2014年 02月 25日
ドゥブラット、コーン共同監督作 『ル・コルビュジエの家』 wowow放映
椅子のデザインで世界的な成功をおさめたレオナルド(ラファエル・スプレゲルブルド)は、近代建築の巨匠として有名なル・コルビュジエが設計した南米唯一の邸宅に、妻子と共に生活していた。ある朝大きな音で目覚めた彼は、隣家の住人ビクトル(ダニエル・アラオス)がレオナルド宅に向けて窓を作るべく、ハンマーで壁に穴を開けていることを知る。
アルゼンチンのガストン・ドゥブラットとマリアノ・コーン共同監督作。
原題は「隣りの男」ですが、邦題を活かすべくのポスターデザイン。
現在は博物館となっている、アルゼンチンに在るル・コルビュジエ設計クルチェット邸を舞台にしたお話し。
隣人との揉め事という誰もが経験しうる出来事が、やがて悲劇を呼ぶ展開です。
確かに共同壁をリフォームするのなら一言あってしかるべきところ。
しかもこの隣人ビクトルがかなりな強面。第一印象充分怪しい。
フィリップ・ジョンソンのグラスハウスほど丸見えではないけれど、広大な敷地内ならまだしも道路に面していて隣家も迫り有名建築なので見学者も来る環境。
南米の環境を重視しているとはいえプライバシーやセキュリティー確保が難しいデザインであるところへ来て、目の前に窓を作られて厭なのは理解できます。
透明じゃないガラスにして貰えばいいのにね。
しかしこの主人公レオナルドの自己中心的でエリート意識からくる高慢さが徐々に露呈していきます。
反してビクトルのほうは、豪放磊落なだけなのかもと気付かせていく加減が巧かったです。
よりによって反抗期の娘はこの隣人に親しみを感じ懐いてしまって、レオナルドにしたら尚更にイライラは募るわけです。
エゴの対立の様相から一転、最終的には良き隣人だったと判明するんですが、真の姿に気付くも平穏な生活を脅かされる懸念は捨てきれない。
一体どちらが被害者でどちらが加害者であったかという、ブラックな捻り加減が面白かったです。