2007年 05月 11日
エドワード・ズウィック監督作 『ブラッドダイヤモンド』
武装ヘリの空爆などアクションシーンの迫力は抜群でした。
ディカプリオはもちろん好演。力演。イントネーションは当然のこととして
演出やカメラワークの巧みさも相まって、元・傭兵らしい隙の無い切れ味鋭い身のこなしが見事でした。特に武装ヘリの攻撃の中をマシンガンを打ちまくりながら駆け抜けるシーンは迫力がありました。 が。自分の生い立ちを話すシーンだけは、どうもそんな悲惨な過去があるように見えなくて。
女性ジャーナリスト・マディーに「アメリカ人ってのは・・・」という嘲弄に続けて、デマカセを言ってるのかと思ってしまうほど、なんか似合わない気がしてしまいました。
そのシーンの演技自体、相変わらずの巧さを感じるものだったし上滑りという感じでは決してないのですが。
陰とかストイックさが感じられないんですよね。どんなに上手い芝居を見せられても。
まだ『仮面の男』 で幽閉されていた男の不幸を背負った顔立ちのほうが似合って見えたかな。
私個人の持つディカプリオに対する先入観とか固定観念なんでしょうね。
(あの時は カスパー・ハウザーなんか演じたら面白そう!なんて思ったっけ。ドイツ系だし)
ジャイモン・フンスーは助演というよりもうほぼ主演。
朴訥な人柄が良く表現されていて、脅えた表情や直情的な感情の現れ、
ホテルのドアボーイの職を得て不器用なお辞儀の仕事ぶりなど上手い。
また、無事にアフリカを脱出した後、街のショーウインドーに飾られたダイヤのネックレスを覗き込む表情。血が涙が流される元凶である石が、そんな残酷な悲劇などこの世には無いというように絢爛と輝いている。
これがあの石の流れ着く姿なのかと信じられないという眼差しも良かった。
家族を地獄に陥れたRUFのリーダーを空爆の混乱に追い詰めるシーンではもう完全に感情移入してしまって、頭の中で、ヤレー!ヤッチマ・・・(自粛) 面じゃなくて辺を使えー!(あ、言っちゃった)なんて物騒なこと叫んじゃいました(笑)
仲買人が格納庫のライトにピンクダイヤをかざすシーンもいい。そこにはもう「アフリカ」は存在しない。
アーチャーが、マディーに衛星電話しながら見る、飛び去るセスナが美しい緑をバックに飛ぶ白い鳥のように見えて美しかった。
アーチャーが絶命前「神が見放した」土地から、おしゃれな水辺のカフェにいるマディーへ電話をする場面。その背景の落差が恐ろしい。電話で繋がってしまうのって残酷。
それにしても。ライカのシャッターの音ってなぜあんなに哀しい音なのだろう。
私の持ってるちっちゃ~いダイヤの指輪もペンダントもこんな血や涙を流させていませんようにと見つめ直してしまいます。
「紛争ダイヤ」を流通させない為には先ず消費者の拒否であると問題提起がなされていますが、本当に合法的に流通しているものなのか確実な確認の術がないのが不安。
私はレオ君が美少年だった頃から好きで。
自分のところではなかなか書けないのですが、器用な反面、深みに欠けるんですよね。全く同意です。
これって結構役者としては致命的なんじゃないかなと思います。
人間的には社会貢献に熱心だったりグレートだと思うんですけど役者としてはスター、アイドルだけで終ってしまって、名画と言われる作品は残せないんじゃないかな。
ああ、ファンにあるまじき発言。どこかで大化けしますように(祈)
どの役でも、ちょっとした表情とか凄く巧いな~と感心するんですけどね。今作も他の役者さんでは考えられないと思うほどのハマリ役ではなかったですね。
マット・デイモンだったらどうなるかな?ちょっと年嵩だけどショーン・ペンだったら?なんて考えてしまいました。
それでも気になる俳優です。いつかきっと「大化け」してくれるでしょう。