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内田けんじ監督作 『鍵泥棒のメソッド』など wowow放映

内田けんじ監督作 『鍵泥棒のメソッド』など wowow放映_d0109373_2162264.jpgふたりの役者さんの巧さもあって愉快なだけでは終わらないおはなしでした。
セリフもいちいち可笑しい。
「ぎりぎりアリです」「これ、主人です」とか。
「ひとのクッキー全部食べちゃったのか」とか。
実はお宝満載の子供部屋で「あのーこの部屋に2億円くらいあるんですけど」とか。
ストラスバーグメソッドを学んでいると息巻く桜井に「最初の8ページしか読んでないだろ!」。
桜井を発見して第一声、「おまえ。この部屋でタバコ吸ったろ」。

香川さんの変りっぷりが今作の見せ場。
闇社会で生きる人間だったのが、記憶を取り戻すために探り探りおどおどと生きていく。
元々、隣室を書庫として借りてるほどなので、自分は役者だったらしいと知るや蔵書では足りずに専門書を買い込んで演技を勉強し、稽古も真面目に取り組んでいたので、底の浅い演劇論なんか軽く論破しちゃうほどになってるのがまた可笑しい。
几帳面に自分を取り戻すための記録をノートに取っていたのに、記憶が蘇ったのが好きなクラシック音楽だったというのがよかったです。
ヒトの認知心理ということですかね。

売れない役者役の堺さんも、結構いいかげんな男であるところを徐々に露呈させる加減が面白かったです。
堺さん演じる桜井の前の彼女役で内田慈さん。
舞台『奇ッ怪Ⅱ』にも出てらしたんですが、笑顔の表情が多彩なところが好きです。
ふたりの思い出の写真を持っていく?と言って、ゴミ袋の中を探してるってのは可笑しかったです。
売れない役者の桜井は相変わらず前途多難でしょうが、実は殺し屋でなく便利屋だった近藤がハッピーエンドに落ち着くとは面白い結末でした。
ドア殴ってアラーム消してブラックアウトというのもシャープ。

放映後の「W座からの招待状」エンディングトークでは水丸さんと薫堂さん、「着地点がよかった」。
薫堂さんは、スタッフロールの中にペン習字監修者がいたことに気付いて。
確かにアップになる近藤のノートや香苗の手帖はクセのない綺麗な字でした。
でも香川さんは東大出身で勉強もよくしただろうから元々字は巧いだろうと薫堂さん。

エンディングの音楽がとてもよくて、よしい和哉さんの曲が、とぼけた中に悲喜交々な人間模様の余韻に合っていると感じました。



中村義洋監督作 『みなさん、さようなら』 wowow放映
内田けんじ監督作 『鍵泥棒のメソッド』など wowow放映_d0109373_2423917.jpgん~ちょっと長い(笑)
こちらは原作が小説。
13歳の悟少年が、暮らしている巨大団地の中から出ないと宣言し30歳で母親が倒れて病院へ駆けつけるまで団地の中だけを生活圏としていた、というお話し。
部屋に引きこもるのではなく、幸い団地には商店街も公園もあるので、まあ健康的な生活は送れるわけですね。
母親だけでなく同級生までも、喧嘩の場所を団地内の公園に指定したり同窓会を団地の集会所で催すなど、彼を見守り続けた理由が、マスコミの取材によって見る側に明かされるというのは意外性が面白かったです。
しかもその理由があまりにも悲劇。
この少年の、残された者が抱く罪悪感という心の傷を知り、理由不明な宣言も団地内警戒という妙な使命感にも一気に同情的になります。

「w座からの招待状」エンディングトークで水丸さんの、劇中出て来た大山倍達氏が牛と対決している映像の撮影現場に居たというお話にびっくり。
いつものいたずらっ子笑顔で「一番弱ってた牛を殴ってた」発言に唖然。
映画飛んじゃいました(笑)



映画
by august22moon | 2013-12-11 23:15 | 映画 | Comments(0)

出会った本、映画の感想。日々のこと。


by august22
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