2018年 02月 25日
マーティン・マクドナー監督作『スリービルボード』
しかもウェス・アンダーソン!しかもしかもストップモーションアニメですってー
(予告編『Isle of Dogs』)
『Last Rose of Summer』
心に残る素晴らしい作品でした。
終わり方もとてもよかったです。
どんな結末でも母ミルドレットの無念が晴れることはないでしょう。
残された家族の闘いは終わらないから。
でももう孤独な闘いではなくなったのが救い。
母親にとって敵ばかりの環境で、だからこそこの闘いを始めたのでしょうが、それにしても、こんなに辛いことになるなんて。
救いであるように見えた署長ウィロビーですが、余命幾何もないというのを被害者遺族に打ち明けるのは、狡い言い訳だと思うんですよ。私は。
本人にとってはたいへん辛いことでしょうが、遺族にはなんの関係もない。
ミルドレッドが表情一つ変えず跳ね返すのも当然。
ウィロビーがこうゆう始末をつけるとは驚きました。
妻への遺言にあった遺志は胸を突かれました。
病で弱った自分を最後の思い出にしたくないという願いはこの男らしい。
というかウディ・ハレルソンらしい決意。
サム・ロックウェル演じるディクソンが、どーしょーもないダメ警官。
警官以前に人としてダメなんですが、そこがまた巧い。巧過ぎて、レッド奴は身動き取れないぞ窓大きいぞなんて思っちゃったですよ。
オレンジジュースひっかけておやんなさいっストローの向きまで気にしてあげることないっレッドってばもー
ただこのディクソンの、老いた母親の助言まで鵜呑みに行動しちゃう単純さが、一周回って(笑)役に立ったりして、物語のキーになるというのも面白かったです。
当初からミルドレッドの味方である人物もいて、意外なところで手助けしてくれたり、期待しないでいた人が力になってくれたり、期待していた人は結局なんの役にも立たなかったり。
最後の希望がなくなったことがいいほうに転がっていくとは。展開に目が離せませんでした。
人は変わっていくもので。思いもよらぬことをするもので。
揺らがなかったのはミルドレッドだけだったかもしれない。