2011年 07月 13日
『ハイビジョンスぺシャル ニューヨーク大停電の夜に』 NHK
偶然同じ番組を見た友達とその話しになり思い出したのでした。
「2003年8月14日夕方、アメリカ東部を襲った空前の大停電。5千万人が電力を奪われ、都市機能が完全にマヒしました。その時、人々はどうしていたのか?エレベーターに閉じ込められた親子、隣人愛にふれた人々、ろうそくの明かりでロマンチックな時間を過ごしたカップル、その夜に誕生した赤ん坊など…。ニューヨークを舞台に、大停電の夜に起こったドラマをつづります。」という番組。
第21回ATP賞ドキュメンタリー部門優秀賞受賞だそうです。
海外の作品かと思ったらNHK制作なんですね。
年配のご夫妻へのインタビューで、奥さんが「日本の人はそんな話しに興味ないわよ」なんて自分のことばかり話すご主人に一喝してて分かりました。
真夏に38時間も停電したということで、無論夜陰に乗じた犯罪やロウソクなどによる火事も起きたりと混乱を極めたのですが、この停電で大変な思いをした人の中には、こんな状況でなければ味わえなかった貴重な経験をした人が多くいたことを取り上げていたんです。
それは、近しい人同士語り合う時間だったり、助け合ってこの状況を乗り越えようとする他人への思いやりだったり。
「9.11」も大きな影響であっただろうと推察するひともいました。
停まってしまった地下鉄に閉じ込められた乗客の中には妊婦さんがいて、妊娠していて体調が不安だから車外へ出してと訴えると、男性乗客が次々に「僕も妊娠してるんだー」「僕も今妊娠したー」と言い始め笑いを誘ったとか。
別の妊娠中の女性は徒歩帰宅を余儀なくされるんですが、そのうちトイレへ行きたくなるも、水の出が悪いからと貸してくれなかったりして困っていた。店内真っ暗な高級ブティックの中にいた男性スタッフにお願いすると快く応じてくれ、ライターを灯してドアまで案内してくれた。
その男性スタッフは、セキュリティーシステムも可動しないので防犯のため店内で泊ることにしていたんですね。店長の彼女が夕飯を作って持って来てくれてスタッフ皆でキャンプみたいに過ごし楽しい経験だったと。
レストランでは食材がダメになってたいへんな損害を出し無念のシェフ。
夕飯も作れないレストランも休業ということで、デリバリーピザ屋さんは大繁盛。エアコンも無い中で窯の前にいるのが限界になるまでフル稼働していたとか。
テンテコマイのアイスクリーム屋さんは、もう溶けちゃうからと無料で配ったり。
すべての食材を1ドルで大放出したスーパー。
まあ中には法外な値段でお水のペットボトル売る輩も現れましたが。
家の中にいても暑いからと路上に出ている人が多く、ジャズバンドが路上ライブを始めて練り歩き、お祭りみたいになったり。
交差点の信号が点かないんですが、警官もカバーしきれないので、通りすがりの人が交通整理したり。
タクシーの運転手さんは、渋滞で立ち往生してたら通りすがりのひとがお水のペットボトルをくれた、とか。
なんだかみんな、この状況を楽しんでるよう。
どれもドラマみたいなんですが、その最たるものがお互い弁護士といういかにもニューヨークらしいご夫妻のエピソード。
停電のおかげでロマンチックな夜が過ごせたというんですね。
奥さんもキャリアウーマンで忙しくて夕飯なんて久しく作って無かったらしく、凄いの作っちゃうわよーなんてはしゃぎながら薄暗いキッチンでパスタ茹でてるんですが、それをご主人が冷かしながらビデオ撮ってたりして楽しそう。
久し振りにゆっくり語り合えて貴重な一夜だったと言うんです。
最後の方で、天体観測が好きな青年が出てきます。
あの日望遠鏡を持って外へ飛び出したそうです。
あんなに星が美しい夜は初めてだったと。
私も計画停電の最中に、結構自然に話しが弾んでいくものなんだなと気付きましたが、もし晴れていたら、今度は星空を眺めて見よう。
風が涼しくて、雲が時折暑い陽射しを隠しました。
森のように生い茂った工場の環境保全林脇の舗道は、
体感気温が確実に数度下がって涼しかったです。