2011年 01月 22日
沖田修一監督作 『南極調理人』 WOWOW放映
役柄が堺雅人さんにお似合いなのか、
独自のカラーに創り上げちゃうのか。
堺さんのゆるーい魅力満載でした。
『美味しいものを食べると元気が出るでしょ?』
極限の地が舞台なのに大きなドラマはほとんど起こらず、ちいさな諍いが何度か起こるだけ。
ただひたすら単調な毎日の繰り返し。
ビデオ鑑賞やマージャンなど多少の娯楽はあれど、やっぱり食事は一番の楽しみ。
お誕生日にはレストラン並みのご馳走、ミッドウインター祭にはフルコースディナー、日々の献立も決して飽きさせない工夫がされているんですね。
やはり堺さんのように線の細い清潔感ある方が作ると美味しそうに見えます。
みんな美味しそうなのに、男衆ったら「美味い」の一言もなく黙々とかっ込んじゃって。
それを苦笑いのような堺さん独特の溜息の薄笑いで見ているのね。
それが、ドアを足で開けたり食事中の胡坐を注意したり髪の毛もボサボサのまま、すっかりムサイ男所帯の一員に変わっていくところが可笑しい。
全体に芝居らしい芝居をさせないで抑えて抑えて淡々と進んでいきます。
生瀬さんときたろうさんは流石にアドリブっぽい部分もあって、観客の期待に応えてる感じです。
医者という、隊員たちより一歩引いた立場の人間がひとり入ると、集団の仲裁役になったり逆にカンフル剤的な役割を果たしたりできるのですが、でもここでは醒めてるひとだったから、ヒートアップしそうになるとなんとなく熱を下げさせるって感じで。豊原さん面白かったです。
南極暮らしも嫌がってるふうではなく、どこか胡散臭気なのもよかったです。
ローストビーフ作るのに火力が足りないからと、屋外で油塗って焼く場面が傑作。
予想以上に炎が上がってうろたえていたかと思いきや、「どうしよー面白くなってきたー」だって。
食品はとりあえず不足することは無さそうに山積みになってましたが、それでも夜中にラーメン作って食べてるから足りなくなった所が、食べ物に関する唯一のドラマ的部分。
肝心の‘かん水’が無いからラーメンの麺は作れないと言われてラーメン好きの気象学者・タイチョーががっかりしたのを気に掛けていて、ここへは食事楽しみに来てるんじゃないと醒めてた雪氷学者・本さんが、ついでを装って代用品の作り方を考えていてくれてたり。
そのラーメンをやはりみんな美味しいの一言もなく黙々と食べてるんだけど、オーロラが出た貴重な時にまで「伸びちゃうから」とラーメン優先・・・そりゃそうね、と頷いてしまう。
そんなお話し。
・・・もうね。明日、ぜったいラーメン食べます。