2013年 02月 16日
ロマン・ポランスキー監督作 『おとなのけんか』 wowow放映
ニューヨーク、ブルックリン。ザッカリー・カウワンがイーサン・ロングストリートの顔を棒で殴ったという11歳の子供同士の喧嘩の後、彼らの両親が話し合いのため集まることに。リベラルな知識層であるロングストリート夫妻(ジョン・C・ライリー/ジョディ・フォスター)は、カウワン夫妻(クリストフ・ヴァルツ/ケイト・ウィンスレット)を家に招くが、冷静に平和的に始まったはずの話し合いは、次第に強烈なテンションで不協和音を響かせる。やがてお互いの本性がむき出しになっていき、夫婦間の問題までもが露わになっていく・・・。
原作はヤスミナ・レダの『God of Carnage』の戯曲。
日本での舞台化邦題は『大人はかく戦えり』。
子供同士の喧嘩の和解に集った二組の夫婦が次第に本音むき出しにしていっちゃう、ロングストリート家の中だけで繰り広げられるシットコム。
『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』的な。
‘全員アカデミー賞’な4人の見せどころ満載なセリフ劇です。
ポランスキーって、どこか暗さがあって苦手なんですが、面白かったです。
和解のはずが、被害者と加害者の関係性が蒸し返されたり。
歯を2本も折って神経まで傷んだ怪我を負わされた、いや棒で殴ったのは言葉の暴力に遭ったからだと言い争うのも束の間、どんどん話は脱線。
ひとの家でそんなことまで言わなきゃここまで拗れないのに、夫婦喧嘩になり、夫たち対妻たちの言い争いになったり。
4人の巧さもあって、なぜか誰にも同感してしまいます。
我を忘れても知的さは残されているから。
ケイト・ウィンスレット演じる、ナンシー。
マイケルがペットのハムスターを捨てたと聞いたあたりから気性の激しさ露わに罵るし、
夫のアランは弁護士で大きな訴訟の真っ最中で数分おきにケータイに電話がかかってくるので、いっつもこれで話が中断するんだとグチり始め、遂にはキレてケータイを花瓶に水没させちゃうし。
気持ち悪いって言い始めてトイレ薦められても行かないもんだから大変な事態になっちゃうし。コブラーって何?食べてみたいと思い始めてたのにっ。
酔っ払っちゃうしと、見せ場の一番多いのはケイト・ウィンスレットでしょうか。
子供の問題放り出した諍いに終止符を打ったのが、水没してだめになったと思ってたケータイの着信音というのは、試合終了のゴングみたい。
公園でまるまる太って元気そうなハムスターと、なんだ仲直りしてるじゃないのな子供たちをバックに流れる音楽の、ティンパニがやたら威勢が良くて、逆に可笑しい。
ポランスキーがアメリカ入国できないからパリで撮影されたのは解るんですが、フランス・ドイツ・ポーランド・スペインと4ヶ国もの合作ってなぜなんでしょう。
追いかけるように見てます(笑)
「我を忘れても知的さは残されているから。」
ああ、納得。
そうなんですよね、すごく分かります。
だからお姉さんの感想好き。
ポランスキーもこんなの撮るんですね。
前回観た「ゴーストライター」がとっても面白くて、今回はまた全く違う室内劇でしたがはずさないですポランスキー。
落葉を掃いてる使用人とか、秘書の無表情とか、メモが手から手へ渡されてゆくところとか、ラストの走り抜けるバイクとその方向から飛んでくる原稿とか・・・。雄弁な映像が面白かったんだ!
あれもポランスキーだったね!
なんでだろう、「フランティック」のせいか。
昔々の「ローズマリー」や「マクベス」が記憶にこびりついてるのか(笑)
はたまた辛い辛い「テス」のトラウマか(笑)
へんな先入観があったのに。
YOUTUBEだったかで海外の舞台映像みたんだけど、ソファーに倒れた旦那さんをクッションで叩いたり激しいケンカになってるのね。
そこまでさせなかったのが凄くいいと思った。
>はずさない
その通りですね!