2015年 06月 16日
F・ローレンス監督作『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』
なんだか鬱々もやもやしまして。少しは気が晴れるかしらと見に行ったのですが、思い起こせばこのシリーズは強制的にサバイバルゲームに参加させられた女性の苦悩を描いているのでしたから、気なんか晴れるわけありませんでした。
今作はFINALの前編。独裁国家に反乱を起こそうと地下に潜伏する第13地区に助けられたカットニスが、革命のプロパガンダとして祀り上げられるお話。
ゲーム戦士として人心を掴むために着飾ったのが、今度は戦場に立つレジスタンスの姿で人心を掴み革命の士気を高めるジャンヌ・ダルクになるわけです。Mockingjayを紋章にして。
作られたセリフでは届かないしカットニス本人もそんな演技はできないので、政府に破壊された街の被害者を見せて心情に訴えればと図るとその思惑どおりになってしまうのも、まだ彼女が完全なる戦士ではないところ。
象徴となることに躊躇ってはいても、スノー大統領のメッセージを受け取っては受けて立つしかない。
心の底からの叫びが民衆に響いて合言葉となり、父親から伝え聞いたマザーグースのような歌をくちずさむとそれがいつしか民衆に闘争のテーマのように伝わっていく。くちずさんだ声がダム破壊に向って行く戦士たちの大合唱に変わっていくところは特に印象的でした。
望むと望まざるとにかかわらず象徴となってしまうということですね。
単純にあっという間にプロの兵士なみに活躍するのではなく、最後の最後にカットニスに爆発させるための過程を見せる回なので、矢を放つ攻撃も1回だけでちょっと残念ですが、「The Hunging Tree」が非常に耳に残る曲で、ジェニファーの飾り気のない歌い方(普通の女の子が何気なく歌ってる感じ)もいいので、見終わった後もくちずさんでしまうほどです。
あの歌はシングルカットもしていないのにビルボードのシングルチャートで12位にまでなったそうですが、頷ける結果です。
ゲイルとの関係。ピータの症状。反乱は成功するのか。あの首相でだいじょぶなのか。‘帝国の逆襲’はあるのか。かなりむちゃな治療をされているらしいスノー白薔薇大統領のおかげんいかがなのか。
すべて11月公開の後編までお預けなのですが、今作はこの歌に出会えただけでも収穫。
あとですねぇ、バタカップ(きんぽうげ)という猫の名前は海外ではポピュラーなんですかね。
最後にフィリップ・シーモア・ホフマンへの追悼文。
役柄からいつも微笑み顔でふわりふわり漂うように動くさまが
なんだか悲しい。
なんで負けちゃったかなぁ