2012年 01月 29日
松本佳奈監督作 『マザーウォーター』 WOWOW放映
脚本は白木朋子さんと、たかのいちこさんという方。
『かもめ食堂』『プール』のスタッフが制作した同系統の作品。
これは残念な映画でした。
京都の川沿いの街を舞台にして、素敵に画になっています。
タカコさんのカフェ、バルコニーでの食事。
店先のベンチでお豆腐を食べられるハツミさんちお豆腐屋さん
マコトさんが丁寧に作るひとりごはん。
ひとつひとつが写真集になりそうにおしゃれ。
でもなんだかそれだけで、ひとりで凛と生きているタカコさんもマコトさんも背景が見えないので、映像を楽しむだけになってしまいました。
最小限のセリフの中にそれを汲み取らせようとしているのかもしれませんが、ちょっと分からなかった。
ウイスキーしか置かないセツコさんのバーも、シンプルで静謐ですが、壁の色が冷た過ぎる。
いいウイスキーを楽しむ場という作りなのかもしれませんが、なんだか寛げなさそう。
それに、このセツコさんの禅問答のように展開する達観しすぎた哲学が、
ドライすぎて、ちっとも胸に落ちてこなかったです。
加瀬亮さん演じるヤマノハとの会話なんて、ギクシャクして聞こえちゃいました。
ヤマノハの悩みが見えてこないので余計にそう思えたのかな。
セツコさんという女性がちっとも人生を味わっているように見えないし、
美しい水の袂に立ち止まって、そこの生活を楽しんでいるように見えませんでした。
お花摘んでるくらいでは。
しかも、流れに身を任せて行くようなことを最後に言っちゃう。
代わる代わるあやす赤ちゃんも、どうゆう意味なのか。
その土地の生命の息吹の比喩とかそんなベタな解釈でよいものか。
最後に、実はおかあさん居たんですよって感じに、女の人が迎えに来る意外なラストにしたのは面白かったですけど。
この赤ちゃんが誰に抱かれてもなついていて、俳優さんたちにスムースに演技させていて、ナチュラル名演。