2017年 03月 26日
モルテン・ティルドゥム監督作 『パッセンジャー』
ジェニファー・ローレンスですしね。予告編も迫力映像が面白そうでした。
しかし、これは、一種のラブストーリーですね。設定が宇宙空間というだけで。
無人島と違って生活に困ることはないようで。移民地へ着くまでの120年間人工冬眠で移動する設定ですが、移動の間どれくらい起きて生活することになっているのか、個室もあるし、娯楽は充実しているし、水や食糧の心配もないもよう。
別々の部屋に分かれているのでしょうが、5000人居る雰囲気はありませんで。
面白いのは、乗客がランク分けされていること。部屋の大きさから食べられる食事の内容まで制限がかかっている。いわばロウワーデッキの乗客ジムは味気ない固形食だしカプチーノも飲めない。
正直なところ、やれやれな終わり方。
それでもクリス・プラットがなかなか良くてですねぇそれだけがこの作品の収穫でしょうか。
『マネーボール』のハッテバーグ選手役で見せたのと同じ、不安や怯えの表情がとても印象的。
体格を活かした役が多いようですが、この表情をもっと活かしたほうがいいのでは。
もちろん、宇宙船が故障してのふたりの大奮闘は見応えがありました。
オーロラがプールで泳いでいる最中に、重力装置が故障した時は、この大量の水は無重力でどうなるんだーわーやっぱりこうなっちゃうのかーとびっくりな映像でした。
孤独に勝てずに睡眠装置を壊して、オーロラ嬢をお供にしようと目覚めさせてしまい、一気に生活にも潤いが出て、宇宙船生活をエンジョイなんですが、起こしてしまうことはつまりは彼女の人生を狂わせてしてしまうことなわけですから、楽しみながらもふと罪の意識に苛まれる表情は響くものがありました。
ちょっとシャイなとこがあるようで、プールで泳ぐ彼女にちょっと恥らんで手を振るとこなんてカワユスです。
事実を知ったオーロラさん、ジムの寝込みを襲って殴る(いいパンチ入りました)蹴る(・・・蹴りも入りました!)。ついには‘バールのようなもの’を振り上げるのですが、ジェニファー・ローレンスならそれくらい爆発しそうです。
ジム君、罪の意識から無抵抗。
ジムがイチジクの木を植えておいたのをオーロラは微笑むんですが、それってどうなんでしょ。
ふたりきりなんだと突き付けるようで、ちょっと、ぞっ。
最後は、人工冬眠装置を修理できそうなクルーを起こすこともせず、ふたりきりで生きる決意をしたようで、美しい宇宙空間の景色をうっとり眺めるんですが、この先50~60年?ふたりっきりなんですよ?逃げ場も無く。話し相手は肝心なとこで余計なこと喋っちゃうアンドロイドのブレア首相だけですよ?暗澹。
ラストの120年後の場面では、たとえばジムの手造りの指輪をした老いさらばえた指が目覚めて動くとか、子供が生まれていてポッドに入っていて命を継承する、なんて結末でもよかったかなと、思いました。