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「カフェという生き方」

「カフェという生き方」_d0109373_053202.jpg冷たい小雨がパラついて、一気に晩秋から冬になった日。
『cafe/day』さんで
「Special TALK SHOW ~cafe/day ができるまで~」
が開催されまして、伺ってきました。

きんと冷えた中、駐車場にデスクを出して、奥さまが受付。
店内はもう既にほぼ満席。70人位はいたかな?






お話しくださるのは、オーナーご夫妻とこのカフェ開店に関わった方々。

ブックディレクターの幅允孝氏
グラフィックデザイナーの尾原史和氏
建築家の谷尻誠氏
デザインエディターの松澤剛氏
カフェメニューや企画広告担当のエディターの山村光春氏

こんなに本格的なスタッフの方々による開店プロジェクトだったとは。
著名な建築家の方によるデザインのお店とは伺っていましたが、いかにきちんとしたコンセプトの下に創り上げられたかが分かりました。

先ず、ご主人がご挨拶され、トークが始まりました。
切っ掛けは奥さまがお勤めされていた先で、幅氏と出会ったこと。
その時、カフェをやりたいと夢を話されたそうで。
その後、奥さまはカフェ経営の夢を実現させる為に、学校へ通ったり実際にカフェ『BLUE WATER』で修行されてから、数年後に幅さんに「準備が整いました」とご連絡。
幅さんは、カフェをやりたいというひとは言葉だけで終わる人が多いのに、その覚悟のほどに驚かれ、「人生をかどわかしてしまった(笑)」責任を感じられたそうです。
限られた予算で創り上げる為に幅さんの「呑み仲間に頼みこんだ」ようなものだったとか。
ご主人は最初は参加されるつもりはなかったけれど、「乗っかっちゃえと。無理心中のように」と笑って。そこまでの覚悟を持って10年のサラリーマン生活から脱サラ。
「収入がないのに貸付だけはあるって状態もあって」。
夢だけでなく、この時勢もあってカフェ経営は難しいものであるということも充分理解してのスタートだったわけですね。

店舗は元々は居酒屋など閉店した2店舗があった2階家の1階部分。
幅さんは「最初、ありえないと思った。でも(ふたりは)ここで生きなきゃいけないと思った」。
奥さまが「なにか出て来そうな」と笑っておっしゃるほど、かなり寂れた状態だったので、2階部分で開店されるのかと思ったひともいたそうです。
その2階から道路を挟んで在る自動車学校の教習コースを見降ろして、「誰かが、かわいいと言った」のが奥さまは印象的で、これを「借景に」、隣りに高い建物がなく「空が見えるところが気にいった」。
「アスファルトがどこまでも続いているように、本当の意味でオープンカフェにしたかった。自動車学校もカフェの一部みたいに」。
(・・・で、教習車の黄色をコンセプトカラーにされたの!?
教習所というのは人が集まり循環してゆく場所。
そこを選んだことが、まず成功といえるのではないでしょうか)

「カフェという生き方」_d0109373_0454664.jpg




横断歩道を書き込んだり、椅子も「田舎のバス停にあるような」ベンチにして、あえてスノコ状。
でも床がアスファルトだったのをご主人は、「正直、迷った。この床、掃除はどうなの?と。蟻とか普通に入ってきちゃうんじゃないの?」と心配だったそうです。
それでも、「希望は全てクリアしてくれ」て、「開放的な空間づくり」が出来上がったそうです。
解体にも指示を出された谷澤さんは、
「前の店のストーリーが残ったほうがおもしろい。しつらいが違うだけ。色を塗れば。シンクという名前を消し去ればいい」と。
流し、床の間など前店舗のものを残されている部分も多く、「残っていた棚も流用して。ゴミがほんとうに少なかった」と奥さま。
幅さん「壊しているけど、造ってる感じだった」。
谷澤さんはそれを「価値の変換ができる」と。

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椅子は、直接触れるものなので拘りも多く、カウンター前の椅子はその下の荷物入れの上に椅子をくっつけたことを強調させるために、わざとスリットを入れたとか。
このお店の特長のひとつ、旧ミニクーパーのシート。
ソファーを置きたかったが予算的問題もあり、既製品を唐突に置かれてもと。
教習所側ということを「なんとかできないか」と考え、探していたところ、「ヤフオクでみつけて、3万で落札した」んだそうで、これには聴衆びっくり。
色もコンセプトカラーの黄色だったことに驚かれたそうです。
で、「車のシートだから、走らせようか」ということでキャリーを付けたそうです。
ここに使われるテーブルの高さについても、松澤さんが数センチ単位で調節。

児童書、画集からコミックまで様々なジャンルの本は、ご夫妻の蔵書もあるそうですが、お子さんから年配の方まで各世代のお客さんに楽しんで貰えるようにチョイスされているそうです。

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こうしてプロジェクトが進んで行ったことに松澤さんは「始まりの距離感が近かった。仲間と動く感覚があった。ふたりがどうしたら喜ぶか」。
松澤さん「ふたりのものにしようと」する作業。「プロジェクトがどうゆうものかにもよる。相性がよかった」。

店名についても悩まれて、候補を書き込んだ紙を破って書かれたメモを、ご夫妻は「ファイルに入れて」大切に保管してあって、実際に見せてくださいました。
奥さまが出された案は「まるで、(雑誌)OLIVE少女がおとなになったような、小癪な名前が多かった(笑)」
「日常の延長にある店でありたいと考えたら、day が良かった。日常だと思ったのが非日常になる、というのをテーマに。日常寄りの非日常。」と奥さま。
幅さん「パンケーキ食べてたら非日常になった、みたいなね」。
尾原さん「1日1日違うっていう意味。スラッシュが入っているのは分数の意味。1日分のcafe day。」
冗談で、生活空間も店から見えるようにしたらと提案したそうで、「生活全て見せてdayだろ、みたいな。」
これには皆、爆笑。

「私たちが1日1日を大切に生きていかなくてはならないと思って。
PCに向かっている時間がないので、ブログもiPhoneから更新できるようにして貰った」。

尾原さん(だったかな?)「店は、1年がペイライン」。それを2年がんばってきたと。
奥さま「収入的には会社勤めのころよりも少ない。当初はお客さんが来ないこともあったけれど、今はほんとうに沢山のお客様に来ていただけるようになった」。
これからの課題はお客さんからの要望にどう応えていくかだ、という幅さんのフリに、
ご主人「ふたりでやっているので、時にはお客さんに待たせることもあって申し訳ない。それが課題」。
開店当時はパンケーキも今ほど話題ではなかったが、今ではハワイアンパンケーキなど人気。
奥さまハワイアンパンケーキ有名店にも食べに行ったり勉強され「子供のころ母が作ったホットケーキミックスを使わないパンケーキが大好きで、それを昇華させたものを出したかった。」
カレーも自慢のメニューでキーマカレーの野菜は手で刻んでいるそうです。
幅さん「10年目のことより、明日のカレーをどう早く出すかが課題かも(笑)」
(お忙しい時間帯に行ったことがありますが、決して時間がかかったという感じではなかったです)

「人が集まる場所ってのが大事になる必要がある」。
「速攻性より遅攻性」も大切。

松澤さん(?)「(ふたりは)カフェという生き方を選んでしまった。一生を考えれば、これから」。

若きクリエイターたちの柔軟で厳しい目が生んだ、愉しい企みの詰まった空間。
トークショーは必然でしたね。こんなお話しは披露しなければ勿体ないですもの。

これからどんなふうに、ひとびとの道の途中に在り続けるのか。
期待しています。
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by august22moon | 2012-12-03 02:04 | 出来事 | Comments(0)

出会った本、映画の感想。日々のこと。


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