2015年 12月 10日
F・ローレンス監督作 『ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション』
戦争でもトレジャーハンティングでも宇宙人侵略でもなく、数少ない女性主役のアクションムービーで、機微を表現できるジェニファー・ローレンスの巧さで、シリーズ通じて面白く見ました。
キャピトルに潜入して広場の壁が閉じたところで、ようやく闘いが始まったーとワクワク。
ポスターどおり赤備えなのかと思ったら、あれは単なるイメージ画像なのね。
それまでの敵とは違うミュータントみたいなのがうじゃうじゃ出てきて、ようやくカットニスの連続弓矢攻撃が見られると思いきや、地下の水路だけに薄暗くてよく見えない。
‘ミュット’の造形を鮮明にしないほうが恐怖を煽れるんでしょうけど、残念。
やっぱり危険人物だったコイン首相ですが、ハンガーゲーム開催の提案は唐突じゃありません?
いやもうとにかくカットニス抹殺と逸ったか。
でも延長線上に立ってちゃダメでしょーなんという油断。
実はシールド張ってあって、反逆者に仕立てるのかと思ったのに。
どこに居ても狙われたでしょうけれど、あれはないわー
D・サザーランドの不敵な笑いで救ったけど。
生き残るための偽装としながらもピータを選ぶのか。恋人だったゲイルの元へ戻るのか。
その迷いや葛藤、ピータの気持ちも薄々感づいているあたりJ・ローレンスは巧いので、最後まで引っ張れました。
結局はゲイルの変容で、迷う余地なしとなりましたが、ラストのあの空しさを残したままの表情になっているってことは簡単な決断ではなかったわけですね。
ほんとうに愛しているのか嘘なのか言葉遊びのように問うピータの目も見ずに「real」と答えるのも自らに言い聞かせるよう。哀しきモッキングジョイ。
しかもあの意味深長なラストのセリフ。
字幕では「もっと怖いゲームがあることを教えてあげる」。
それも乳飲み子に向けて。
無邪気に笑う子供と戯れるピータの幸せそうな笑顔を見ながらも幸福な笑顔はなくて。
全体に漂う悲壮感は最後まで切れることなく終わらせるのね。
今作が遺作となったフィリップ・シーモア・ホフマンは、アップ映像で繋げたり、ぼやけた画像の中に組み込んだりと、なんとか最後まで登場させていました。
生きていたら次期首相を匂わすような展開だったのかな?
返す返すも残念。