2012年 05月 15日
トム・ハンクス監督作 『幸せの教室』
冒頭からELOの軽快な「Colling America」をBGMにT・ハンクス演じるラリーが楽しそうに活き活きと大型スーパーで働くようすがコマ割りでテンポよく写されます。
力仕事から赤ちゃんが嘔吐しちゃったものの掃除まで厭な顔ひとつせず働き回る。
他の従業員も笑顔で従って人望も厚い。
なのに高卒だから本社勤務を希望しても叶えられないと理不尽な理由でリストラされてしまう。
就活も行き詰って、家財をガレージセールで処分したり、車もやめてお隣りさんのガレージセールで中古のスクーター買ったりするのも、悲壮感が感じられないのね。
落ち込んだりもするけれど元気。なのね。
ローン払えない家も処分してご近所さんとお庭でサヨナラパーティーして。
そこへピザ配達に来たのが、先にリストラされたスーパーで大学の卒業リング見せびらかしたりした奴という・・・。
非情なる企業の犠牲者はラリーだけではないのでした。
もちろん、リストラ宣告された時は悔し涙浮かべるし、茫然と帰宅するんですが。
隣人の薦めで短大卒業資格を獲ろうと、コミュニティカレッジに入学する。
入学案内見ていると学長が近寄って来て、どの単位摂ったらいいかアドバイスしてくれる。
入学初日にスクーター通学仲間ができる。
友人のダイナーではコックの経験活かしてウチでバイトしたらと誘ってくれる。
天性の人を引き寄せる魅力があるのね。
近寄ってくるひとを拒まないからなのかしら。
T・ハンクス好きなんで、見習わなきゃなんて素直に思っちゃいますわ。
『ER』でも、キャロルが医学部予備校で出会った生意気な男の子ともケロリと仲良くしちゃうのを見てすら、見習わなきゃと思ったくらいだったんです。
経済学教授役で懐かしいミスターカトー(ジョージ・タケイ)。相変わらずいいお声でした。
だから~講義中はケータイ切っときなってラリー(笑)
予習復習がんばるラリー。テキストに重要なとこライン引くとページ全部になったり。
仕事中もパパッと料理出して寸暇を惜しんで勉強してるんですが、先輩が後ろでちゃんとチェックしてサムズアップする手だけ写ったり。
ダイナースタッフのやりとりも可笑しいし。
細かく笑わせどころもあって、隅々までトムらしさが出てる映画です。
ラリーにだけでなく他の学生にもテイノー教授(ジュリア・ロバーツ)のスピーチクラスを薦めてた学長。
それは経営的観点から最低定員に足るように意図してのことかもしれないけど、すっかりやる気なくしてるテイノーを心配してのことかも。
学期末最後のスピーチで他の学生のトピックを巧みに取り入れた上に、ジョージ・バーナード・ショー(George・Bernard・Shaw)を地理(Geography)と読み間違えてテイノー教授に「じゃ地理でいいわよ」と言わせたのに、ショーの名言もきちんと織り交ぜてみせて、この講義を受けられた感謝の言葉を添えるところなんて、心温まる仕上がりです。
スーパーで使ってたマグにも自分の姓に因んだ王冠の絵入りだったラリー。
新しいクラウンを被ることができたわけですね。
ラリーに興味を持って近づいてくる女の子タリアが、物語を動かすキーパーソンでもあるんですが、可愛いこと。
でも・・・「醤油」って
どうするんでしょう。取り返し付かないよぉ(笑)
しょぼくれてばかりいると運までも逃げてっちゃうよ、のお手本みたいなテイノー教授役J・ロバーツは、特に印象に残る場面はありませんでした。
コミュニティーカレッジの制度はこの映画で初めて知りましたがトムも利用していたとか。
最近でも、旧ユーゴで大学中退を余儀なくされた方が、学内で清掃員として働き英語を学びながら職員授業料免除制度を活かし学士号を52歳で取得したニュースがありましたが、通信制で勉強する方法もあるけれど、キャンパスの教室で勉強するっていいなと思えます。