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ダニー・ボイル監督作 『ミリオンズ』

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【ストーリー】
母を亡くした幼い兄弟のダミアンとアンソニーは、父と新しい街に引っ越してきた。ある日、ダミアンがダンボールで作った秘密基地にいると、空からポンド紙幣がごっそり入ったバッグが降ってくる! しかしイギリスはユーロ市場に加入目前。数日後にはポンドはただの紙切れに・・・。









深夜に放映されていたんですが、残念なことに冒頭を見逃しました。
見始めたのは、7歳の少年ダミアン君が野原にダンボールで作った秘密基地みたいな家の中で、修道女と話しているところから。この修道女がタバコなんか吸ってたかな?
ダミアンがふと窓型に抜いた穴から外を見ると、なにかがボーンと飛んでくる。ソレは跳ねて飛んで見事ダミアンのダンボールハウスに激突着地。
それはナイキのスウッシュがついた大きなスポーツバッグ。
中には22万ポンドの大金!

お兄ちゃんアンソニーは10歳という、おとなの世界を知り始めた年齢。
届けたら「40%は税金で持っていかれる」と隠しておくことに。
7歳のダミアンは母親を亡くしてからなのか、神様の存在を信じている。彼の目の前には守護聖人たちが現れて様々な教えを与えてくれる。
お兄ちゃんは強かにおかねを使ったりしちゃうんだけど、ダミアンはこれは神様からの贈り物なのだから貧しい人たちに分け与えるべきと考えていて、学校でお札をちらつかせて家来を作ったり女子の注目を浴びようとするのを、快く思わず哀しげに見つめたりするんですね。
道でモルモン教信者にあなたは貧しいの?なんて尋ね、貧しいと答えるや、すわ寄付だとポストにお札を詰め込んだりしちゃう。でもこの信者ったら翌日には家電品を山と買い込んだりしていて、ダミアン君はその姿を茫然と見つめるんです。


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折しも通貨がユーロ変換目前。早く使っちゃわないと紙屑だ!と焦るんだけど所詮子供なんで、折角企んだ不動産投資も出来ない。
で、この大金は廃棄処分にする紙幣を積んだ列車に忍び込んだ強盗団が、列車から仲間に投げ落としたうちのひとつだったんですね。それを受取れなかった一味のひとりが嗅ぎつけて少年たちに危機が迫ります。
学校で行われる生誕祭の劇上演の混乱に乗じて逃げようとするんですが、ここで聖人たちの奇跡が起きるんです。逃げ出したダミアンの代わりに、一人の聖人がすーっと現れてダミアンのセリフを代わりに言ってあげるんです。実際に自分が言った言葉なんで言えちゃうわけです。劇の最中にも、あの時はこうゆう心境だったんだ、なんて聖人がアドバイスしたりするところは素敵です。

やがてお父さんにも大金が知られるところとなります。
でも家は強盗に家探しされ荒らされてしまい、ローンも完済してないのにと怒ったお父さんは新しい恋人と残った大金を使いまくり、使いきれない分は銀行を回り両替に奔走。ユーロ両替に上限があるんで何行も回らなくっちゃならないのね。

この世で一番大切なものがまだお金以外のものであると信じられる子供と、お金の魔力や魅力を知り始めた年齢の少年と、世の中お金だけじゃないことは分かっていてもお金なしでは生きてゆけないおとなたちの悲喜劇です。

純真無垢なダミアン君が最後にようやく満面の笑みをみせるのは、アフリカに造られた新しい井戸から溢れる水で住民たちに交じって掛け合ってはしゃぐ場面でした。
それもアップではなく、人々の間から見えるショットだったのが反って強く印象に残りました。
特に意外性もない展開ですが、とにかく聖人たちが自然に現れて少年とお話しているところが、なんとも素敵でした。


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こうゆうお話を、例えばイラン映画が作ったら、どんな感じになったでしょうね。

by august22moon | 2009-11-24 22:26 | 映画 | Comments(0)

出会った本、映画の感想。日々のこと。


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