2007年 04月 17日
オーソン・スコット・カード 『 消えた少年たち 』
発売当時に読んでいたらラストの衝撃ももっと新鮮だったのに、と悔やまれました。
ミステリですが著者がモルモン教徒であることが大きな特色となっています。主人公の夫婦もモルモン教徒という設定。 夫婦に起きる問題は誰にも降りかかりそうな事ばかり。それらに立ち向かう夫婦の心の拠りどころには信仰があるでしょうが、特に気にならず、幸せを希求するごく普通の若い夫婦の姿として受け止められました。
自らの才の正当な評価を求めて、ゲームデザイナーのステップは妻と子どもたちを連れ新しい土地へ引っ越す。そこはなんと子どもたちが行方不明になる事件が起きていた物騒な街。子どもが遊ぶには危険な場所がある。長男は学校で、なんと女教師から差別を受ける。この女教師とステップの‘対決’が面白い。決して感情的に責めない。
説明させ、的確に反論し・・・理詰めで攻めていく (って言葉は悪いですがそんな感じ)
教会には変わり者の信者がいて子どもまで傷つける。会社には性倒錯者・・・。
おまけに家には大量の虫が発生。
長男スティ-ヴィーの異常に気付く場面はスリリングで面白い。
それら難問に夫婦が真摯に立ち向かう姿が丹念に(長々と)描かれていて、
で?行方不明の未解決事件はどうなってんの?と、いいかげん疑問が出てくる。
しかし、ふと気付くと・・・周囲は容疑者だらけじゃないの!?
初版当初読んでおくべきだったと少し悔やんだけどそれでも 家族を失う辛さ、気付けなかった辛さは丁寧に書かれていると思います。
ミステリだけど詩のような部分もありました。
クライマックスに谷川俊太郎氏の 『さようなら』 (ライフログ参照)という哀しい詩が思い出されてなりませんでした。
august22moonさんの読まれている本はどれもスリリングで読みたい気持ちになります。この本もいずれ読もうと読むんだリストに加えさせて頂きました!
august22moonさんの読まれている本はどれもスリリングで読みたい気持ちになります。この本もいずれ読もうと読むんだリストに加えさせて頂きました!
私の貧困な語彙ではうまく表現できずもどかしいのですが、谷川さんの平易な言葉に込められた優しさに心打たれます。
博識でいらっしゃるdandanさんの読解力、それを豊かな感受性で表現される感想はとても勉強になります。、「消えた~」は、もし今後お読みになられたら、ぜひ感想をお聞かせ下さい。