてくれと言うので・・・」と市村さん。
それでも引き出された藤原くん。「これから、大阪・・・兵庫・・・兵庫、ですよね?」と西岡さんを振り向き確認。
・・・がありますので、より一層がんばりますみたいなご挨拶をされました。
横田さん小さくガッツポーズ?
西岡さんすかさず「英語でやるんじゃないの?」 藤原くん笑ってました。
で、今日ちょっと気づいたのですが、藤原くんは左肩を下げるか右肩を上げ気味にして立つクセがあるのかしら。偶然でしょうか。

地獄のような生活から恋人の元へ飛び出したはいいが、父の窮状に思い馳せる妻を見つめるロレンゾーの限りなく優しく、切ない眼差し。
最初はうっとりと美しいとしか見ていなかった場面の、なんと悲しげな寂しいふたり。
クッションを引きずって庭に出てくるときの表情にも、ただのロマンチストではない哀しきロレンゾーの姿が見えてきました。
「・・・ポーシャさんと同じくらい結構な亭主を持ったんだぜ」 と妻に言わずにいられないのが切ない。
だから・・・と続けて言えない苦しさ。
妻の苦悩を理解して、「君がなにを言っても他のものと一緒に呑みこめるから」と明るい食事の席へ誘うのもなんだか哀しいし・・・
両手をポケットに入れてるのも不安と哀しみを隠しているようだし・・・
バッサーニオたちと違って、多難な未来を予想させるふたりのラストも悲しい。

当然のように存在するユダヤ差別。
階級差別が歴然としてあった時代とはいえ
ユダヤと口にするのさえおぞましいと何度もつばを吐く侮蔑の表現への嫌悪感。
(個人的には、意味がまったく違っても、室内競技が安心して見られるほどアスリートの試合中のこの行為にすら嫌悪感があるので。)
優しきロレンゾーからも「黒人女」という‘差別’が漏れた時の小さな失望。
これを喜劇というカテゴリーで捉えてきたことに今更ながら違和感が残りました。

訳者あとがきにある「虐げられた民族の正義のためであろうと殺人は許されない。」「ヴェニスの善良なキリスト教徒たちの態度にはアメリカが正義を振りかざして強者の論理だけで異文化問題を解決しようとする一方的な姿勢が重なって見えてこないだろうか。」
9.11以降の今だからこそ観るべき舞台であったと思います。

そして、我々のなかにある偏見にも眼を向けさせる舞台だったと思います。

by august22moon | 2007-09-30 23:06 | 観劇 | Comments(2)
d0109373_125337.jpg先日、面白い映画にムービープラスで偶然出会いまして。
邦題は なんともはや、なタイトルですが、原題は『Dick』。
ニクソンのことですね。
実は冒頭を見逃してるのですが、面白かったのは後半。
K・ダンスト(ベッツィー)とミッシェル・ウィリアムズ(アーリーン)主演。
15歳のアーリーンと親友のベッツィーは夜中に家を抜け出してファンレター(?)を投函しに行ったところで、偶然ウォーターゲートビルで起きた不法侵入騒ぎに遭遇。もちろんニクソンらが加担した民主党盗聴事件なわけで。
翌日ホワイトハウス見学中を補佐官らが「昨夜のコたちだ!」と騒然。
(と、このあたりから見始めました。)
おまけに官邸内で迷い、賄賂の金やら何台ものシュレッダーで書類処分中を目撃。
しかし、どうもこのふたり、まったくコトの重要性に気づいていないばかりかオツムが少々弱いらしいと解るや、丸め込むためにふたりを大統領の飼い犬が懐いたのを利用し散歩係に任命。
併せてアドバイザーの任も与えるから官邸内で見聞きしたことは極秘だよと言われたのに、有頂天のふたりは、あっさり翌日クラス全員の前で発表。
もちろん一笑に付されるんですが。
そのうちアーリーンは大統領に恋してしまう。
大統領に気持ちを打ち明けるため、秘書のデスク内のテープに切ない気持ちを訴える。
これも、意図的に部分消去されていたと判明する事実のパロディーですね。
巻き戻して録音を確かめようとすると、先に録音されていた執務室内の会話が。
そこには、大統領の差別発言ほか罵詈雑言、飼い犬にまで八つ当たり発言が延々。
百年の恋も冷めちゃったアーリーンが大統領に詰め寄る。
犬好きでもないのに、犬が好きだなんてウソをついて許せない!(そこかい!)
君たちの素性は全て調査済みだと脅す大統領に、ベッツィーが
成績も?(だから~そこかい!?)

乙女心を傷つけられたアーリーンは大統領を懲らしめようとベッツィーと企む。
折りしも盗聴疑惑を書いたポスト紙の記者のことも罵ってたから、その新聞記者にバラしちゃおうと、ワシントンポストのボブ・ウッドワード記者(ウィル・フェレル)にTEL。

さて。ここからがわたくしとしましては最高に面白かった部分です。
事件のパロディーではなく、映画『大統領の陰謀』のパロディーが展開してゆきます。
B・ウッドワードとカール・バーンスタインが傑作。でこぼこコンビ。
やり過ぎず、オトボケ連発なのが良かった。

最初は半信半疑だったけど、ベッツィーが言ったクリープという単語に飛び上がる。
(もちろんまったく違う意味で言ったんだけど、なんて言ったか失念。)
CREEP!?大統領再選委員会の略のCREEPか!?やはり関係していたのか!と。
同じく事件に興味を持っていたバーンスタインがこれを聞きつけ近寄ってくる。
このバーンスタイン役ブルース・マックロックがまた可笑しい。
頭を振っても動かぬ長髪の裾を払ったり、終始無表情の上目遣いで怪しげ。

電話中にちょっかいを出すバーンスタインに言うセリフの字幕もまた傑作。
通話の邪魔をするな。やめろよ。 「すごく痛い。」 (すごくって・・・)
で。名前は?と聞かれベッツィーが思いついた偽名が
ちょうど兄が観に行ったところを父親に見つかって叱られていたポルノ映画のタイトル。
「ディープスロート」 !! 
で、会っちゃうんでうんですねぇ。夜の地下駐車場で。会ってみたら女の子なんで
「何歳だ?」
「23歳よ」
「ふたり合わせてか?」
99年の作品ですから、まだ当時はこの情報提供者がFBI 副長官だったことは判ってないんですよね。
辻褄が合わないながらも、取材と一致する部分もあるんでちょっと信じちゃう。
で、女の子ふたりを付け狙うバンのサイドに書かれているのが「plumber unit」。
コレも大統領支配下の工作員のコードネーム。
他にも、ふたりの記者がJ・ロバーズ演じるブラッドリー主幹が脚をデスクに乗せて原稿を読むという、同じシーンがあったり。
10数えるからこちらの調べた情報が正しくてYESなら電話を切らないでと提案し、
電話を切らないことに小躍りするシーンは、
実は母親が最近コソコソなにしてるのと部屋に来ちゃったので話せなかっただけ。
公立図書館で、膨大な量の貸し出しカードから証拠を探すふたりの記者の気の遠くなるような作業を俯瞰で捕らえ、カメラが高い天井へぐんぐん引いていくシーンは、
女の子ふたりを追って現れた高校の図書室の高くない天井から俯瞰・・・(笑)
しかも、レポートの提出期限が迫ってるんだから邪魔しないで!と女の子に怒られちゃったり・・・
映画では、ふたりの記者がタイプを叩き続け告発取材が続いている、という場面で終わりますが、ここでは逆に喝采で迎えられ喜色満面に編集部内を闊歩する・・・。
とパロディー満載。

サイケ全盛期の女の子ふたりのカラフルファッションや
同様にカラフルなインテリアも雑誌で取り上げられそうな、楽しい映画。

まあとにかく、映画化権を獲得したR・レッドフォードと
獲得出来なかった(と報道されてたと記憶している)D・ホフマンの抑えた演技。
特に、真実を答えているか読み取ろうと相手の目を見つめるD・ホフマンの目。
静かな興奮を呼ぶ演出が印象的な、この映画をリアルタイムで観て
(ポスト編集部内の白い壁に白文字の字幕が重なって泣かされた~)
TV放映も何度も見返すほどの私にとっては、チョー愉快なパロディーでございました。

さて、明日は(もう今日か)いよいよ『ヴェニスの商人』千秋楽。
by august22moon | 2007-09-30 01:27 | 映画 | Comments(0)

右の足跡

d0109373_238713.jpg・・・満月なんですけどね。
流れる雲から見え隠れ。
でも16日目の月なんですよね?15日目じゃないのね。

実際は、とてもきれいなお月様です。














d0109373_23363514.jpg
相変わらずの殺風景食卓です。
(おしゃれな食卓にするってぇのはどーした?)
図書館に長居しすぎて時間が無くなっちゃったので大急ぎで作りました。

一部修正してまで掲載することでもないんですが・・・。

夕方のTVで紹介してたお料理をアレンジして作ってみました。

ナス・インゲン・シメジ・シイタケと鮭をバターをひいたフライパンに詰め込み
コンソメスープの素を入れて、キャベツをさらに詰め込みことことさせて、砂糖・塩・味噌を溶かし入れて出来上がり♪
ホントは味噌をみりんと酒で溶くんですが、ミリンや料理酒って使わないんです、ウチ。
タマネギも入れてましたが、イマイチ好きとは言いがたく。入れませんでした。
でも、私にしては美味しくできました。
TVではジャガイモも入れてたんですが、粉吹きイモにしてもう一品。

真っ黒なのは、ほんとうに久し振りの納豆。ウチは海苔とカツオ節を入れます。


ネットで地元の図書館に、カミュの著作は無いと分かってたんですが
カズオ・イシグロの『充たせれざる者』を借りようと出かけたら貸し出し中。
なにか、カリギュラに関する本がないかなと探していたら・・・
あったんですねぇ
筑摩書房刊・世界文学大系の「現代劇集」に収録されてました!『カリギュラ』!!
それでも、いつでも好きな時に読めるように‘マイ・カリギュラ’は購入したいんですがね。
別の本で、初演舞台でのジェラール・フィリップの写真も見つけたけど
その表情はやはり、狂気の王。『花咲ける武士道』などの顔とは別人。

エリコンは玉葱を齧りながら登場するとなってましたが、
奴隷の出だから、豊穣の葡萄とか知の林檎じゃだめなのかな。
地獄の果実・柘榴では?
やっぱり玉葱になるのかしら。冒頭からそんなもん齧っちゃったら
お口が臭くなっちゃうのに・・・・って、いらん心配ですな。

解説には、「『カリギュラ』という劇は主人公の皇帝を演じる俳優の多面的な魅力を実現するように書かれている。ことさらに分裂的な作品の二重構造(道化芝居とその道化芝居をする意識の劇)も、俳優において統一されるべく仕組まれている。」とありました。

by august22moon | 2007-09-28 01:05 | 季節 | Comments(0)
d0109373_2325484.jpg涼しくて過ごしやすい一日でした。
いいですねぇ お外を歩き回っていても汗だくにならず化粧くずれも気にしなくていい季節って。
ブラウス一枚でちょうどいいこの時期は好きな季節です。
さて本日は白髪染め カラーリングに行って、ついでにちょいとカット。

「景気いい顔立ちに見えるようにお願いします。」

帰路見上げた夜空のお月様。
今宵も雲に隠れがち。







タイトルはご存知、米米club の曲。NHKのスタジオライブで久々の全開てっぺいちゃんに大笑い。ファンがシュークリームシュときっちり合わせて踊ってるのがまた愉快。
それにしても。『 嗚呼!~ 』とは(笑) さすが 米米。 

「歌い出しの部分が難しいんだよなぁ。この曲は。」と妹。
歌うのかい!?

by august22moon | 2007-09-26 23:44 | 出来事 | Comments(0)
以前書いた、もんのすごい在庫量の古書店に先日また行ってみました。
増えてんです。本が。
お客さん同士すれ違えてたのが、もう不可能になってました。
それも横歩きで気をつけないとバッグが本にぶつかりそう。
そこで遂に 『 カミュ全集 』 9冊の束(12,000円也~)を発見。
『 カリギュラ 』 だけってのはダメですか?
ご主人無言で大きく頷き、TVの大相撲中継に目を戻す。
(その日は観客の女性が土俵に上がりかけちゃった事件のあった日でした)
・・・・ちぇ~つ  諦めず「探しに参ります。」

それにしても、なんともの悲しいセリフでしょう。エリコン。
早く横田さんの声で聞きたい。
d0109373_2595182.jpgd0109373_301570.jpg


















雲間の中秋の名月。右はナイトビジョンで撮ってみたんですが、なんのことやら(苦笑)

やれやれな一日も終わり、とにもかくにも明日は満月。

by august22moon | 2007-09-26 03:19 | 季節 | Comments(3)

行雲流水

d0109373_19503232.jpgようやく妹とお休みが合い、お彼岸のお寺さんめぐりです。

登る登る・・・

(先を行く妹。
・・・智に働けば角がたつ ゼェゼェ 
情に・・・さ、棹・・・はぁはぁ)







d0109373_18431224.jpgお彼岸にきっちり咲く不思議。
白と赤の彼岸花。

















夏の名残の芙蓉やら、秋を知らせる萩の花やら
d0109373_1845525.jpgd0109373_18444110.jpg



















d0109373_18463742.jpgお寺さんの猫さんはカレンちゃんという名前だとか。
水場の排水口にじっとしているのを住職が
「流れる水を見ているのが好きでね」

by august22moon | 2007-09-24 19:06 | 季節 | Comments(2)
d0109373_1151149.jpgパシャがオーバーホールから帰ってきた。

きれいになった~♪

あら?

クリップが・・・

カ・タ・イ んですが?

あらら?


タイトルはNHKケータイ大喜利の爆笑投稿作品
by august22moon | 2007-09-23 01:37 | 出来事 | Comments(2)
d0109373_0443352.jpg突然、ケーキだ!と思い立ち・・・TOPS のチョコレートケーキが売り切れていたのでキングスチョコレートケーキ。

クルミいっぱい。
黒糖使用となってました。
美味しい!!

まあ

いわゆる

ひとつの

憂さ晴らしです。


あと、TVのバラエティー(ケータイ大喜利)で笑えばケロリさ。

by august22moon | 2007-09-23 00:50 | おいしいもの | Comments(0)

どなたに頂いたの?

d0109373_0352886.jpg昨晩のこと。
〆ラーメンまで完食しちゃったと
ご機嫌で帰宅した妹が
一言 「貰った~」 と言ったきり
力尽きた。(笑)

どなたから?

「 Z Z Z Z ・・・・」

おお~い

切り口に濡らしたキッチンペーパーを巻いてホイルで包んであったので
頂き物であることは間違いないようです。


りんどうは大好きな花。 美しい青です。
花びらが開く種類よりもこちらの青いほうが好きです。
『銀河鉄道の夜』にも登場しますが、「ジョバンニ」 「イーハトーヴォ」という改良種があるのだとか。

「ああ、りんどうの花が咲いている。もうすっかり秋だねえ。」(銀河鉄道の夜)

山ふところのことしもここにりんどうの花(山頭火)

どちらも写真のような、青いりんどうのことを描写したものではないのですが、
りんどうを見るたびに思い出します。

by august22moon | 2007-09-23 00:43 | 季節 | Comments(0)
愛よりももっと

香川照之、オダギリ・ジョー主演映画の監督自身によるノベライゼーションです。
映画が観られなかったので読んでみましたが
ジャケ買いならぬ、表紙買いでもあります。

登場人物の「かたり」という証言の形で構成されています。
(こうゆうのはどうしても、有吉佐和子の『悪女について』を連想させます)
ひとりの女を切っ掛けに明らかになってしまう兄弟の軋轢のおはなしです。
亡くなった女の証言もあり、真実と事実の相違が現れてきます。

都会でカメラマンとなった弟・猛。地元で家業のガソリンスタンドを継いだ兄・稔。 
「父さんだって気にしてるんだよ。もし時間が作れれば帰ってきてよ。」
母親の葬儀にも出ず一周忌にようやく帰省する弟を詰る父から庇い、やけに温かく迎える人当たりがよくて、生真面目なおにいちゃんである稔。
幼馴染で、猛について町を出られないまま稔の元で働く女・智恵子。

母の遺品を整理していて出てきた八ミリから子供のころよく行った「蓮美渓谷」のことを思い出し、「ねえ、そうだ。明日行ってみない?ドライブしよ。」
智恵ちゃんも誘ってさと屈託なく言うのも、
弟が女の前でどういう態度にでるか、女はまだ弟が吹っ切れていないのか。
試そうと罠を仕掛けたようにみえます。

その智恵子にしても、再会に気のない素振りを見せながらも「蜘蛛のようにかしこい罠を張って」、猛を「おびきよせ」、曖昧に終わった関係が復活してしまいます。

兄は、ふたりが‘続いている’ことに気づくが、素知らぬふりでいる。
ここで、兄が背中を向けて洗濯物を畳んでいるというのが、凄い。恐怖。
思い出の場所、3人の分かれ道ともなったつり橋のある渓谷で無邪気な振る舞いでふたりの罪悪感を煽ったようにも見えます。
弟のほうは気づいてない筈はないと思いつつも勘ぐられまいとする。

敏感に真意を悟って、振り切るように‘橋’を渡ろうとするのを稔に引き戻された瞬間、智恵子は「決して開けたことのなかった重たい扉の鍵を、私が粉々に叩き壊してしまった」と悟る。
女はつり橋から転落してしまう。
果たして兄に殺意があったのか、事故なのか。

法廷で、智恵子に好きな男がいたから邪険にされたのではないかと尋問され、気づかなかったもしそうなら相手の男性に申し訳ないことをしたと涙するのも、稔の深い闇を感じさせます。

転落事故の真相(事実)は、血の繋がりが生む憎悪と情愛が入り混じった「稔のかたり」の中における猛の、目撃した事実を白日の下に曝すことで真実と向き合おうとした法廷証言で、読者にはそれが事実と映りますが果たして真実はどうだったのか。
有罪の有力な手がかりとなる証言ですが、親族ですし。
兄は自らの底知れない闇から這い上がることができたのか。弟の声は、届いたのか。
ふたりは初めて繋がりあえるのか。

謎のようなラストになっています。


d0109373_29174.jpg愛よりももっと深く愛していたよ
おまえを
憎しみもかなわぬほどに憎んでいたよ
おまえを
わたしに重なる影・・・
わたしの神・・・

萩尾望都 『半神』

by august22moon | 2007-09-22 00:12 | 読書 | Comments(0)