2016年 09月 30日
クリント・イーストウッド監督作 『ハドソン川の奇跡』
しかしながら、サレンバーガー機長が搭乗するまでの日常や事件後の苦悩と家族の混乱、乗客のドラマ、レーダー管制官、目撃者、救出に向う救助隊、聴聞会までまったく物足りなさは感じませんでした。
サレンバーガー機長を演じるトム・ハンクスは、誇張することなく抑えた芝居で、そこに実在の人物を演じる責任を感じました。
まったく顔立ちが違うのに、似て見えてくるのが、不思議。
救助後真っ先に、全員救助されたか確認させて、全員無事と報告を受けた時の一瞬の表情は、流石の一言。
事故の演出も煽ることなく。
クルーの的確な対処と乗客の協力があっての「無事不時着水」だったと後半でのセリフどおり。
ただ、回避できたにも関わらず最悪の事態が夢に現れて苦しむというのは、どのパイロットにも起こり得るんでしょうね。
ビルの間を旅客機が低空飛行するのを、オフィスの窓から愕然と見送る人たちの表情には明らかに「またか」という戦慄があり、あの悪夢からまだ醒めていない時期だったのだと痛感しました。
エンドロールに数人「himself」や「herself」とありましたが、一番最初に救助に駆け付けた通勤フェリーの船長さんはご本人ですよね。