2016年 08月 05日
D・アルフレッドソン監督作『ハイネケン誘拐の代償』他 wowow放映
単にパーティーの一場面ですが、アンソニー・ホプキンスの嘲笑にも見える表情が、この事件の顛末を暗示しているようです。
流石そこに居るだけで威圧感のあるホプキンスならではでした。
サム・ワーシントンとジム・スタージェスというキャスティングも魅力的。
誘拐されたハイネケン社長が、誘拐犯を翻弄させるに違いないと思いきや、犯人たちと社長とのやりとりはたいして多くなくて意外。
とはいえ、囚われの身となっても堂々。犯人たちの脆さに気付くや、バスローブだ本だBGMを変えろと要求するふてぶてしさ。
挙句の果てに「バンバンジー」をオーダー・・・で、ちゃんと買ってくるってとこが可笑しい。
犯行が成功した後の、近しい者たちでありながら瓦解を向えるさまは納得の展開。
根っからの悪人でないが故にやがて、恐怖と不安を呼び起こしてしまうんですね。
ハイネケン氏の「金か友情か、どちらかしか得られない」の自説は、預言となってしまう。
彼にとって心を許せる相手は一緒に囚われた運転手だけだったのかな
だからあんなに心配したのかしら
コルとヴィレムがパリで逮捕される場面は、アパルトマンから出ると路地に人影もないのを不信に思う間もなく警官に包囲されていた、となるんですが、他の仲間にもいつの間にか背後に警官が迫っている。
犯人目線で展開し、警察の捜査の進展を見せないので、この逮捕場面がたいへんスリリングでした。
樋口真嗣監督作 『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』
アニメはちらっと見たことはあるんですが。
衣裳やセットなど美術さんはかなり頑張っている努力は感じました。
冒頭からアルミン役の方の説明セリフがずっとナレーションを聞いているようなのが気になりました。
音声の技術的な問題もあったのかもしれませんが、不思議な違和感がありました。
その後の登場人物のセリフも妙な違和感が続く中、橋本じゅんさんがフェンス越しに掛けた言葉が、ようやく脳内に届くセリフで。血の通った人間の声に聞こえました。
エレンが壁に向って「むかつくんだよ」は聞いてて恥ずかしくなりましたわ。
原作にもあるセリフだから言わせないといけないんでしょうか。古い青春ドラマのような反骨ぶり。生命を守ってきた防護壁に対してムカつくて・・・
で、案の定警備に制止されるんですが、この警備の方たちのセリフが驚くほどの棒読みでびっくり。
(ミカサの発音は、ミにアクセントを置くんじゃないのね。美香さぁーになっちゃうから?)
「叫ぶくらいなら舌を噛め」との威勢のいい命令下に、食いしん坊のサシャのお腹が鳴ったのが巨人に聞こえるって、喋り続けの話し声はだいじょぶなの?(兵士にはハンドサインってもんがあってだな)
キャラクターやエピソードは原作に沿っているのかもしれませんが、生身の大人の俳優さんにそのまま演じさせると物足りなくなってしまう。練り上げられていないセリフや、お粗末な心理描写が、俳優陣の奮闘を邪魔していました。
で、この国の兵隊さんにはピケという概念はないのかな?
巨人の顔って星人かゾンビみたいなのね。わあーお隣りさんも変身しちゃったーみたいな。
サトゥルヌスみたいな異界の禍々しさがあってもいいのに。