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バズ・ラーマン監督作 『華麗なるギャツビー』

バズ・ラーマン監督作 『華麗なるギャツビー』_d0109373_0473298.jpg「old sport 」

2D版を見ました。
このラブストーリーに3Dが必要?と訝しんだのですが、豪邸を空撮で写しその広大さを表したり、ギャツビー邸の桟橋から対岸のブキャナン邸の緑のライトに向かってズームしたり、人物を背景の森から浮かんで見せて不安と明暗を際立たせたり・・・という効果になっているようです。

プラダ、ミュウミュウ、シャネル・・・贅をこらした意匠は、やっぱり楽しませてくれました。
ギャツビー邸のパーティーはそれはもう派手で派手で、ゴージャスというよりもクレイジー。
ギャツビー本人がようやく登場する場面は、パロディーかと思っちゃいました。
なんでしょまあ、あの笑顔。そのバックに花火が打ち上がり、流れる音楽は「ラプソディーインブルー」のサビ部分(多分)。
バズ・ラーマンにとってあれがギャツビーの「最高の笑顔」なのでしょうね。
後半は悲劇へ突き進む暗澹たる展開ですから、対比としては面白かったです。
肉体労働者たちのシルエットや自動車修理工ウィルソンのいつも汗まみれの姿も、絢爛豪華な富裕層に対して時代の光と影を描いて印象的でした。

私は昔、R・レッドフォードが好きだったこともあり、ニックと初めて相対する時や豪邸のなかでいつの間にか住み着いてた若者を悠然と見過ごす泰然自若とした表情など、いかにも謎の大物という感じが巧く表現されていると思ったんです。
いまだにそれが忘れられずにいるものですから、物足りなさがどうしても出てきてしまいました。
それでもディカプリオは演技が巧いので、うろたえイラつき不安に苛まれる表現は見事。
ロンドン仕込みの優雅な仕草も美しかったですし。
ただ、デイジーとの再会の場となるニックのコテージ前に立ってドギマギしていたり、デイジーを待って落ち着かないようすや、土砂降りの中を飛び出して今到着したかのように玄関に回ったり、緊張のあまり置き時計壊しちゃうなんて初恋少年に戻ってしまったかのような一連の演出は大袈裟な気がしました。ディカプリオのそんな演技を楽しむことはできましたが。
おとななんだから落ち着け(笑)

ニック役のトビー・マグワイアは適役。
キョトンと見開いた独特の大きな瞳で、振り回されながらも一途なギャツビーに共鳴してゆく無垢な文学青年が似合っていました。
「ケーキは買ってあるよ」。なんて好青年。
心が傷ついてしまうのも解ります。ようやく訪れた安らかな眠りに見る側もほっとします。

デイジー役は、可愛い可愛いキャリー・マリガン。
童顔のディカプリオと並んでようやく年下に見える相手役です。
ミア・ファローは美人ではないし寂しげな顔立ちなのに可愛らしさを感じられる不思議な存在感の女優さんで、蠱惑的なファムファタールを創り上げていました。
キャリー・マリガンは、豊かで安全な場所でしか生きられない誰でも一目惚れしそうな脆く愛らしいお人形さんみたいなデイジーでした。
この「脆さ」が、デイジーという女性の惑い揺れる真情を納得させました。
幼さの残る顔立ちで、変ってないように見えてももうあの頃の純真無垢な「お嬢ちゃん」ではなかったという悲哀も活きました。
デイジーの娘は最後に後ろ姿でしか出さず、彼女の選択の理由が子供の存在にあるのではないことを表していました。


予告編でジブリ新作の『風立ちぬ』。
美しい夏雲、列車から見た目で線路わきの人々の画、真夏のかげろう揺れる中をトンネルから出て来た列車の画が凄い。震災の画も容赦なく恐ろしく衝撃的でした。

『ワールド・ウォー・Z』の予告編も。
こうゆうパニックものをブラッド・ピットが制作も兼ねて出るって意外な気がします。


映画
by august22moon | 2013-06-24 23:37 | 映画 | Comments(0)

出会った本、映画の感想。日々のこと。


by august22
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