2012年 08月 23日
大友啓史監督作 『るろうに剣心』
男性客や家族連れもいらして、かなりな盛況。
原作は読んだことなくて、表紙絵しか見たことありません。
最近の若い俳優さんは、原作絵との違和感ない顔立ちの方が多いですね。
佐藤健さんは岡田以蔵が良かったんですよね。同じ大友さんの演出でしたが。
久し振りに以蔵の哀れがきっちり描かれていたので、主役そっちのけで夢中になって見ていました。
顔立ちは現代的だし貧しい足軽のイメージではなかったし、まだ少年の面影で、史上最年少じゃない?ってかわいい以蔵でした。だから尚更哀れが際立って見えました。
武智を慕う目がよかったですし。
こちらは幕末の実際の人物とフィクションを絡めたお話し。
幕末ものは好きなので、楽しく見ました。
また、『龍馬伝』の大友Dの初監督作品ということで、予告編を見ただけで面白いと分かりました。
俳優の表情と佇まいを活かす陰影や想像と緊迫感を煽る斬新なカット割り。
風や湿度や匂いまで感じる映像美でした。
どの場面もそうでしたが特に武田観柳邸の内装が凄く凝っていました。
壁に掛けられた絵画や活けられた花までも、観柳好みなのだろうと思しき統一感。
路地裏の景色も、新しい時代の活気と混沌が贅沢に演出されていました。
吉川晃司さん演じる鵜堂刃衛と剣心が対決する山寺も珍しい景観でより緊迫感が出ました。
江口洋介さん演じる斎藤一のアップ映像に、望遠で捉えたショットが入ったのも印象的。
眺める観客の視線を一瞬緊張させる効果的ショットが随所にありました。
なんといっても売りは、ソードアクションなんですけれど。
これが、まさに瞬きしてると見逃してしまう速さ。速い速すぎる。
しかも薄暗かったり逆光だったりと、凝っているんで。
昨今は早回しや細かいカット割りに編集して、動きを速く見せていますが、数か所それらしきカクカク動くショットも見られますが、ほぼ実際の動きに見えて「超神速」映像が楽しめました。
ワイヤーアクションも足元ふわふわなんて愚は犯さず、編集の妙で迫力がありました。
カメラ角度がいいんですよね。ばーんと飛んで、ばっ・・・みたいな(笑)
香川さんの観柳は、もちろん傑作です。巧いこと巧いこと。
吉川晃司さんは体格もよく運動神経もいいので特に迫力満点。凄味もあって無慈悲な悪役お似合い。
一撃必殺の重量感ある剣裁きが見事でした。
で、これがまた、軽やかに速い剣心の動きと好対照。
佐藤健さんは長い前髪でほとんど表情を見せずに一瞬だけ映る表情は瞬きせず無表情。
息止めて斬ってる感じが出せてました。
立ち姿や構えは原作を踏襲しているんでしょうが、動きがきれいでした。
この主人公は新時代という平和への渇望があるのね。
それでも人斬りの宿悪からは逃れられないというのもいいと思ったんですが。
斎藤一の言葉どおり。
鮮度のある俳優さんなので、残虐性と純真さという相反する人格を持っているというのが受け入れ易かったです。
イノセントで、別次元に生きてるような、ふわっとして捉えどころのない、確実に心に傷を持ってる。
でも脆くは無い感じ。
あの、平時に於ける「~ござるよ」って言葉遣いは、巧いキャラ設定だなと思ったんですが。
あれですか、一種のカモフラージュ?
ならば若干不自然な言い回しも納得でござるよ。
大友監督の次回作が楽しみです。
観柳、捨て台詞もあったし。恵との一件も残ってるし。続編でもいいですけど。
監督の次回作は『プラチナデータ』ですと。やたっ!
ブログ楽しく拝見致しました。
自分も観てから読ませていただこうかと思ったのですが、お姉さんのコメントが待ちきれず。
いい作品に仕上がってそうですね。
お姉さんが書かれたことも色々気にしながら映画観てみようと思います。
一度じゃ足りないかな、早そうだし。
映画館に通うことになりそう、出来うる限りですが。