2010年 05月 19日
P・グリーングラス監督作 『グリーン・ゾーン』
03年。イラク戦争開戦から4週間後。MET隊隊長ロイ・ミラー上級准尉(マット・デイモン)と彼の部隊は、砂漠地帯に隠された大量破壊兵器の所在を追う極秘任務に就くが、兵器の痕跡すら発見できない。情報の正確性に不信を抱いたミラーは、作戦会議の席で情報源についての説明を求めるが、上官に一蹴されてしまう。更に、大量破壊兵器発見の糸口と思われた重要参考人さえも、国防総省のパウンドストーンの手によって、力ずくで奪われてしまう。 国防総省の動きを不審に思ったミラーは、同じ疑念を抱いていたCIAのマーティ・ブラウンと共闘し、部隊を離れ単独で調査を開始。飛び交う偽情報と激しい銃弾戦をすり抜け、パウンドストーンに極秘情報を提供している正体不明の大物キーマン“マゼラン”を追う。謎の核心に迫った彼が探り当てたのは、世界中に激震が走る衝撃的な“真実”だった・・・。(公式サイトより抜粋)
『そんなアメリカを誰が信じる』
新たなボーン・シリーズといった印象。
細かい台本を作らず俳優たちに独自の解釈で演技をさせた『ユナイテッド93』と同じ手法の場面もあって、正に「114分間、あなたは最前線へ送り込まれる」リアル感満点でした。
特にヘリが凄かった。突然湧いてきたように現れたり、RPGに撃墜されるところも。
大量破壊兵器を主題とした映画は必ずや創られるだろうと誰もが予想していたことですよね。
もちろん今となっては衝撃の結末ということもありません。
そこを敢て創ったんですね。
残すことに意義があるということなんでしょうか。
私は史実や報道について詳しい知識を得ていないせいもあり、「91年に処分した」というアル・ラフィ将軍の言葉や、イラク人フレッドの「おまえたちにこの国のことを決めさせない」というセリフに思わず嘆息してしまいました。
グリーンゾーン内の別世界ぶりはともかく。CIA支部の金庫に大量の現金があったりして、この戦争の特殊さや闇の部分にも驚かされました。
ギラギラしていないマット・デイモンが演じると切実で、命令違反だろうが空しい戦いだろうが手に汗握ってしまいます。濃すぎないところがいいんですよね。
工作員的行動もあるけれど「This is it !」 「Let’s roll !」「go!go!go!」という兵士らしいセリフに緊張感もあったし。
「そんなアメリカを誰が信じる」のミラーのセリフは、戸田奈津子さんお得意の‘意訳’が冴えました。
激しく揺れる手持ちのカメラワークで、なにがどう動いているのか追いきれないところもあって。予告編ほど鮮明に見えない場面もありました。
隅の席でなく中央に座るべきだったかしら。
ラストの音楽は高揚感があって良かったです。
観客は10数名でしたが、エンドロールが終わるまで席を立つひとはいませんでした。
アクション映画として最高に面白かったです。
予告編ではグラデュエイターみたいな『ロビン・フッド』と、
デンゼル・ワシントンの『ザ・ウォーカー』。
面白そう。