2010年 02月 09日
テリー・ギリアム監督作 『Dr.パルナサスの鏡』
色々と見たいものが目白押し。迷った挙句コレにしました。
一旦帰宅して風もなく寒さもおさまっているので隣町まで40分歩いてシネコンへ。
ヒースの悲劇で3人の人気俳優が引き継いだことにも興味がありましたが、トム・ウェイツ出演とのことで楽しみでした。
ウェイツは悪魔役ですよ皆さま。これがおどろおどろしいのではなく実に現実的。妙にリアルな怖さ。
クリストファー・プラマーは面影もなくヨレヨレなアル中の老人、パルナサス役。ほんと誰なのかわかんない(笑)
パルナサス一行の住まい兼ステージの馬車が凄いんです。
ちょっとハウル。内も混沌。
鏡の中の世界も楽しい混沌の世界。まさにテリー・ギリアム。
わたくし的にはティム・バートンのブラックなファンタジーより大丈夫な世界観。
理想というより、哀しき願望の世界は苦難が待ち構える、現実と同じ。
子供の世界は一見長閑なおとぎの国のようで、進んで行くとゲーム機持って片っ端から抹殺中だったり。
若さと美しさを求める女性にJ・デップのトニーは、故人となった人たちの遺影を見せて、若さを失わないというのはつまりはこうゆう事なのさ、と説く。
ファンタジーに教訓を盛り込んでいるんですね。「アリス」のように。
これでなぜレイティングに引っかかったのかしらとみていたら、終盤にトニーが真相を暴露しようとする少年を黙らせようと殴る場面がありました。
ストーリー変更を余儀なくされたのであろうことも感じられましたが、鏡の中では理想の世界ということなので別の人物が演じることで反って面白くなっていて、違和感もありません。
3人は、ヒースの創り上げたイメージをも引き継いで演じているのが素敵でした。
特にコリン・ファレルはイメージが違うと思っていたんですが、変身直後のロマンティックな場面で、ヒースを強く意識した演技をしているようでした。
3人の出演料はヒースの遺児の養育費に寄付されるとか。彼らの‘気持ち’がこの映画をとても美しい作品にしています。
エンドクレジットには「in memory of Heath Ledger」。写真も出て、追悼の意を表していました。
スタッフロールが終わり真っ暗なスクリーンになった時、スピーカーから携帯の着メロが流れました。
それは、劇中に出てきたヒース演じるトニーの携帯の着メロでした・・・。