2015年 03月 22日
ピーター、ボビー・ファレリー監督作 『ふたりにクギづけ』 wowow放映
wowowで、隠れた名作を紹介する企画で放映された作品。
マット・デイモン主演じゃなかったら見なかった作品です。
テーマが無理と思ったのですが、いい結末でした。
ほかにも、メリル・ストリープやシェールまで自身の役として出演していて、この監督への絶大な信頼が感じられます。
この監督の作品は初めて見たので、障害者を障害のある役として出演させる傾向を知りませんでした。
結合双生児で肝臓が弟のほうにしか無いなど分離手術は不可能といわれて、その宿命を受け入れて来たふたりがどこまでも明るくて、そのハンデを逆手にとってさまざまなスポーツで活躍してきた。
実際はふたりだから敵側としては不利になるわけで。そこはコミカルに見えてしまい少し抵抗がありました。
周囲はどんなスポーツでも万能である選手のように称賛している。
昼はバーガーショップの厨房で特性を活かして手際よく働いて、無礼な客には常連客や仲間が助けてくれる。
ふたりが乗り越えて来られたのは、普通の人と同じに扱ってくれる故郷の人々の支えがあったからなんでしょう。
ふたりも肉体が結合していることをジョークのネタに使ったりする。
「Excuse me」ではなく「Excuse us」って言うし。
兄の方が地元の素人劇に飽き足らずハリウッド進出を目論んで、ふたりの運命が変っていくわけです。
マット演じる弟はパニック障害もあって内気な性格で、兄と一緒に舞台に立っているのが精いっぱいで汗だくで耐えている状態というマットらしい役どころ。
(グレッグ・キニアよりマットのカポーティー役が見たかったわ)
ようやく獲得したTVシリーズではなんとかボブを隠して映しているんですが、次第に無理が生じて遂にはボブにブルーバックのボディースーツを着せて画面上から消す策に出る。
するとそこで主演のシェールが言うんです。「神に与えられた肉体を隠す必要はない」と。
「私はオスカー女優よ!三流TVシリーズなんて!」と鼻もちならないスターさんに見えたシュールも実はいいひとな役回り。
メリル・ストリープも最初は単なる通りすがりのファンだと適当にあしらっていたのに、「思い出した!あなたたち87年のあのゲームに出てたわね!!」とふたりのアメフトの活躍を憶えていて讃えてくれるという、やっぱりいいひとに描かれてる。
ウォルトの恋人になるエヴァ・メンデス演じるエイプリルも、「肝臓って何に必要?」とか言っちゃう女性なんですが、グルーピーっぽく見えていて実は余計なことは言わず必要とする時には背中を押す。なかなか気が効いてる女性。
それらに対して飲酒運転で捕まった警察署内の肉体を嘲笑う暴言こそ、監督の描きたかったものかもしれません。
で、弟が今までメールでしかやりとりしてなかった中国系の女性と実際に会って結婚を決意。
遂に分離手術をするのですが、「お前は車で待て」と今まで言えなかった言葉に喜びあっていたのもつかの間。32年間も息の合った生活をしてきたふたりは途端に寂しさに襲われるんですね。
秀逸な描写が、公園のベンチに設置してある読書する銅像にウォルトがぴったりくっついて、感触を懐かしむ場面。
ふたりには不自由でもハンデでもなかったというところです。
双子が働くバーガーショップの店員役で知的障害の男性が出演していて、最後の地元の舞台にも登場。
エンドクレジットの途中で、撮影が終わった舞台上でこの男性がスピーチするところが挿入されました。
この映画に出ることを悩んだ。姪が背中を押してくれて出演を承諾したと。
家族や監督や主演俳優陣からダンサーのひとたちに至るまで感謝の意をスピーチすると、隣りに立っていた警官の制服着た(たぶん)監督がハグ。