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東野圭吾 『変身』

変身 (講談社文庫)

東野 圭吾 / 講談社



【あらすじ】
平凡な青年・成瀬純一をある日突然、不慮の事故が襲った。そして彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。それまで画家を夢見て、優しい恋人を愛していた純一は、手術後徐々に性格が変わっていくのを、自分ではどうしょうもない。自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された悩の持主(ドナー)の正体を突き止める。(講談社BOOK倶楽部より)


読んでみました。
他人の脳の一部が脳内にあることの違和感を突き詰めたら、生まれるのは恐怖なのでしょうか。
ドナーが正反対の性格で粗暴であったことで、より浸蝕される恐怖が募ってしまったのかもしれません。
自我の崩壊を誘ったのは、その弱さだったのかもしれないという悲劇です。
徐々に、少しずつ、気付かぬうちに、変わっていたのを知った瞬間。
実生活に置き換えてみると、それは確かに恐怖。
純一が自分の描いた窓の絵を、兄が描いたと偽って精神科の医師に見せて診断してもらう場面があります。「窓の右半分だけを描いて左半分は描かずに空間が途切れて」いるのを「左半側空間無視」という症状で右脳の後部が損傷された患者の絵と診断されるんです。ここ憶えとこ。
作中に、純一に近づいた直子が研究室と連絡をとるのに、純一の部屋の電話を使ったという場面があるんです。一瞬疑問に思うも、そうか91年にはまだ携帯電話が普及していなかったんだと改めてその発展・進化ぶりに驚き。

読み終えてネットで検索したら、95年に映画化されていたんですね。
玉木宏さんと蒼井優さん出演なんて話題になりそうなものなのになぜ知らなかったんでしょ。
脳移植によってドナーの人格に徐々に支配される過程というのは、役者さんの演技で見るとまた違った面白さかもしれません。もちろん演出次第ですが。

by august22moon | 2010-01-27 01:07 | 読書 | Comments(0)

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