2014年 09月 12日
フアン・ソラナス監督作 『アップサイドダウン 重力の恋人』 wowow放映
「ロミオとジュリエット」のようなSFでした。
『ウェイバック』『クラウドアトラス』(『鑑定士と顔のない依頼人』を見られなかったのが残念)のジム・スタージェスが、ロミオのように恋する青年役。
きらきらな瞳が可愛いですこと。
それぞれ引力があるのに、賢者の山と呼ばれる山の頂上は数メートルまで近い双子の星という設定がまず面白かったです。
見上げればそこに貧困層である下の世界(Down Below)と富裕層である上の世界(Up Top)が、それぞれ手にとるように広がって、空は地平線の先。
夜には富裕層世界のきらびやかなネオンや照明が星空のように広がっている映像がとても美しかったです。
身に付けた反重力物質が過熱発火しちゃって、慌てて海へ飛び込んで外して、下の世界の重力に吸い込まれるように登って(落ちて)下の世界の海へ落下する描写も面白かったです。
ふたりが警備から逃げる岩山には、骨組みだけ残った飛行船の残骸。
双子星が辿った歴史の暗示と共に、かのヒンデンブルグを思い出させます。
法的にも分断された二つの世界で、初恋の人エデン(キルスティン・ダンスト)に再会したくて、エデンが勤務する唯一双方の人間が勤務できる大企業へ入社。
大伯母が、双方を行き来するpinkbeeという蜂から違法に採取していたピンクパウダーを配合した美容クリーム(皺を抗重力で引き上げる!なんと画期的!)の発明を武器に入社するんですが、そこでも下の人間はやっぱり逆さま。
それぞれ物質にも重力は及んでいるので、浮かばないように押さえたりしなきゃならないのね。
幻想的な映像とユニークな設定で楽しませていたのに
突然、「体質が変わった」って・・・ううむ、確かにそうなるのかもしれませんが。
時間切れのようにあっという間に、そして双方繁栄しましたとさの映像で終わってしまうという・・・
恋人たちの名前がアダムとエデンですから、双子惑星の命運を握っているのは想像できましたが、
ちょっと結末の片付け方が残念でした。
それでもジム・スタージェスの無邪気な笑顔が見られたので相殺、ということにいたしましょ