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S・スピルバーグ監督作 『太陽の帝国』他 wowow放映

S・スピルバーグ監督作 『太陽の帝国』他 wowow放映_d0109373_12353314.jpg87年の作品。
初めて全編見ましたが、片岡孝太郎丈が出てらしたんですね。
日本語のセリフは概ね違和感はなかったのですが、唯一、上官に向かって「こっち!こっち!」は・・・。

ブッカー賞受賞の原作ですが、クリスチャン・ベイル君を楽しんでしまいました。
さすが4000人の中から選ばれただけあって、13歳にして目の表情など既にオトナです。
敵味方関係なく、戦闘機の美しさに魅せられた少年。
収容所で強かに生き延び、遂に戦争が終わると知った時に、帰る場所は果たしてあるのか待っていてくれるひとはいるのかが過って、「ママとパパの顔が思い出せないんだ」と涙する場面は、子役の涙に泣かされるのではなく、セリフが胸に届いてきました。
その絶望が、再会の場面の虚ろな横顔に集約されています。堂々の主演。
クリスチャン君、きみはね、23年後にはオスカー獲得するんだよー

引き揚げの混乱で両親とはぐれてしまい、混沌の上海を臙脂色の制服で走り回る姿は、後の『シンドラーのリスト』に於ける赤いコートの少女の描写を思わせました。

荒野の中に残ったスタジアムに、強奪した調度品や車が並ぶ場面、
国際都市上海の市街地やイギリス租界の再現された風景が凄かったです。




R・レッドフォード監督作 『クイズショウ』

S・スピルバーグ監督作 『太陽の帝国』他 wowow放映_d0109373_1328413.jpg67回アカデミー賞作品・監督賞ノミネート作。
『フォレスト・ガンプ』と同年だった不運によって受賞なりませんでしたが、秀作です。
何度も見たのですが、この時期に放映するというのも妙にタイムリー。
吹替え版で、宮本充さんの穏やかな声が合ってました。
既に地位も名誉もあった男が功名に逸り、道を誤ってしまうという実話を基に、レッドフォードがその静かなる眼差しで創り上げた94年の作品。

レイフ・ファインズ演じるチャールズ・ヴァン・ドーレンが揺れ惑うのが切なくて、いつか露呈する日が来ると知りながら、ひとはなぜ嘘をついてしまうのだろうと苦しくなる作品です。
特に、このポスターにも使われている、番組最中に背中へズームするショットが素晴らしいです。
解答を知っていて、僅かな逡巡が過っているのを感じさせる背中です。
甘い喝采に酔いながら、いつか来る全てが露呈する日に向かって怯えながら生きるなんて・・・。
たとえバレないままであっても、虚偽とねつ造という真実は心の奥底に消えないまま残るのに。
父親に真実を告白し、「お前の名前は私の名前だ」と叱責され、改めて罪の深さ失ったものの多さを思い知らされるのです。

彼は聴聞会でスピーチします。
「借りものの翼で舞いあがっていた」。
その翼は重く汚れていたのに

・・・そして、チョコレートケーキが食べたくなったのは言うまでもありません。





佐藤信介監督作 『図書館戦争』

S・スピルバーグ監督作 『太陽の帝国』他 wowow放映_d0109373_1556791.jpg本屋大賞の原作は未読です。
ブラッドベリの『華氏451度』や、現実にもナチをはじめ古来から存在した発禁や焚書や言論統制の条例がヒントになった作品なのでしょうか。
トリュフォーの映画化作品と違い書籍自体を架空のものとせざるをえないからか、不条理感がいまひとつ訴えかけてきません。
「きんたろう」はいいけど「ももたろう」はダメとか、谷川俊太郎はいいけど寺山修司はダメとか、星新一はいいけど筒井康隆はダメとか・・・どうゆう分類だ(笑)
そもそもの条例が脆弱な印象ですから、不可侵領域のはずの図書館への武力介入の意図も、超法規的措置権限があるとはいえ聊か突飛。
第一、検閲対象の危険もあるような書籍・雑誌がどうしていつまでも一般書店へ流通しているのか。
まず版元でしょうに。規制の解釈がどんどん拡張しちゃってるってこと?
先に図書館を舞台に銃撃戦ありきで作られ、暗黒時代の印象皆無、政治色皆無の映画でした。
現実に児童書すら一般人は読めないような国もあるのだと問題提起に成り得るのに。
人物描写も浅く、良くも悪くもライトノベルの域を出ないお話しでした。

戦争映画らしいマーチングドラムやトランペットのBGMも含め、佐藤監督だけあって銃撃戦場面は迫力がありました。
地下書庫は国立国会図書館ですかね。それ見られただけで良しとします。
あの散らかりまくった夥しい数の本を分類しなおし書架へ戻す、破損本の補修、という途方もない作業の手間を考えると・・・恐ろしいですわ。


映画
by august22moon | 2014-03-18 22:39 | 映画 | Comments(0)

出会った本、映画の感想。日々のこと。


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