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ケネス・ブラナー監督作 『オリエント急行殺人事件』

d0109373_2312222.jpg個性的なキャラクターであるポアロは先に原作と違和感のない造形に馴染んでしまうと、比べてしまいがち。でもケネス・ブラナー版はブートニエールもステッキもなく髪形も口髭も原作とは違っていても、アルバート・フィニー版のような違和感は感じずに見られました。
フィニーは、追い詰めるためにワザと高圧的に喋ると、耳障りな気がしたものですが、ブラナーが捲し立てるとすっかりシェイクスピア劇になって、逆に爽快というね

デビッド・スーシェが独特の拘りぶりを愛すべき質に造形しましたが、そのあたりは冒頭に描かれただけで、それ以降はさらりとキュート。
イギリス紳士っぽさがありました。

なんだかね、ちょっと金田一耕助を思い出していました。
原作に寄せた風貌で当たり役となった俳優さんもいるところへ、まったく風貌の違う俳優さんで演じさせた『八っ墓村』のことを。
真相を解いてみせる語調など、あれはあれで確かに金田一だったなと感じさせました。

原作と変えてあるとはいえシドニー・ルメット版のキャストは完成された印象でした。
イングリッド・バークマン、ローレン・バコール、バネッサ・レッドグレープ、ショーン・コネリー・・・大スターの存在した時代だから出来た作品。
今作ではやはり設定変更はありましたが、ミッシェル・ファイファーがローレン・バコールをリスペクトしたかのように大人のカッコイイ女性を演じていました。
最も意外なキャスティングであったジョニー・デップも顔に傷痕をつけ世界中を睨みつけた目つきもギャングらしくて。
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病的にしか見えないポルーニンと品格の感じられないボイントン演じるアンドレイニ伯爵夫妻以外は違和感も残念感もなく。
(美貌の絶頂期だったジャクリーン・ビセットが息をのむ美しさ。こうゆう伯爵夫人であってほしかったのよ)
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キラ星のような大スターがそこにいるだけで成り立つ作品というものは既にないのですから、狭い車内を活かしたカメラワークや、自然の猛威を迫力あるCG・VFXで描いたり、優雅なだけでなくアクティブな場面もあってよりドラマチックでした。
特に、ラチェット殺害場面がよかった。
儀式のようなルメット版と対照的に、衝撃的でした。
名を変え素性を隠し周到な準備をして、遂に達成するその瞬間の、それぞれの憎しみが爆発して印象的な場面でした。

ポアロが乗客たちに、解明した真相を告げる場面もまた、前作の印象を超える素晴らしいアイデアでした。
トンネル入り口に設えられた横長のテーブルに乗客たちが並んで座るショットはさながら「最後の晩餐」。
ポアロの決断の苦しみもしっかり描かれていました。

先に下車したポアロが見送る車両の窓から乗客たちが見下ろしているラスト。
皆、安堵の笑みも消えて、いずれも硬く寂しげな表情。
復讐を遂げた後の彼らの行く末の暗く厳しいことを暗示させました。
美しい青い列車が葬送列車のようでした。

有名すぎる推理作品に課せられた、いかに結末までを面白く引き付けるかは、なんとかクリアできていたのではないでしょうか。



映画
by august22moon | 2017-12-11 23:00 | 映画 | Comments(0)

ジェームズ・ポンソルト監督作 『ザ・サークル』

d0109373_3284089.jpg見ながら、え?はぁ?の連続でした。

SF小説はじめネット社会の愚かさ恐ろしさを描く作品は多々あります。今作もそれら同様デフォルメされた仮想社会。
父は難病、母はその看護に追われている。なんとかもっと収入のいい仕事で両親を楽にさせたいと願う女性の気持ちはもちろん理解できるんです。
運よく大企業に就職できて、スキルアップもできて、父の病のケアまでしてくれるなんて、メイにしたら信頼してしまうのも道理。
しかし、面接を受けさせてくれた友人の、社内を案内しながらの慌ただしさったら。
始終スマホにメールが入る。返信しながら捲し立てる。世界中を飛び回っているトップ社員なら仕方ないのでしょうけど。面接官も捲し立てる。初日の業務説明も早口。
SNSの評価が社内の評価って、どうゆう意味?
社内中がやたらとハイテンション。福利厚生なんて充実の度を超えてる。
社員全員が疾走感に酔っている。
確かに地上最先端をいってる企業にいれば有頂天にもなるでしょう。
‘あなたにはその価値があるから' みたいな?
もしかしたらこんなハイテンションパラダイスなカイシャが、この世のどこかに存在するかもしれませんけれど。
プライベートまでコントロールされて、まるで宗教。

エマ・ワトソンは、その知的さとともに無垢な雰囲気が、主人公メイに巧く嵌っていました。
知性もあるのに純真すぎて、そこが危うい。
どう考えても24時間プライバシーを晒すなんて、普通の人間なら耐えられることじゃない。
巨大企業の頂点に立てたと思ってしまったか。
その後、失うものの大きさに気付いても、友人のように辞めることもせず、よい部分があるのだと復帰するというのが面白く恐ろしいところですね。
トム・ハンクスは、大衆を虜にするカリスマ性とその裏の強かさが流石の巧さでした。
メイに逆襲された時の、少しも狼狽えず冷笑するところもお見事でした。

俳優陣の巧さで、人間ドラマとしては現実味が出ました。




映画
by august22moon | 2017-12-09 23:00 | 映画 | Comments(0)

クラシック

最近、Eテレをよく見るようになりました。
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ドラマすら大河も含めて1~2作しかないうえに何度か見逃すほどなので、やはり毎回見逃さないってわけではないのですけどね
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今、よく見るのは『レイチェルのパリの小さなキッチン』(現在は大きなキッチンになってますが)と、『グレーテルのかまど』。おかげでヘンゼル君のことは「かまど」と呼んでしまうわけです。
ほんとんどがアンコール放送でが、見始めたのが今年になってからなので、楽しく見ています。
(美容院に行った後、伊豆山神社へ。社務所が開いてる時間には間に合いましたがすぐに石灯篭も灯り始めました)
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紅葉はまだなんとか
燃えるような紅葉も燃えすぎて焦げ気味
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駆け足で来宮神社へも
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d0109373_22522161.jpg御神木も仄かにライトアップ
なんだかロマンチックですねぇ



















さて。
その『かまど』で紹介された、谷崎潤一郎も好んだという「モカロール」を頂いてみたくて。
確か以前どこかのケーキ屋さんでモカロールって食べてたよね、あれどこのだっけと考えることしばし。
妹が思い出しました。『かつまたケーキ店』というケーキ屋さんでした。
しかし今では閉店されてしまって食べられない。どこかで売ってないかと探しましたが、どこでも作ってらっしゃらない。
で、やはり、番組で紹介された熱海の『モンブラン』さんという老舗フランス洋菓子店さんへ伺いました。
観光地だけにどちらのお店も5時には閉まってしまうので、諦め気味に向かいました。
が、開いてましたーよかったー
店内の壁には谷崎の写真と共にこちらのモカロールがお気に入りだったと記されていました。
残念ながらやはりこの時間ではモカロールは売り切れ。
品のいい奥様が申し訳ございませんと何度も仰ってくださって、こちらが恐縮してしまうほどでした。いえいえこちらが来るのが遅かったのがいけないんです。

そこで、他のショートケーキを頂いてまいりました。左上が、土台のケーキがサバランになったモンブラン。時計回りにいちごの乗ったショート、チョコレートケーキと生クリームがサンドされたショコラシャンテリー、ガトーショコラです。
しかしなんと、玄関先でドスンと落としてしまいまして。真っ直ぐ落としたのでぐちゃぐちゃは免れましたが、モンブランの土台のサバランのシロップが衝撃で染み出てしまいました。

この銀紙というのも老舗らしくて素敵です。白地に銀色の文字と柄(何かの形みたいですが不明)だけの包装紙や青いテープも老舗の揺らがない姿勢の表れのようです。
モンブランというとマロンクリームが一般的ですが、こちらはその意味のまま「白い山」の形にクリームが盛られています。サバラン部分が絶妙の美味しさ。
イチゴショートも美味しかったです。生クリームが絶品。
どちらのケーキも一見素朴ですが、ケーキ屋ではなく「仏蘭西洋菓子」と拘って名乗られるのも解る、老舗らしい真面目で丁寧な、作り手の心が感じられるお作品でした。
ごちそうさまでした。
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梅園の紅葉ライトアップイベントが最終日なので、立ち寄りました。
入園も無料とのこと。
既に夜空には、今年最大のスーパームーンがビルの屋上辺りにどっしり
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その大きさにびっくり
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by august22moon | 2017-12-05 23:00 | 季節 | Comments(0)

真綿を詰めるように

年々短く感じる1年間。特に11月は早く感じるのに、今年はそうでもなかったような。


6年ほど前まで『石ころ屋』さんという天然石屋さんでいくつもブレスを作っていました。
その後、オーナーさんのご都合でお店を閉められてしまったのですが、最近お店を再開されたそうなんです。
ぃやった~
d0109373_22271579.jpgで、早速。
おかげで緩んでたゴムも直して頂けたのであります。













ずっとアメシストだけのが欲しかったので、人気と評判のお店を何軒か回りましたが、ピンとこなくて。ようやく。
d0109373_3163297.jpg一番下のが私のです。
ボタンカットを6ミリ玉と交互にして、濃い紫だけのつもりでしたがラベンダーアメシストがきれいでしたので。
干支が梵字で掘られた石はあまり興味がなかったのですが、守護本尊といわれると大事にしたいと思いはじめまして。阿弥陀様というのも決め手になりました。
どうせ入れるならやはり大日如来と考えていたので6ミリ玉で入れてみました。












お直しに伺った際に出会ったユナカイトを使って根付を作りました。
紐は黄色で。裾のビーズは、ユナカイトと相性がいいと勧められたスモーキークォーツです。
店長さんに教えて頂きながら編むのですが、さほど複雑な編み方ではないにも関わらず、覚えが悪いうえにぶきっちょなものですから、ヨレヨレな出来上がりになってしまいました。
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いつもどんな事態にも楽観的な上司が傑作なジョークを飛ばしまして。思わず吹き出して、その後も思い出し笑いが止まらないの。

今は小さな問題だが積み重なって大きな問題となるという報告を受けて、それはまさに真綿で首を絞めるよう・・・と例えるところを、

「真綿を鼻に詰めるように・・・」

事態を重くみることはないと安心させるためにジョークで返されたのでしょうが。
それじゃ解決策無いってことじゃないですかぁ終わってるじゃないですかぁ

おかげでムカついたことも忘れられました。
これからイライラしたら思い出すようにしましょ
今も思い出すたび、胸がじわじわ

by august22moon | 2017-12-02 23:00 | お買い物 | Comments(0)