2015年 05月 22日
モルテン・ティルドゥム監督作『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』
今作もようやく地元公開されたのに2週間ほどで終了・・・。金曜日までとなった今作を慌てて見てきました。
【 pay attention 】
ホームズも見てなかったので、初めてカンバーバッチの演技を見ました。
チューリング博士の数奇な人生を描いてまさに適役でした。
理解され難い天才の孤独と同性愛者であるがゆえに時代にすら見捨てられた孤独感が、風貌に似合っていました。
研究貫徹のために直属の上司を飛び越してチャーチルに直訴するほどの傲慢ととられかねない直情と裏腹に、婚約者のアドバイスを素直に聞き入れる純真さ(差し入れがりんごというのもまた意味深な)。
学生時代に渾身の嘘で隠し通した(この少年時代役アレックス・ローラーの演技が素晴らしい)同性愛者であること。
それを、気を許して告白してしまう信頼という錯覚からの油断。
こうゆうところが、彼の対人関係の不器用さなんでしょうか。アスペルガー症候群の可能性ということもあったようですが。
当初、傲慢さや一途すぎる姿に距離をもって見られていても、上官(チャールズ・ダンスの姿勢が凛として美しい)とMI-6ミンゲルの冷徹さに、チューリングの孤軍奮闘が切なくなってきます。
ようやく仲間たちに受け入れられるようになってきたのに、作戦遂行のためのチューリングの非情さに亀裂が生まれても、彼にはなすすべもなく耐えるだけ。
「気づいていたよ」と理解を示したように言ったのと同じ表情で二重スパイであったケアンクロスに脅され愕然と立ちすくむ。
これらの場面は秀逸。カンバーバッチ最高の見せ場じゃないかと。
折角の解読も、ドイツ軍に知られないように一旦は破棄しなくてはならず、ビール片手に炎に向けて書類を撒き散らすチームメンバーの無念を達成感で覆い隠した表情が印象的でした。
偉大な功績が正当な評価を受けず、人格否定をもって抹殺される悲劇。
名誉回復はあまりに遅い。
見終わって、脚色賞でオスカーを受賞したグレアム・ムーアの悩める若者たちへのメッセージを思い出すと、より胸に迫りました。
"Yes, you do. I promise you do. Stay weird,Stay different.
And then when it's your turn, and you are standing on this stage, please pass the same message to the next person who comes along."
さて、帰路でのこと。
公園沿いに歩道があるんです。
そこは生垣や高い木が続いて暗く、道路側にはガードレール状の柵が設置されている。
私は道の向いの住宅、田んぼ、大型店舗と並んでいる側を歩こうと道を渡ったのでした。
渡ってふと気づきました。田んぼの前に2台のスクーターが止まっていたのです。
ぞぞ~。手前の路地を曲がろうか先の店舗はまだ照明が点いていて駐車場で話声も聞こえる。
声出せば聞こえる距離。迷いながらも歩を進めると・・・
「こんばんはー」の低い声と同時に詳細が見えてきました。
なんとおまわりさん。
春の交通安全運動で暗闇からどっきり絶賛取り締まり期間最終日だったのです。
「横断歩道渡ってくださいねー危ないですよー」
いや、おまわりさん。交通法規守ってないのは分かってます申し訳ないです。でもね、あんな暗がりで、向かいから人が歩いてきたら接近してすれ違わなきゃならない、もしもの時にガードレールが邪魔して逃げようがない、そんな歩道を進んだ先ですよ?横断歩道って?誰も通りたくないっしょぉ?とーぜんの防御策っしょー?ほんとは木から虫でも落ちてきたらヤダっていうのが理由ですけど。
と、顔に滲ませて、すみませーんあーびっくりしたーびっくりしたーと繰り返し、警察組織にせめてもの抵抗をする小市民のわたしなのでした~。
当日は仕事も順調でご機嫌さんな日だったのに・・・。
リンゴの渡し方ですかぁ・・・
手つきのこと?
私ったら表情ばかりに気を取られてまして・・・。
さすがに見るところが繊細でらっしゃる。
言われるままにとってつけたようなジョーク言って,かわいかったですね。