2013年 04月 06日
ラナ&アンディ・ウォシャウスキー、T・ティクヴァ監督作 『クラウド アトラス』
ざっくり言えばリインカーネーションなんですが、その豊かな映像力で見応えの在るSFでした。
物語は六章に分かれ、1849年から2341年までの様々な人や場所が描かれています。
最初は年代とタイトルが出て並行して描かれるのですが、次第にそれもなくなりスピーディーに展開します。
かなり複雑らしいと聞いてはいましたが、あえて予備知識なく見ました。
でも、不条理劇的な表現も無いせいか、消化不良にもならず混乱するようなこともなくそれぞれのクライマックスが楽しめました。
気付かなかった比喩とか伏線がもっとあって、何回か見ればそれが見つけられるのかもしれません。
ヒュー・グラントとスーザン・サランドンをこうゆうファンタジックなSFで見るのが珍しくて、意表をついたキャスティングでした。
同じ俳優が晩年だけでなく別の時空の人物をも演じることで、より輪廻転生の物語が強調されます。
時には端役まで演じているので、見つけられない(笑)
ご親切にエンドロールでそれぞれが演じた人物の映像が出て来るので、えーこの役もこのひとぉ!?となります。
端役で登場するのにも意味があって、後世で「どこかで会ったような気が」するんですね。
幽閉されているがごとく書斎に引き籠って創作活動をしている例えや格言にソルジェニーツインが使われていたのは意外でした。
『ガン病棟』とか『マトリョーナの家』など学生時代に読んでいたので(もうちょっと女子らしいものを読めーとか言われながら)、懐かしく思い出しました。
やはりトム・ハンクスは安定した巧さで、彼の出て来るエピソードは確実に面白い。
他の俳優さんは結構分かりづらくメイクされてるのに、トム直ぐ分かる(笑)
でも、あえてそうしてるみたい。
はっきり悪役だったり、苦悩する善人、どちらなのか怪しい人など、きっちり演じ分けられるひとなんで、構わない。
2012年のチャプターで、トムは暴力的な作家ホギンズを演じてるんですが、その登場の仕方が絶妙。
画面右から突然飛び込んできて、爆笑です。
2341年ではザックリーという男を演じているんですが、凶暴なコナ族に義弟とその息子が襲われた時に岩に隠れて見殺しにしてしまう、その堪える表情は見事。
数年後、今度は自分がコナ族に追われた時、視線の先にあの日自分が隠れていた岩があって愕然としたりするわけです。
‘恋人’同士のフロビシャーとシックススミスの死に方が偶然同じだったり。
こうして同じような運命を辿ったり、逆に自分に降りかかってきたりするんです。
カルマということですね。
こうゆうシリアスな展開もあるんですが、痛快だったり笑える場面が挿入されていました。
「ルイサ・レイ」で、先に出て来たヒスパニック系の女性がなぜか(ってか人種差別な暴言吐かれた怒りで)追いかけてきていて、ルイサとネピアが危機一髪のとこ助かった場面は最たるものでした。
いやでも「ティモシー・カベンディッシュ」のエピは・・・なんなん?ドタバタが過ぎやしません?(笑)
「こうゆう時の声はマイケル・ケインがいい」でしたっけ?
で、キングスイングリッシュで声色使って電話したり。
隠れ家として入った老人養護施設が実は非合法的隔離施設で、そこを逃げ出す時に入居者たちへの捨て台詞が「ソイレントグリーンは人間の肉だぞ~」なんて、面白かったですけど。
高山、塔、橋などの高所、窓、流れる水、鍵、青く輝く石、音楽 ・・・。
時空を超えてひとびとの運命に関わるものたち。
青い石は最後に、遥か天空に小さく輝く地球として示されました。
いつの間にか字幕がスクリーン下に出るようになって今だに難儀しております。
TVの字幕も下に出るのにおかしなもので。
慣れるしかないのね。
座る場所かなぁ・・・いつも後方席で見下ろし気味か真っ直ぐな位置にスクリーンがくるのがいけないのかなぁ・・・