2018年 10月 13日
三池崇史監督作 『無限の住人』 wowow放映
冒頭のモノクロにした百人相手の大立ち回りは迫力があって主演の木村さんも太刀の重さを感じる殺陣でした。
ただ、この作品でわたくし的に一番の残念な点は、適役のビジュアルが荒唐無稽を超えて悪趣味なものであったことです。
せっかくの緊迫感が一気に醒めてしまいました。
特に女性陣が・・・なんとかお銀みたいなんやら、金髪やら。殺気ゼロ感甚だしい。
凛のあの電車の吊り輪みたいなんも。ずーっと気になりっぱなし。
原作を踏襲していてそこに意味や理由もあるんでしょうけれど。
2次元で表現されるからこそ成立する面白さを、生身の人間が纏うと滑稽になってしまう。
セリフも現代的な単語が多いし。
市原さんみたいにギリ大丈夫なのもいるんですけど。
海老蔵さんは立っているだけで絵になる役者さんなので、異形の者の美しさまで表されて、もっと見たかった。
田中泯さんは出てくるだけでその殺気が映像を緊迫させました。そこだけが救い。
で、万次はかなりな腕前であることを冒頭で示してますが、不死身を表すためか、手下たち相手で既にかなり致命傷を受けちゃうんですね。手こずりはするけど勝つってんじゃないのね。不死じゃなきゃ負けてるのね。
不死となって登場する背中にも、もう少し、幽鬼のような異形の者の気配を演出してもよかったんじゃないでしょうかね。
無間と無限の違いかなぁ
思えば『るろうに剣心』も劇画原作で、キャラクターは時代を超越して斬新なところがありましたが、幕末という和洋折衷の時期を巧く活かして、服装と少々髪型を変えるに留めているので、まだ許せました。
蒼紫なんてかっこよくて、時代考証無視全然オッケイになっちゃった。
志々雄なんてファンタジーな人物は演じる俳優さんの力で生かせていた。
大団円のvs三百人の斬り合いも大迫力ですが、そこに巻き込まれる形になる設定がちょっと納得しきれず。
逸刀流を殲滅させるための幕府の戦であって、凛と万次は闖入者になってしまっている。
仇討ちのチャンスを逸した凛が、まるで天津側に着いてっちゃってるような動きも気になりました。
見せ場のための設定にさせないなんか方法なかったのかなぁ
主演氏が頑張っていて、覚悟を感じられたので、周辺をもうちょっと頑張ってあげてほしかったなと、残念ではありました。