2013年 10月 14日
中尾浩之監督作 『タイムスクープハンター 安土城最後の一日』
モキュメンタリー方式が長くスクリーンで展開するので酔ってしまいそうでしたけれど。
冒頭の本能寺襲撃シーンは既に取材カメラの映像として、ひゅんひゅん矢が飛んでくる中を進んで迫力がありました。
沢嶋役の要潤さんと杏さん以外の、ワープした時代の庶民は映像では馴染みのない俳優さんたちを使って尚一層臨場感を盛り上げているんですが、今作では時任三郎さんや嶋田久作さんを配しています。
細かい演出をせずセリフも細やかに感情を乗せずに喋る演技を、見慣れた俳優さんが演じるとその計算されていない間や仕草が新鮮でした。
嶋田さんはそれでも野盗という役柄上きっちり揺ぎ無い芝居でしたが。
TVシリーズ同様、自然光に拘って俳優さんの顔がシルエットになったり影が掛かったり、灯明だけの仄暗い室内だったり。
安土城の門前の階段では折からの台風の風雨の中だったり。
セリフを言っている俳優さんがフレームに入ってなかったり、セリフが被ったり、微妙に間が開いたりすることで生じるリアルさ臨場感は失われていませんでした。
なかにはかなり自然なセリフ回しの俳優さんもいて、その技量に思わず驚いたりしちゃうのでした。
TV版では、髪型も鬘を使わず、たぶんエクステを足したくらいで島田に結いあげているのでだらりとしていたり、坊主頭や月代をほんとうに剃っていたり(この俳優さんこの後のお仕事どうするんだろうなんて心配したりして)、衣装にしても庶民の服装はかなり草臥れて汚れていて、さすがに教養番組として時代考証を突きつめていて見事です。
この劇場版でも、女郎の化粧や、村人たちの藁や紐で結んだだけの髪の乱れ具合までもリアルは行き届いていました。
ただし。横向いて座って作業してる数メートル先の窓が30センチは開いたら気付きますって。
しかも、ああゆう時は左手じゃなくって右手のほうが取り易いでしょ。どう見ても。
不審者を見かけたとの通報で皆が廊下に出た隙を狙えばよかったのに。
安土城消失の謎に迫っていますが、ここでは、光秀が落ち武者狩りに遭い明智勢が敗走したところを野盗が財宝略奪で忍び込み、灯明が倒れたり火縄銃の火の付いた縄の端が落ちたり・・・という可能性を挙げていて、信雄が火を放ったのではないという説になっていました。
相変わらずの面白さではありましたが、TVのスペシャル版でもよかったのでは?
なんて身も蓋もないこと言ってみたりして